連載開始以来、多くの反響と書籍化のご要望をいだたいた東田直樹さんのコラム「自閉症の僕が生きていく風景」が、ついに書籍化します。
ビッグイシュー単行本第3弾『風になる―自閉症の僕が生きていく風景』の出版を記念して行った記者会見のようすをお届けします。


12月1日、東京・赤坂にあるスワンカフェ&ベーカリー赤坂店で、出版記念記者会見を行いました。
昼過ぎまで雨もようだった空も、会見が始まるころにはすっきりと晴れ、青空から柔らかな光がさし始めました。ガラス張りの明るい店内には淹れたてのコーヒーの香りが満ち、温かな雰囲気の中で会見が始まりました。

著者の東田直樹さんは重度の自閉症のため、頭にうかんだことばを覚えていることが難しく、通常の会話ができないそうです。そこで、手作りの紙の文字盤を指差しながら、一音、一音、発し、一かたまりのことばとして発語します。
「今日は、僕のついに出ることになった本の記者会見の会場に来てくださり、ありがとうございます。この本を書いたのは、自閉症の人たちは特別な存在ではなく、みんなと同じように悩み、苦しみ、そして喜んでいたり、楽しんでいたりしていることをわかってもらいたかったのです。自閉症の説明をしていると思われるかもしれませんが、どちらかというと、僕の価値観を表現したものです。どうか多くの方に読んでもらいたいです。どうぞよろしくお願いします。おわり」

筆談を経てたどり着いたこの独自の発語方法で、ゆっくりと発語する直樹さんのご挨拶で、会見は始まりました。



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文字盤を使って発語する直樹さんと
隣でサポートする美紀さん


夕焼けがあるからこそ今日の日に終わりがある。
聞いてほしいと思うような一日に感謝ができる。



直樹さんからのご挨拶の後、会場からは次々と質問の手があがりました。

―文字盤を指しながらことばを発するのに、訓練が必要だったのではありませんか?
「僕は、話そうとすると頭の中がまっしろになってしまうのです。そのために、自分のことばを思い出すという訓練が一番大変でした。おわり」


―ビッグイシューで連載を始めてから、心境の変化はありましたか?
「自分のことは、自閉症という障害を知っている人にだけ理解してもらえるものだと思っていましたが、いっぱいの反響をいただいて、誰にも伝わる内容であるとあらためてわかりました。おわり」


―演出家・宮本亜門さんとの対談(ビッグイシュー190号)はどうでしたか?
「対談は初めてでしたが、とても楽しかったです。1人の人と時間をかけて話すことで、僕自身も新しい自分を知ることにもなりました。」


―「夕焼けのオレンジは命の色」(単行本収録のコラム)について。今も東田さんにとって命の色はオレンジ色なのですか?
「僕の命のイメージは、今でも夕焼けのオレンジです。なぜなら、夕焼けがあるからこそ、今日の日におわりがあることを知り、聞いてほしいと思うような一日に感謝ができると思います。だから、夕焼けは命のいろんなものを宿しています。おわり」


―これから先は何をしたいですか?
「作家として、もっとたくさんの文章を書きたいことと、どんな人にも内面というものがあり、それぞれが大事な人間であることをわかってもらいたいです。」


―ビッグイシューを販売するのは路上生活者ですね。路上生活者も、直樹さんのように障害を持つ人も、またその他にもいわれのない差別や偏見をうける方は多くいらっしゃると思います。差別や偏見をなくすためにどのような社会になったらよいと思われますか?
「僕は差別や偏見は誰もがもっているものだと思います。それは人間が集団で生活しているからです。そうして強い者がリーダーとなり、社会がなりたつのでしょう。
できることは、無理に差別をなくしてしまおうと思うより、みんなが今より少しだけ優しくなることを目指すことの方が現実的だと思います。おわり」


質問が相次ぎ、60分を予定していた会見は、5分の休憩をはさみ90分に及びました。
会見の終盤、発語の途中で「つかれるー」ということばがもれ、会場の雰囲気がより和やかになる場面もありました。長時間の会見は、初めてのことが苦手な直樹さんにとっては心身ともに大変な体験であったことでしょう。

直樹さんからのご挨拶で会見は締めくくられました。
「僕はビッグイシューに連載させていただいてよかったと思っています。なぜなら、こうして多くの人に僕のことを知ってもらえたからです。今日の会見はうまく話せないところもありましたが、僕は初めてのことが苦手なのです。今日、来てくださって本当にありがとうございました。どうぞ、これからもよろしくお願いします。おわり」



