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自分の仕事が本当に「社会」の役に立っているのか、時々不安になります



働き始めて3年になりますが、自分の仕事が本当に「社会」のためになっているのか、時々不安になります。金融機関で働いているのですが、貸したお金で土地を買ったりビルを建てたりという話ばかりが耳に入り、そのたびに「いらないものを作ったり建てたりすることに、加担しているなぁ……」と悩む毎日です。贅沢な悩みではあるのですが、こんな気持ちに対してどう折り合いをつけてゆけばよいでしょうか?

(男性/26歳)





物を建てたり、動かしたりするためにはお金って存在がいるよなぁ。僕は持ってないからさみしいけどハハハ。

そういう資金を貸し出す仕事をするのは間接的に世の中の役に立っていると思うんだけれど、例えば、超高層のマンションのいい景色が見える部屋に家族を住まわせたいという人もいたりすると思う。

この人は、仕事自体は順調やけど、物事のとらえかたで壁にぶち当たってしまって悩んでいるのだと思う。「何か社会の役に立ちたい」なら、自分がこの会社の何に向いているのか?どういうかたちで役立ちたいのか?といったことをお茶でも飲んでゆっくりと考えてみたらどうでしょうか?あなたの仕事でいうと、融資したお金がどういうかたちで活かされたら自分が満足するのかとか。




それを整理する一つの方法は、何に悩んでいるかを目に見えるかたちにすること。紙の上に自分を書いて、そこから放射線状に線をのばして、書き出していく。

例えば「これに時間とられるのがいやだ」「これはこうしたくない」とか。自分のグラフを作るんです。そしたら一目瞭然で「しょうもないことで悩んでるなあ」「これは重要やんけ!」といったことがわかる。

それに優先順位をつけて、次は具体的にどうするのかをまた線をひいて書き出す。そうするとおのずと考え方ってまとまってくる。




この仕事をじっくり続けていくのか、会社の中で配置転換を求めるのか。例えば、金融業でも外回りの仕事は、街の商店街のおじさんやおばさんを相手にして集金してくるわけやろう? 

「○○信用金庫です。今度こういう商品が出ました」って。そういう仕事の方が向いているかもわからへんしね。大企業への貸し付けではなく、個人にかかわっていく部門に異動願いを出すとか。

別の部門に行ったらもっと力を発揮できるかもわからんし。まったく選択肢がないわけじゃない、選択の幅を広くして自分の仕事を捉えてみたらどうやろうか。




僕も社会人になって働き始めたときは、この人と同じように悩んだこともあったけど、5年10年と続けたときに、よくやったなぁと思えるときがきっとくる。もう少し肩の力を抜いてほしいなぁ。ぼくは抜けっぱなしだけど。そのうち、ひょっとしたら、世直しもできて納得のいくプロジェクトにかかわる機会が巡ってくるかもしれんからね。

(大阪/N)





(THE BIG ISSUE JAPAN 89号より)




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こんにちは、編集長のイケダです。

先日実施した読者アンケートでは、「ビッグイシューは立ち読みができないので買うのを躊躇してしまう」という声をいくつかいただきました。そんな声にお答えして、オンライン版限定で、現在発売中の最新号の「読みどころ」を勝手気ままにピックアップするコーナーを始めたいと思います。




「レイブル」を知っていますか?



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(NPO法人スマイルスタイルウェブサイトより)

独断と偏見で選ぶ、2月1日発売の第208号の読みどころは、ずばり「レイブル」というキーワードでしょう。みなさんはこのことば、知ってましたか?




「レイブル」とは、「レイトブルーマー」、すなわち「遅咲きの若者たち」、もっといえば「ニートのなかで働く意志を持ち行動を起こしている若者たち」を指すことば。大阪のNPO法人スマイルスタイルが彼らの取り組みのなかで提唱している概念です。




第208号で主に紹介されているのは、スマイルスタイルが実施する「大阪レイブル超就活」について。「大阪レイブル超就活」は、大阪府内の一般企業・介護事業所と連携し、1ヶ月間のインターンシップを経て、就労をねらう支援プログラムです。

