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公営住宅制度─募集戸数、10年で54パーセント減



公営住宅法は「住宅に困窮する低額所得者」のために1951年に創設された。国庫補助をもとに地方公共団体が建設・所有・管理する低家賃の公営住宅は、セーフティネットを構成する中心手段である。しかし、住宅政策の市場化が進むなかで、公営住宅の役割はしだいに限定されてきた。

第1に、量が減った。経済が停滞し、住宅確保の困難な世帯が増大したにもかかわらず、公営住宅の新規建設はほとんど停止に近い水準にまで減少し、さらに、ストックさえ減り始めた。公営住宅を建て替える事業では、管理戸数の減少をともなうケースが増大し、それがストックの縮小に結びついた。

管理戸数は、2005年のピーク時に219.2万戸であったのに対し、10年度末には217.1万戸に減った。募集戸数は、1997年の21.0万戸をピークとして急減し、2007年には9.7万戸となった。このため、応募倍率は高く、2010年のデータによると、東京都では29.8倍、大阪府では17.6倍であった。

第2に、供給対象が狭められた。公営住宅入居要件である収入基準のカバー率(入居資格をもつ世帯数の総世帯数に対する割合)は、1960年代半ばでは60%であったのに対し、70年代に33%まで低下し、96年の法改正によって、25%まで下がった。さらに、公営住宅は、「福祉住宅」と化し、「高齢」「障害」「母子」などの「福祉カテゴリー」に合致する世帯をおもな対象とする傾向を強めた。

これは、住宅セーフティネットの対象を稼働能力の弱い世帯に限定し、公営住宅の少なさを正当化する政府方針を表している。高齢でも母子でもない、といった世帯は、稼働能力をもつとみなされ、たとえ低所得であっても、公営住宅入居の機会をほとんど与えられず、就労収入によって市場住宅を確保するように求められる。

第3に、地方分権の影響をみる必要がある。前世紀の末から、中央政府は、地方政府に対して、より自主的な施策展開と経済自立を求めてきた。この枠組みのなかで、住宅政策の主体を中央から地方に移そうとする力が強まった。しかし、低所得者向け住宅対策は、地方政府の税収の伸びに貢献せず、福祉関係の財政支出を増大させる。このため、地方公共団体が公営住宅を積極的に供給し、セーフティネット整備に熱心に取り組むことは、ほとんどありえない。地域主権一括法にもとづく2011年の公営住宅法改正によって、入居者資格の設定などに関する自治体の裁量範囲が拡大した。

住宅施策のこうした変化は、地域実態をふまえた住宅施策の展開を促すという積極面をもつ一方、セーフティネットの拡充には結びつかない。住宅政策の分権にともない、公営住宅の管理戸数を減らそうとする自治体が増えている。(平山・川田)


住宅扶助─貧困ビジネスを支える?



生活保護制度には、住宅扶助制度があり、居住地域ごとに最低限度の家賃が支給される。生活保護受給期間に定めはなく、保護受給中は無期限の住宅扶助支給が可能な制度である。また、住宅扶助に限らず、礼金や敷金、更新手数料や火災保険料、連帯保証料など住宅を確保するために必要な一時金の支給も行われる。

住宅扶助は、家賃の金額に応じて必要な金額が支給されるため、保護受給中は家賃滞納のリスクや住居喪失の恐れは軽減される。生活に困窮した場合、積極的に生活保護申請を行い、早期に住宅扶助や一時金の支給を受けることにより、住居喪失等を免れることが可能である。

しかし、福祉事務所による生活保護「水際作戦」と呼ばれる保護費支給抑制策は相変わらず跡を絶たない。必要な人が保護を受けられていない状況は続いている。そして、福祉事務所が住宅にかかる費用を抑制するために、民間団体が運営する劣悪な居住環境の宿泊所を紹介し、いわゆる貧困ビジネスの隆盛を支えてしまっている状況もある。

福祉事務所は生活保護における「居宅保護の原則」を徹底して貫き、積極的に地域生活支援をしなければならない。貧困ビジネスなどの施設を安易に利用することのないように、福祉事務所だけではなく、分野横断的な支援体制を構築することが求められる。公営住宅への入居支援、民間不動産業者との連携、ケア付き住宅など社会福祉事業の整備である。行政内部において、福祉部局と住宅部局が連携をとりながら、新しい支援体制を構築していく努力を求めていきたい。(藤田)


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こんにちは、ビッグイシュー・オンライン編集部のイケダです。最新号の230号より、読みどころをピックアップいたします!