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手作りの文字盤。
直樹さんは、一文字ずつ指してことばを思い出しながら発語します。

「わかっているのだけれど、思い出せない人の名前を思い出す感じ」
に近いのだと美紀さんは話してくださいました。

誰もが豊かな内面を持ち合わせている



直樹さんの発語には、不意に途切れる瞬間がたびたびおとずれます。
質問の途中、席を立ち、外を走る車をガラス張りの窓から眺めたあとにすっと席に戻ったり、美紀さんの腕時計を確認したり(美紀さんは直樹さんが落ち着くよう「終わったら」「3時」と応えます)、また、「おかあさーん」「タクシー」「福岡空港」「柿がふたつ」など、それまでの発語や質問の内容とは直接関係のないことば、1フレーズくらいの歌や英文を口にすることもあります。
直樹さんのことを何も知らない人がいあわせたら、びっくりするかもしれません。

直樹さんの質疑応答のあと、美紀さんから次のようなことばがありました。
「重度の自閉症の直樹は言動のコントロールがうまくいきません。自分の意思とは関係なく動いてしまうことがあります。好きでやっているわけではなくて、つい気をひかれてしまう。今も、直樹は車が見たくて席を立っているのではなくて、会見をちゃんとやりたいという気持ちはあるのです。しかし、コントロールがうまくいかないために、他人から見たら変わった行動に見え、“どうして今あんなことを?”という見方をされてしまうのが、一番の直樹の困難だと思います。
これまで、重度の自閉症で内面を表出できる方がそれほどいらっしゃらなかったということもあり、“そういう人は知能が低くて、わかっていないから、周囲には理解できないような行動をしてしまうのだろう”と考えられてきたと思います。けれど、私たちでも話すのがすごく上手な方も、口下手な方もいらっしゃるように、それぞれに豊かな内面があってもそれを外に出せないだけ、という人が世の中にはいらっしゃるのではないかなと思います。直樹だけが特別なのではなくて、障害が同じならば他の人にもそういう内面があるのではないのかと考えています。」


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完成した本を手にする直樹さんと美紀さん

直樹さんの口から一音、一音、発せられることばは、簡潔でありながら、「人はなぜ生きるのか」という大きな問いへの答えを一人ひとりが考える手がかりに満ちていました。自分のことも、他の人のことも、「生きている」というただそれだけで賞賛したくなるような記者会見でした。

『風になる―自閉症の僕が生きていく風景』は、連載コラムを加筆・再構成し、宮本亜門さんとの対談(ビッグイシュー190号)も収録しています。何度も読み返し、ゆっくりと長く読み続けていただけるような本になりました。大切な人へのプレゼントにもおすすめの一冊です。
発売から約1ヶ月間はビッグシュー販売者による独占先行販売となります。ぜひお近くのビッグイシュー販売者からお求めください。



cover

ビッグイシュー単行本第3弾『風になる―自閉症の僕が生きていく風景』(東田直樹著)

(ビッグイシュー日本 東京事務所 販売サポート 長崎友絵)


BIG ISSUEから東田直樹さんの本が2冊出ています。


BOOKS
社会の中で居場所をつくる 自閉症の僕が生きていく風景(対話編・往復書簡)
東田直樹・山登敬之 著
作家であり重度の自閉症者の東田直樹さんと、精神科医・山登敬之さんの立場をこえた率直な往復書簡。「記憶」「自閉症者の秘めた理性」「純粋さ」「嘘」「自己愛」「自分らしさ」など、根源的な問いが交わされる。
2015 年12 月発売
定価1600 円(税込)
B5判変型
(800 円が販売者の収入になります)
--
風になる 自閉症の僕が生きていく風景(増補版)
東田直樹 著
発話できない著者が文字盤で思いを伝えられるようになるまでの日常や、ありのままの自分を率直に語る。連載エッセイ74 編、宮本亜門さんとの対談も収録の増補版。路上で一万冊突破。
2015 年9月発売
定価1600 円(税込)
四六判
(800 円が販売者の収入になります)

2016/10/14よりクレジット決済が可能になりました。

<ご購入方法>


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送料は冊数に関わらず100 円です。 ご入金を確認後にお送りします。