昨年7月に始まった本プログラム、25人が一般企業での職業体験にトライした結果、現場での働きが認められ、正式採用に至るケースも生まれています。

誌面では受け入れ先企業2社のインタビューも掲載されており、いわく「人材採用という側面はもちろん、社員教育や職場風土の見直しにつながる良い機会になっている」とのこと。企業側にも「レイブル」のインターン受け入れはメリットがあるわけですね。




特に印象的なのは、スマイルスタイル代表の塩山さんのことば。

就労も通学もしていないニートは、一般には働く意志のない「怠け者」と思われがち。だが、実際は「ニート状態にあっても、働きたいという意欲をもち、就職活動に向けた行動を起こしている人が少なくない」と塩山さん。


十把一絡げに「ニート=怠け者」というレッテルを貼るのは違う、ということなのでしょう。「自己責任」ということばで排除するのではなく、社会・会社側が一定の責任を引き取り、彼らを包摂する努力をすべきだと感じました。




本誌では紹介されていませんが、同じく若者の就労支援に取り組む東京都のNPO「育て上げネット」代表、工藤啓さんが書籍「大卒だって無職になる」で書かれていた主張を思い出しました。208号の特集に関心がある方は、こちらの書籍もおすすめですよ。

残念ながら、まだまだ若者を支える活動への世間の風当たりは強い。つまずき、傷つき、立ち止まってしまっている若者に突きつけられる「自己責任論」、いまだ根強い「気合いと根性」の言葉。

でも、もうそんなことを言っている時間はないし、彼らを支援することは社会が前進することなのは間違いないのだから、「支援しない」「放置する」という選択肢を選ぶようなことは、とてももったいないことなのだ。






特集「若者就労支援の最前線」ではスマイルスタイルだけではなく、静岡のNPO法人「青少年就労支援ネットワーク静岡」の取り組みも詳しく紹介されています。

雇用問題に関心がある方は必読ですので、ぜひ路上にてお買い求めください。販売場所はこちらから調べることができます。


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Genpatsu

(2012年12月15日発売、THE BIG ISSUE JAPAN 205号より)




大間原発の建設続行、対岸市町はじめ大きな反対の声



福島原発事故によって中断していた大間原発の建設が10月から再開されている。政府が建設を止める法律はないとの認識を示したため、再開となった。ただ、今後つくられる新しい安全基準に合格する必要はある。




11月14日に超党派の国会議員でつくる国会エネルギー調査会で、同原発の事業者であるJパワー(電源開発株式会社)から同原発に関する説明を聞き、経産省からも考えを聞いた。

新基準に適合するために追加的な工事が必要になるだろうことを承知で建設を再開したとJパワーはいう。なぜ新基準を待てないのかの明瞭な答えはなかった。

同社によれば、現在の工事進捗率は36・7パーセント。参加者からは他電源への転換を考えるべきとの意見が出ていた。筆者もまったく同感だ。というのは、同社は高効率の火力発電技術をもっているからだ。これから原発を作ることに何らメリットはなく、むしろ放射能のごみという厄介な問題を抱え込むだけと考えるからだ。

Jパワーによれば、大間原発の建設を進める理由は電力需要の拡大が予想されるからだという。計画停電や原発停止によって、消費者の節電意識が高まり、大きな成果をあげていることを私たちは実感している。需要の拡大には極めて大きな疑問をもつ。




この日の会合には、大間原発の対岸に位置する北海道から参加があった。説明に使われた写真では、大間原発の立地点から函館市の夜景が間近に鮮明だった。工藤壽樹函館市長、高谷寿峰北斗市長、中宮安一七飯町長らが非常に強い口調で原発建設に反対の意見を述べた。

Jパワーにとっての顧客は電力会社なので、消費者への対応は不慣れで横柄に感じられた。市町村への事前説明と話し合いはなかったそうだ。防災対策の範囲が30キロに拡大されるが、工藤函館市長は避難計画をつくるより建設をやめるべきと、まっとうな主張だ。




他方、経済産業省の核燃料サイクル産業課は、大間原発に期待しているようだ。この原発は大規模なプルサーマルが可能だから、六ヶ所再処理工場の運転とつなげているのだ。2030年代に原発ゼロを目指す方向で再処理をやめるべきところ、原発の建設で解決しようとしているわけだ。向いている方向が真逆だと言わざるを得なかった。






