(2011年11月1日発売、THE BIG ISSUE JAPAN 第178号より)




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中国、“美しい”月餅から“醜い”月餅へ



中国では、中秋節(旧暦8月15日)にお世話になった人などに月餅を贈る風習がある。月餅の箱は高級感がありデザインも美しく、収集している人も多い。

重慶市の羅翠容さんも箱を収集しており、その“コレクション”から食べ忘れた月餅が出てきた。まるで昨日作ったかのように艶やかで軟かい。ところが、製造年月日は2003年9月2日だった。

今年6月に「食品添加物使用基準」が制定され、防腐剤や合成色素の一部が使用禁止となり、他の添加物も使用量が制限されるようになった。今年の月餅は例年と違って色も悪く艶もない。消費期限も短縮されているという。しかし、この“醜い”月餅への変化は、総じて消費者に好評のようだ。

消費期限が短いほど防腐剤が少ないという認識が浸透してきたが、実際は月餅の種類や、加工、包装形態によっても異なる。それにしても8年前の月餅には何が入っていたのだろう。「おいしかったことをまだ覚えています」と語る羅さんの表情は複雑だ。

(森若裕子/参照:重慶晨報、北京晨報)