ご入金金額:ご希望の本の代金 × 冊数 + 送料100 円
郵便振替口座番号: 00900-3-246288
加入者名:有限会社ビッグイシュー日本
TEL:06-6344-2260  E-mail:info@bigissue.jp
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(2007年1月15日発売、THE BIG ISSUE JAPAN 第65号 [特集 冬、満喫—冬ごもりレシピ]より)
飲んで心地よく安眠するもよし、景気をつけて夜更かしするもよし。家で楽しむ冬のカクテルは、誰に気づかうこともなくマイペースで楽しめる。家で簡単に作れるカクテル6種とカクテル風ソフトドリンク3種のレシピを、大阪ミナミのバーテンダーぶぅやんさんがセレクト! 明るいキャラクターでファンも多い、ベテランバーテンダー、ぶぅやんおすすめの心も身体も元気になる “ほっこりカクテル”たちが勢ぞろい。


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Genpatsu

(2012年10月1日発売、THE BIG ISSUE JAPAN 200号より)




9月12日、43団体が「原発ゼロ」確約を求める申し入れ




福島原発事故から1年半が過ぎた。報道によれば、浪江町は、放射能汚染の比較的少ない地域の避難指示区域の解除を5年間遅らせることを決めたという。損害賠償に関連する問題でもあるが、ライフラインや居住環境の整備に時間がかかることも大きい。たとえば、中間貯蔵場所が決まらないので除染が進まない。道路やいたるところで寸断されている下水道の復旧などに時間がかかる、などの問題がある。

高い放射線量に子どもの将来を心配して移住を願う若い世代、住み慣れたふるさとに一日も早く戻りたい年配者たち、人々の苦悩は続いている。

エネルギー政策の転換も苦悩のただ中にある。原子力に関する選択肢の国民的議論の検証結果は、「国民の過半が原発に依存しない社会にしたいという方向性を共有している」だった。民主党内のエネルギー環境調査会は、これを受けて、「2030年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入する」とまとめた。最長10年延びたことは非常に残念だった。

ピースボートが急きょ呼びかけて、9月12日に43団体が集まって「原発ゼロ」の確約を求める申し入れを行い、うち、14団体の代表が記者会見を行った。民主主義国家なら国民的議論の結果を受け入れるべきだ。

14日午後に公表された新たなエネルギー政策には、「2030年代に原発ゼロ」のメッセージは入った。しかし、原発ゼロを撤回するべきと、経済界がこぞって反対の意見を表明したからか、政府の方針として閣議決定することができなかった。

さらに、核燃料サイクルは続行となってしまった。電力会社や三村申吾青森県知事を説得できなかったのだろう。原発ゼロなら六ヶ所再処理工場も止まるからだ。また、米国政府が原発の維持を求めているとも伝えられている。米国では79年の事故を契機に原発建設が衰退し、今では製造能力がなくなっている。日本の技術に期待するのはお門違いではないか。福島原発事故の悲劇は彼らには伝わっていないようだ。

よいニュースもある。前回報告した脱原発基本法案が103人の議員の賛成・賛同を得て衆議院へ提出され、継続審議となった。議員の過半数にはまだまだだが、脱原発法制定運動が産声をあげて歩み始めた。






伴 英幸(ばん・ひでゆき)

1951年、三重県生まれ。原子力資料情報室共同代表・事務局長。79年のスリーマイル島原発事故をきっかけとして、脱原発の市民運動などにかかわる。89年脱原発法制定運動の事務局を担当し、90年より原子力資料情報室のスタッフとなる。著書『原子力政策大綱批判』(七つ森書館、2006年)









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78人生相談



トラブル続きで崖っぷち。これまでの自信はすべて勘違いだったかも…。




不運続きで自分に自信が持てないでいます。これまで強気に生きてきたけど、すべて根拠のない自信だったと気づきました。①仕事が定まらず転職を繰り返す。勤務先が2年位すると業績悪化にて収入減。②プライベートでも、恋人ができない。③引越したいけど、大型犬を飼っているため、よい物件(価格、環境)に巡りあえず、もう10年。よきアドバイスをお願いします。
(女性/36歳/会社員/東京)







この人は今、思い描いていた計画と現実にギャップがあるから、自分の状況を不運だと思うんだろう。でもね、人生は発見の連続。意外性があるから、楽しいんですよ。

かく言う私もこう考えられるようになったのは、つい最近のこと。こうやって仕事を見つけて、いろんな人に支えられて生きているけど、今年の2月には死にたいとまで、思いつめていたこともあったんですよ。