伴 英幸(ばん・ひでゆき)

1951年、三重県生まれ。原子力資料情報室共同代表・事務局長。79年のスリーマイル島原発事故をきっかけとして、脱原発の市民運動などにかかわる。89年脱原発法制定運動の事務局を担当し、90年より原子力資料情報室のスタッフとなる。著書『原子力政策大綱批判』(七つ森書館、2006年)









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(2012年3月1日発売、THE BIG ISSUE JAPAN 第186号より)





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ドイツ、「赤ちゃんポスト」の機能に疑念の声



出産しても育児能力がないなどの理由で、医療機関に匿名で乳児を預けるシステム、「赤ちゃんポスト(Babyklappe)」の機能を疑問視する声が広がっている。

きっかけとなったのは、「ヴェルト」紙が報道したドイツ青少年研究所の調査で、過去に「赤ちゃんポスト」で保護された973人の乳児のうち5人に1人のその後の行方が明らかになっていないことが判明した。

「赤ちゃんポスト」は本来、乳児の命を守る緊急手段として設置されているが、このたびの調査で同制度が機能していない可能性が浮上した。医療倫理問題専門家のヴーペン氏は、「赤ちゃんポスト」そのものの廃止を訴えている。

シュレーダー連邦家庭相(CDU)は、制度の法的な見直しが必要としながらも、廃止は考えていないと表明。ドイツ・プロテスタント教会も「赤ちゃんポストは、不幸な状態に置かれた乳児だけでなく母親にとっても、最終救済手段の役割を果たしている」と主張している。

国内には現在、100の「赤ちゃんポスト」が設けられている。

(見市知/参照:Die Welt)










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ビッグイシューについて

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ビッグイシューは1991年ロンドンで生まれ、日本では2003年9月に創刊したストリートペーパーです。

ビッグイシューはホームレスの人々の「救済」ではなく、「仕事」を提供し自立を応援するビジネスです。1冊350円の雑誌を売ると半分以上の180円が彼らの収入となります。


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2月1日発売のビッグイシュー日本版208号のご紹介です。



スペシャルインタビュー トム・クルーズ


『ミッション・インポッシブル』の華やかなアクションから一転、『アウトロー』で孤独なヒーローを演じるトム・クルーズ。新たな代表作への意気込みを語ります。



特集 わかもの包摂――若者就労支援の最前線


労働市場に参入できず、社会から排除される若者が増えています。たとえば、「ニート」と呼ばれる人は約60万人、「ひきこもり」状態の約70万人を加えると、優に100万人をこえます。
彼らを現状のまま放置するか? 就労できるよう応援するのか?で、社会の未来は大きく変わるでしょう。
ニート人口が約5万の大阪府。NPO法人「スマイルスタイル」は、企業10社と共同のインターンシッププログラム「大阪レイブル(遅咲き)超就活」を実施。若者の職場体験を通して、エスカレーター式に就業に結びつけようとしています。
また、NPO法人「青少年就労支援ネットワーク静岡」は静岡県で300人を超える若者を「静岡方式」で支援、その8割が「就労中・就活中・就労体験中」。拠点を持たず、県内50人のサポーターがメールと電話で情報交換をしながら、担当する若者をパーソナルにサポートしています。
就労は最も有効な社会的包摂の方策でもあります。若者就労支援の最前線をレポートします。



リレーインタビュー 写真家 桃井和馬さん


世界140ヵ国を取材し、紛争、地球環境などを基軸に独自の切り口で写真を撮影してきた桃井和馬さん。自身のターニングポイントは21歳の時、乗員30人中、日本人は2人だけという“ミニ地球”のような帆船で、世界の海を旅したことだったと語ります。



国際記事 スコットランド、退役軍人によるアート展


戦争の記憶や精神的な傷は、軍隊を去った後も元兵士を苦しめ続けます。アートを通じてトラウマを克服しようとする、元兵士たちの作品展が開かれました。



この他にも、「ホームレス人生相談」やオンラインでは掲載していない各種連載などもりだくさんです。詳しくはこちらのページをごらんください。

最新号は、ぜひお近くの販売者からお求めください。
販売場所検索はこちらです。

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Genpatsu

(2012年12月1日発売、THE BIG ISSUE JAPAN 204号より)




