109人生相談





職場の派閥にどう対処すべきか…



転勤先の新しい職場は、自分以外は女性ばかりで険悪なムード。キャリアのあるAグループは前例にこだわり、若手のBグループは責任感が薄く、二派に分裂しています。業務を円滑にまわさないといけない立場として、中に入り込めず手を焼いています。うまくまとめる策はありますか?

(男性/会社員/29歳)






新しい職場で、男性1人とは、気苦労がたえないですね。

僕も20代後半の頃、新しい仕事を紹介されて、知らない土地に引っ越しをしたことがある。でも、心を病んでしまった。現場には暗黙のルールがあるのに教えてくれず、派遣された会社ごとにグループもあって、誰にどう聞いていいのかわからなくってね。

もともと僕は内気で、言葉が喉まで出かかっていても声をかけるタイミングをつかむのが苦手。それに借金の問題もあって、だんだん頭の中が不安でいっぱいになってきた。

ひとりぼっちで考え込むうちに、被害妄想みたいになって、誰かが話している姿を見ると、悪口を言っているんじゃないかと、つっかかってけんかになっちゃって。恥をかき続けるのはゴメンだから、去るしかなかった。




ところが、今はホームレスであるという恥を、声を張りあげて町中でさらして生きている。かつては敵に見えた人ごみの中には、好意をもってくれている人もいたんです。

治療をしたのもあるけど、声を出すうちに、次の言葉が見つかり、具体的に物事が考えられるようになってきた。




この人には、積極的に声をあげてもらいたい。職場では、年齢差や男女差、いろんなことが絡まって、三者三様、まったく違った見方をしているんでしょう。

この際、格好よくまとめていこうとはせず、恥をかいてみてはどうですか? 

これからは忘年会や新年会など飲みに行く機会も多いし、無礼講もアリ。腹を割って話してみると、案外、想像と違う人かもよ。あとは、他の職場の先輩に相談するとかね。僕はいつも下っ端だったけど、上に立つ人は気持ちが強かった。

この人も、ただしゃべればいいというものではないと思う。「職場をよくしたい」ではなく、「僕は職場をよくしたい」というふうに、「僕」とか「私」とか、主語を使って話すと、意思がより強く伝わり、いずれ仲間になってくれるんじゃないのかな。(東京/Y)




(THE BIG ISSUE JAPAN 第109号より)