こないだ夜に目がさえて眠れなかったものだから、”人生で大好きだった人ベスト10“というのを書き出してみたんです。選出のポイントは、眠れないほど好きだったかどうか。第1位は19歳の時、手も触らず、何もないまま終わってしまった人。昔は何でも見返りを求めてたけど、吹っ切れた今はずいぶんラクになったな。

この人の自信回復への特効薬は、誰かにホメてもらうことでしょ。”不運リスト“の中では、②から始めるのがおすすめ。恋人からホメてもらうのが一番効くからね。一つでも自信を持てば、物事はどんどん好転していくはず。出会いがないって言うけどね、男女の出会いなんてものは、確率ですよ。パーティや飲み会にちょくちょく顔を出してたら、すぐに見つかるもの。

ただし、いいオトコを見つけても、すぐに行っちゃダメ。焦らないこと。遠くから観察して。せっかく見つけた気になる相手なんだから、いいところをいっぱい見つけてからアタックして。その方が、絶対に話が弾むはずだから。深刻にならないで楽しむことを優先して。
54歳の私から見たら、30代なんてこれからですよ。

ただ、この人がパーティに行くのに気が引けるぐらいに引っ込み思案だとしたら、本を読んで積極性を学ぶといい。宇野千代さんや田辺聖子さんなんかの本がいいね。積極的な人生の大先輩というのは、意外と物事をひょうひょうと軽く捉えて、生きている。瀬戸内寂聴さんまでいくと刺激的すぎるかもしれないけど。あはは。

私はこの人に会ったこともないけれども、魅力ある女性だと思う。物事を考えている女性の横顔は美しいもの。だから、自信を持って。

(東京/O)





(THE BIG ISSUE JAPAN 78号より)











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(2010年9月1日発売、THE BIG ISSUE JAPAN 第150号より)










中国、「裸婚」は流行か必然か?



「裸婚」とは家も車もなく、裸一貫から結婚生活を始めることを指す。2008年の金融危機以降、「裸婚」に注目が集まり、登記所で9元(約100円)払って結婚証をもらうだけで結婚式も挙げない結婚を「全裸」、指輪の交換など結婚式らしいことをすれば「半裸」というように流行語も生まれている。

伝統的結婚観より独自の結婚スタイルを好むカップルもいるが、お金がなくて「裸婚」を選ばざるを得ないのが大半である。結婚時に重視されるモノは、70年代は自転車、腕時計、ミシン、80〜90年代は冷蔵庫、テレビ、洗濯機だった。

今は家、車、お金となったが、不動産価格の高騰で家は高嶺の花である。13万元(約162万円)かかるといわれる結婚式も省略、簡素化の傾向にある。

インターネット上で行われた調査で、男性の8割が「裸婚」に賛成、女性の7割が反対という結果が出た。反対理由の多くは、経済的基盤がなければ安心して生活できないからだという。

(森若裕子/参照:時尚新聞、成都晩報、東方網)


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Genpatsu

(2012年9月1日発売、THE BIG ISSUE JAPAN 198号より)




原発パブリックコメント、8万9000件




福島原発事故後のエネルギーのあり方を問うパブリックコメントが8月12日に締め切られた。2030年までに原子力発電の割合をどの程度にするのが望ましいか、選択肢が提示されていた。具体的には、原発ゼロシナリオ、15パーセント程度まで減らす15シナリオ、そして20〜25パーセント程度に維持するシナリオの3択だ。これらはいずれも達成可能なものである。

原子力資料情報室も積極的に応募しようと、ホームページをはじめ機会を見つけては呼びかけた。7月末に苗場で開催されたフジロックフェスティバルのNGOビレッジでも、よい反応が得られていた。どれくらいの応募があったのだろうかと公表を心待ちにしていたところ、17日の報道で8万9000件を超えたことがわかった。原子力関連の分野では過去最高の件数だ。

応募意見は、エネルギー・環境会議のホームページで順次公開されるが、23日の時点ではうち2万件分が公開されている。中には選択肢への回答と言えないものもわずかにあるが、大部分はきちんと意見が出されているようだ。そして、原発ゼロを選択する意見が9割を超えているようだ。

パブリックコメント以外にも全国11ヵ所で意見聴取会が開催された。政府の担当者を招いて自主的な会合を主催した市民グループもあった。傍聴や発言希望者は約7割がゼロシナリオを支持していた。また、討論型世論調査も東京で開催されたが、結果はゼロシナリオが多数を占めた。