大飯原発に活断層? 問われる規制委員会



原子力規制委員会が発足してから2ヵ月が過ぎた。福島原発事故という大きな犠牲を払ってようやく発足した組織だ。

事故以前にあった、原子力安全・保安院は原発を強力に推進していた経済産業省の中にあり、規制組織が推進組織から独立していないと、国際原子力機関も長年にわたって問題にしてきたが、日本政府は規制は十分に機能しているとして、対応してこなかった。




ところが、ふたを開けてみると、原子力安全・保安院も原子力安全委員会も電力会社の言いなりだったことが、国会の中に設置された福島原発事故調査委員会によって明らかになった。

こうして9月に原子力安全委員会が原子力規制委員会に、原子力安全・保安院が原子力規制庁に改組され、強力な権限をもった行政委員会が誕生した。新しい原子力規制委員会だから、私たち住民の安全のためにきちんと規制活動を行ってくれないと困る。





ところが時間がたつにつれて、こうした期待が少しずつしぼんでいくことを感じている。大飯原発の断層をめぐる議論には落胆した。

2基が運転中の大飯原発の敷地内に、破砕帯が見つかっている。地面が割れてずれると、その接触面がこすれて粘土状になる。この部分を破砕帯という。これが今後も動く可能性があるのかどうかが問題だ。重要な機器や設備が破砕帯の真上に設置されているからいっそう深刻だ。

4人の専門委員のうち1人はまぎれもない活断層と主張、2人が活断層を疑い、1人が地滑りの可能性を示唆、そして関西電力だけが強く地滑りだと主張している。




島崎邦彦委員長代理は「12万〜13万年以降にズレが生じたことが確認された。活断層によるものだと考えても矛盾はない」としていたが、結局、継続して調査することになった。4人の専門委員がみな地滑りだと認めるのならともかく、活断層の疑いがある場合には、活断層と安全サイドに立った判断をするべき、と旧安全委員会の手引書に書いてある。判断の先送りといえる。

まず原発を建てる土地を手に入れた後に敷地の詳細な調査をしてきた経緯から、その段階で活断層が疑われても、ないことにして建設してきたのが実情だ。今、あちこちの原発敷地内に破砕帯が見つかっている。原発を止めるという判断ができるか、原子力規制委員会の真価が問われている。







伴 英幸(ばん・ひでゆき)

1951年、三重県生まれ。原子力資料情報室共同代表・事務局長。79年のスリーマイル島原発事故をきっかけとして、脱原発の市民運動などにかかわる。89年脱原発法制定運動の事務局を担当し、90年より原子力資料情報室のスタッフとなる。著書『原子力政策大綱批判』(七つ森書館、2006年)









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仕事大好き人間な私に迫られる、仕事か恋愛か。



最近フラレました。私の残業が多く土日も仕事で、「いつも二番手、〝都合のいい男〟なのが耐えられない」と言われたのです。いざ彼を失ってみて、彼がいたからこそ、つらい仕事も頑張れたと気づきました。今でも彼と電話やメールのやりとりをしますが、いざ復縁となると、聞く耳を持ってくれません。私も仕事優先の毎日に疑問を抱くようになってきてしまい、どっちを選んでも後悔しそうです。
(女性/会社員/35歳)





これまでこの女性は彼氏さんに「仕事も大事だけど、あなたも大事なのよ」ということを言ってこなかったんでしょうね。彼氏さんが女性のことを嫌いだったらメールも来ませんから、まだ復縁の可能性はあると思います。

ただし、二人で意地をはっていてもうまくいきません。はっきり言って、この二人を隔てているのは、恋愛ではなく、仕事なのではないでしょうか。




まぁ、これは僕の理想でもあるんですけど、彼氏さんは甘えたいんではないでしょうか。

「あなたはこうしたらいい」が、「私の言うことを聞きなさい」になってしまったんじゃないんでしょうかねぇ。女性は彼氏さんを守ってあげるぐらいの気持ちで、接してあげるといいと思います。




さっきも言ったように、二人の問題は仕事のように思いますから、仕事についてとことん話し合うか、逆に仕事については、何も話さないというルールを決めるかの、どっちか。この女性は仕事が楽しいって言うけれども、毎日が楽しいってことはないと思います。その悩みを彼氏さんに、素直にぶつけてみたらどうでしょうか?




ちょっと毒を吐いちゃいますけど、仕事が楽しいっていう相手の話は、そうでない人間にとっては、自慢にしか聞こえないんですよね。

だから、彼氏さんが仕事の悩みについて相談したくても、男のプライドが邪魔をして言えなかったのかもしれません。そう、お互いが負けず嫌いで、男同士がつき合っているみたいになっちゃってたんじゃないですか。




仕事の話をしないと決めた場合は、彼氏さんに笑顔でニコニコと接してあげて、彼氏さんの好きなことを最優先してあげて。カレーや肉じゃがとか彼の大好物を作ってあげましょう。

ウケ狙いも含めて、「お帰りなさいませ。ご主人さま」ぐらいに、メイドカフェ気分で彼氏をもてなしてあげるのもいいと思います。これもまた僕の理想なんですけど(笑)。


(東京/H)






(THE BIG ISSUE JAPAN 88号より)




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前編「”水“赤字国、日本。沖大幹さんが語る、バーチャルウォーター(間接水)から見える世界(1/2)」を読む




”水“赤字の日本。バーチャルウォーター年間640億トン



ここまでくると勘のいい人は気づいたかもしれない。なぜ日本では、水があり余っているように見えてしまうのか? そのカラクリが——。


570億トン(㎥)。これが日本国内で農産物の生産に使われるおよその水量(年間)。この数字だけを見れば、日本は他の先進国と比べてもそれほどの量を使用していないといえる。



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しかし輸入しているバーチャルウォーターの水量はそれを上回る、およそ640億トン。この国はある意味で”水“赤字といえなくもないのだ。



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「カロリーベースで食料自給率が40%なんですから、数字が大きくてもおかしくないですよ。非常に妥当な数字だと思いますけどね」




途上国はお金がないゆえ間接水には頼れず、人々が飢え死に、日本はその経済力でもって水・食料を確保しているだけのこと。水がただあり余っているわけではないのだ。

それにしても、どうして日本のバーチャルウォーター依存度はこれだけ高いのだろうか? 食糧自給率が低いせい? 確かにそうなのだけど、もっとわかりやすい理由がある。その鍵は日本の”肉食化“にある。




つい昔まで牛肉は奮発しないと買えないような贅沢品だった。それが今は牛丼をはじめ、安く、気兼ねなく食べられるイメージまである。この牛肉にかかるコストというのが実は莫大なものだ。私たちに身近な”米“を例にあげれば、米を1キロ生産するのに最低1900リットルほどの水が必要とされる。

しかし牛肉の場合、同じ1キロを生産するのに1万5000リットルもの水が必要になるのだ。(※)これは単に飲み水だけでなく多くの飼料が牛の育成に必要となるためで、この数字は他の食料と比べても群を抜いている。日本の間接水輸入のかなりの部分は、この牛肉の消費のために引き起こされているのだ。


※(アメリカでの値。沖さんらによる日本での統計では、米1キロ生産に約3600リットル、牛肉1キロに約2万1000リットルとなる)




残飯率世界一の称号を返上したい




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「牛丼1杯2トンとか、ハンバーガー1個に1トンとかの水が必要とされているんです。お店のメニューにカロリーがどれぐらいと数字があるのと同じように、この食べ物にはこれぐらいのバーチャルウォーターがかかっています、みたいなものが載せられたらいいですよね」




一方で、莫大な輸入を続ける日本のもうひとつの顔は食べ物を無駄に捨てる”残飯率世界一“の称号。

「バイオ燃料のために穀物の値段が多少上がっているなか、日本は輸入できても、それを買えない国が出ます。日本がどんどん買って捨てるようなことをしているせいで、やっぱり他の国に迷惑がかかる。残飯を減らすとその分、食輸入も減らせるわけです。日本の買えるものを、お金のない国が買えるとは限らないわけですが、それによって水・食料が他の国に行く機会が増えて、少しは影響を与えるんじゃないかなという期待ができます。また、途上国の水確保に技術支援、資金支援、人的支援をし、それらの国が自前で水と食糧をもっと確保できるようにすることも大事だと思います」




水が、単に飲み物、食べ物として存在するだけじゃないことも思い出そう。

想像してみてほしい。就職活動をしているとき、一週間、顔や身体を洗わずに、果してあなたは面接に行けるだろうか? 水を流せず、ただただ溜まっていくトイレの汚物の臭いに、あなたは一体何日間、耐えられるだろうか?