エネルギー・環境会議はこれらに加えてマスコミなどの世論調査も参考にするという。これらも、やはりゼロシナリオが過半数を占めているようだ。

しかし、日本経済団体連合会(経団連)はゼロシナリオに強く反対している。経済成長をいっそう促し、国民総生産を増やすためには、原発が不可欠だというものだ。原発の安全対策を強化すれば事故など起きないと考えているようだ。

とはいえ、国の将来に脱原発を考える経営者たちが福島事故後にネットワークを立ち上げた。経済界も一枚岩ではなくなっている。

8月6日に野田首相は広島で行った記者会見の席上、原発依存度をゼロにする場合の課題の整理を関係閣僚に指示すると発言した。政府の結論は9月にずれ込むとのことだ。国会は解散風が強くなってきているが、せっかくの流れが水泡に帰すことは避けたいものだ。








伴 英幸(ばん・ひでゆき)

1951年、三重県生まれ。原子力資料情報室共同代表・事務局長。79年のスリーマイル島原発事故をきっかけとして、脱原発の市民運動などにかかわる。89年脱原発法制定運動の事務局を担当し、90年より原子力資料情報室のスタッフとなる。著書『原子力政策大綱批判』(七つ森書館、2006年)









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Genpatsu


労働者の被曝線量計を鉛で覆い不正操作。拒否した3人は解雇



爆発で放射能にまみれた福島第一原発の復旧作業で、被曝線量を少なくするために、ある下請け企業が不正を行っていたことが内部告発から明らかになった。

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77人生相談




仲良し家族を目指す私。そうでない夫にイラ~ッときます



 高校時代に知り合った夫と10年の交際期間を経て、結婚して3年目です。実家では誰かが帰ってくると「お帰り」「今日どんなことあったの?」と声をかけるのが普通だったのですが、夫は自分からはあまり挨拶をしません。うちの実家ではお誕生日会などを盛大にやるのが恒例で、夫の家でもと思うのですが、夫はあまり乗り気ではないようです。実家のような仲良し家族を目指している私は、そんな夫にイラ~ッとくることも。夫とはそれ以外は関係も良好なのですが…。(女性/派遣社員/31才)






オレなんかもそうだけど、奥さんはちょっと自分中心に物事を考えているんじゃないかな。奥さんに理想や生き方があるように、旦那さんにだって理想や生き方があるはず。少し旦那さんの立場で考えてみてあげたらどうだろう。旦那さんの家では、奥さんの実家とは違うカタチでそれなりに仲良くやってきたのかもしれないよな。

夫婦というのは、これから何年、何十年もつき合っていく関係。旦那さんにとって奥さんみたいな明るさは大切だけど、家庭というものは二人で協力してつくりあげていくべきもの。旦那さんの本音を探りつつ、歩み寄ってみては。

旦那さんが挨拶しないってことだけど、挨拶は人間関係の第一歩でもあるけど、習慣でもある。この夫婦は高校の時から知っているのに、奥さんが相談してくるってことは、最近、旦那さんにとって何か気落ちするようなことがあったのかもしれないな。

奥さんの年齢から察すると、旦那さんは会社で課長か主任ってところ。上司からお小言を言われ、部下の教育もしないといけない立場。上司と部下のサンドイッチになって疲れきっているのに、家に帰ってまで奥さんに気を使いたくない気分になっているのかも。

オレがそうだったように、将来、旦那さんが突然リストラされる可能性だってある。これまでいい夫婦関係だとしても、突然ダメになるなんてことはザラさ。無理に物事を変えようとしても本質は変わらない。

強引に何かを変えようとするとどこかでつまずきがある。はっきり言って、成り行きに任せるしかないと思う。まずは、どういう家庭をつくっていきたいのか、二人でじっくり話し合ってみるべきだね。

正直いうと、男は遠回しに攻めた方が、心を開く。旦那さんが機嫌のいいときに何気なく聞いてみるといい。まず奥さんが今日あった出来事を話してから、次に旦那さんが話をしてくるのを待つ。旦那さんが話しやすいように、趣味や好きそうな話題をふってあげるのもいい。自分の得意なことを聞かれるのは、誰だって気分がいいものだからな。

(東京/K)





(THE BIG ISSUE JAPAN 77号より)












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将来の夢は子どもも気軽に立ち寄れる、たこ焼き屋を兼ねた喫茶店の開業



おしゃれなカフェや雑貨屋が立ち並び、歩くだけでも楽しい街、神戸。ビッグイシューの販売を始めて半年になる武蔵さん(仮名・53歳)が立つのは、学生でにぎわう阪急岡本駅。

雨の日以外は、朝10時から夕方6時まで立ち続け、1日の売り上げ平均は20冊。マイペースで笑顔、気持ちが暗くなったら道行く子どもの顔を見て元気をもらう、それが武蔵さんの販売スタイルだ。




「お客さんは老若男女ですが、常連さんには上品な年配の女性が多いですね。高校生や大学生の女の子にはたまにいじられます(笑)。この前も後ろで束ねている髪の毛を引っ張られて、『しっぽ』ってからかわれてね〜」と、照れくさそうに話す武蔵さん。出身は九州の別府で、海と山に囲まれた自然の中で育った。小さい頃は母親の後ろに隠れるような、内弁慶で甘えん坊な子どもだった。

「両親と父方のおばあちゃん、兄姉4人に末っ子の僕で8人家族。兄姉は年が離れていて、同級生もまわりにいなかったから、よく山の中で一人で遊んでました。それから、“ふくちゃん”という名前のフクロウを飼ってたね。法律的には飼っちゃだめらしいんだけど、猟師さんが捕まえたのをもらって。今でもフクロウは、やっぱりかわいい」とほほ笑む武蔵さんだが、当時、思ってもみないことに見舞われた。




それは、中3の時に医師から結核と診断され、突然やってきた3年間もの入院生活。しかも、高3で転院のため大阪へ出てから、何と結核というのは誤診で気管支拡張症だとわかり、すぐに手術をしたが、肺の3分の1を失うことになった。

「退院後は学校に行こうと思ったんです。でも自信がなくて、しばらくは何もしないまま。それがある日、新聞で伊丹空港のガードマンの仕事を見つけて、3年間働きました」

それ以降30年間、主に警備業に携わることになった。今でも警備の仕事には自信があるが、なかなかきつい仕事だという。実際、空港の管制塔の警備を始めた時は、2日目で足の裏の皮が全部めくれてしまったほど。最終的には建物の解体屋の手伝いの職を得たが、その頃には左目の先天性白内障が進み、自分の指の数さえ見えないぐらいになってしまっていた。何かをつかむにも手と物との距離感がつかめず、ケガすることも度々。結局、それが原因で仕事を辞めざるをえなくなり、寮も出て行くはめに。




「最初は寝場所がわからず、大阪駅の辺りをうろついてた。すでに路上生活している人たちの中に入っていく勇気がないから、ホテルのトイレの中で寝たりして。でも、ああいう所ってタイマーが設置してあって、長時間入っていると警報が鳴ってガードマンが来るんです。それで追い出されては違う建物のトイレを探し、20〜30分ごとに寝るという生活。でも身体がもたなくて、最後は、梅田の東通り商店街にあるビルの一角で寝てました」

そんなある朝のこと。何気なしにベンチの上に置いてあった新聞を広げてみると、出てきたのはビッグイシューの「路上脱出ガイド」。ビッグイシューのことは以前テレビで見て知っていたこともあり、事務所の扉をたたいてみた。

「最初は自信がなかったけど、実際にやってみたらおもしろい。お客さんとの会話が特に楽しいね。初めはホームレスという自分をアピールして買ってもらおうとしてたけど、今は『ホームレスという自分を売っているんじゃない、ビッグイシューという雑誌を売っているんだ』と思ってる」




そうして、武蔵さんはこのビッグイシューの雑誌が大好きに。


「特集がおもしろいね。一番心に残っているのは、139号『耳すます』の、目の見えない三宮さんの記事。『生きてても大丈夫なんだ』という言葉には、心の涙がぎょうさん出てきた。この言葉は裏を返せば、『死んでもいいという自分の存在』があったということだから……」




そんな武蔵さんに、うれしい出来事が訪れる。この記事の感想を何気なく一人のお客さんに話したところ、何とその女性が武蔵さんのことを新聞に投稿してくれたのだ。武蔵さんは今もそのうれしさを胸に、新聞の切り抜きをいつもカバンに入れて大切に持ち歩いている。

「一度しかない人生、楽しまなくっちゃ」と言う武蔵さん、近々白内障の治療をする予定だ。将来の夢は、子どもが気軽に立ち寄れるたこ焼き屋を兼ねた喫茶店。「お酒が好きだから、夜はお酒も飲めるお店にしたいね。店先にはビッグイシューの販売者が雨の日でも立てるスペースもつくりたい」

実現すれば、武蔵さんのお店には、きっとたくさんの笑顔があふれることだろう。

(馬嶋慶子)





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阪急岡本駅南側付近で


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