「目の前にある食べ物は……まあ食べ物に見えますよね。だけど水問題を考えたときに、食料の裏にある水、水道からジャーっと出てくる水じゃない、手の触れられない水、その”見えない水“にちょっと想いを馳せていただいて、それが単に自分が食べるものを作った水なんじゃなくて、このおんなじ時代に、文化的で最低限な生活のためはおろか、生きるためにも水が得られない人がいるんだな、あるいは、後の時代の子供たちが同じように水で遊べるのかな?と、縦横に想像力を馳せていただくことが大切なんじゃないかと思います」

(土田朋水)
photo:高松英昭





沖 大幹(おき・たいかん)
1964年生まれ。東京大学生産技術研究所人間・社会系部門教授。専門は地球水循環システム。日本におけるバーチャルウォーターの数値化に取り組み、話題を呼んだ。人間活動の影響を考慮した上での世界水循環水資源モデル構築を目指し、現在および将来的に水の存在する場所、水の不足する地域の見通しを立てることで、持続可能な水利用を目指す。

ウェブサイト





(参考文献:『水の世界地図』監訳=沖大幹、訳=沖明)










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Genpatsu

(2012年11月15日発売、THE BIG ISSUE JAPAN 203号より)




六ヶ所再処理工場、2013年4月本格運転予定



10月27日、東京の日比谷で屋内集会とデモがあった。前日の金曜には恒例の官邸前抗議行動があり、連日のためか、日比谷の集会はこじんまりとしたものとなった。

屋内集会では、原発ゼロ政策や核燃料サイクル、そして原子力規制がテーマだった。スピーカーの一人に青森から佐原若子さんが加わってくれた。




青森には、原発、核燃料再処理、放射性廃棄物の埋設や一時貯蔵などの核関連施設がある。この中で原発ゼロ政策と強く関連するのは、再処理工場と大間原発の建設再開だ。

再処理工場は、原発で使い終わった燃料を化学処理してプルトニウムを取り出す工場だ。プルトニウムは原発の燃料に利用する。原理としては成立するのだが、経済性がない。事故の危険性もいっそう高くなる。世界的に見てもフランス以外は撤退している。そのフランスも再処理工場を造ったから続けているので、規模を増やす計画はない。




青森の工場は地名から、六ヶ所再処理工場と呼ばれている。佐原さんによれば、工場は1993年から8年の歳月をかけて完成し、試験運転に入ったが、その後トラブル続きで、現在も試験中だ。本格運転の時期は2013年10月とされている。

建設費は当初の3倍以上の2兆2000億円に達している。沖縄を除く各電力会社が再処理契約をしているから、建設費を負担させられているのは私たち消費者だ。さらに、この工場が本格的に動き出せば、原発が1年の間に大気や海に放出する放射能を1日で出すと言われるほど、環境への影響の大きい施設だ。




また、大間原発は本州最北端の大間崎のすぐ近くで建設中だ。40%程度進んだところに福島原発事故がおきて、工事は止まった。しかし、政府が認めない新増設には当たらないとの枝野大臣の発言を受けて、10月に工事を再開してしまった。再処理との関連が強く、プルトニウムの多くをこの原発で使用することが可能だ。

津軽海峡をはさんで対岸の函館は市をあげてこの建設計画に反対している。地震や近くの海底火山の影響などが事故につながるのではないかと、懸念されている。

これらを止めるのは私たちみんなの問題なのだと佐原さんは参加者の心に切に訴えた。






伴 英幸(ばん・ひでゆき)

1951年、三重県生まれ。原子力資料情報室共同代表・事務局長。79年のスリーマイル島原発事故をきっかけとして、脱原発の市民運動などにかかわる。89年脱原発法制定運動の事務局を担当し、90年より原子力資料情報室のスタッフとなる。著書『原子力政策大綱批判』(七つ森書館、2006年)









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