吉野裕之さんと菅谷昭さんが語る「福島の子どもの健康被害」



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最新号の読みどころは、7ページに及ぶ「福島の子どもたちの健康被害」にまつわる対談。福島に住み、主に子どもたちの支援に取り組む吉野裕之さんと、元医師で松本市長の菅谷昭さんがお話くださいました。

記事のなかでは、原発の影響で運動不足となり、子どもたちの健康状態が悪化していることが指摘されています。

吉野:子どもたちの日常的な運動の量や質が、脳の発達や体力、免疫力に影響してくるといわれています。学童保育の先生は、子どもたちが本当に転びやすくなった、ほとんどの子どもが、靴をはく時に片足で立って靴をはけないと話しています。

菅谷:下肢の筋力が落ちて片足で靴をはけないのは、老人に多いロコモティブシンドローム(運動器症候群)と同じですね。

吉野:保育園、幼稚園は親の送り迎えがありますが、新1年生になって徒歩通学になると、如実に出ると言っていました。転んで新品の服に穴を開けるとか、手が出ずにおでこから転ぶ子が確実に増えているそうです。

菅谷:肥満はありますか?

吉野:小中学生はほとんどの年齢が肥満です。走・跳・投などの運動能力検査でも、ほとんどの学年で全国平均よりも落ちてます。

菅谷:家にずっといると、発散する場所がないでしょう。メンタルな意味でも、大きな問題になってしまいますね。

吉野:体力・免疫力だけではなくて、外に向かっての興味・関心が下がってきていると感じています。好奇心は子ども時代の最大の宝物だと思うんですが…。


気になる甲状腺がんの検査に関しても、情報開示のあり方に問題があると、元医師で甲状腺がんに詳しい菅谷さんは指摘します。

吉野:ぜひ菅谷市長にお聞きしたいのが、子どもたちの甲状腺がんのことです。県のホームページ「福島県民健康管理調査」の結果によれば、"疑い"を含めて59例になっています。原発事故当時に18歳以下だった子どもの小児甲状腺がんが、前回8月発表時の43人からさらに増えました。事故時10歳以下が2人で、6歳、9歳。

菅谷:だけど吉野さん、それは甲状腺がんの"疑い"が入っているんですね?

吉野:"疑い"も入っています。

菅谷:でしょう。私たちサイエンスの人間から言えば、"疑い"を入れてはだめなんです。しかも、子どもは15歳未満という世界的な基準がある。15歳未満の甲状腺がんだったら、100万人に1人か2人と言えるんです。多くても、米国の3人から4人。なのに、なぜ18歳以下にまとめてしまっているのか、15歳未満の確定と"疑い"を分けてくれないのか。福島はデータをもっているはずなのに、ずるいですよ。だから、きちんとした数字が出ないかぎり、何とも言えないんですよ。

吉野:それは、すごく重要な指摘ですよね。

菅谷:だから「悪性ないし」って、どうして「ないし」を入れるんだということですね。「悪性何例」「悪性疑い何例」と両方出せばいいのに、一緒くたにしている。そこが曖昧で不安をあおってしまうものだから、福島のみなさんは疑心暗鬼になってしまいますよ。それを出さないとは、彼らは何かを考えていると言わざるをえない。


対談のテーマは「子ども」を軸にして多岐にわたり、菅谷さんがベラルーシで見た風景について、「移動教室」をはじめとする新しい交流と教育の可能性について、甲状腺がんの検査頻度について、といった話題が語られています。

感情論に偏りがちな子どもたちを取り巻く問題が、冷静に、かつポジティブに語られています。福島の現状が知りたい方、日本の未来について考えたい方は、ぜひ路上にて「ビッグイシュー」230号を手に取ってみてください。



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「単身女性」の3割が貧困、「母子世帯」の就労収入は181万円:「ハウジング・リスク」を抱える人々(1/3)
ハウジング・リスクに陥る非正規労働者、見過ごされる「障害者の住宅支援」(2/3)

低所得高齢者─無年金者118万人の住宅は?



平成23年度末における公的年金の受給権者数は3,867万人(他の公的年金の受給権を持たない老齢福祉年金受給権者を含む)、その受給額は、厚生年金で平均15万2千円、国民年金のみの受給者で平均5万5千円に過ぎず、都市の住居費負担を想定した金額とはなっていない(※1)。

特に、国民生活基礎調査によれば、高齢者のいる世帯のうち、単身世帯は年額50~100万円未満が最多となっており、より厳しい家計であると思われる(※2)。さらに、見込み者を含めた無年金者は最大で118万人で、一般的な年金受給年齢である65歳以上の者のうち、今後保険料を納付しても年金を受給できない者は、現時点において最大で42万人と推計されている(平成19年旧社会保険庁調べ。※3)。

また、生活保護の被保護者の年齢別の内訳をみると、60歳以上の比率が年々増加しており、平成21年度には約52%を占め(※4)、低所得高齢者の増加は社会保障の根幹にかかわる問題として捉えざるを得ない状況にある。

その背景には、高齢者数の増加、とりわけ都市部における急速な高齢化がある(※5)。これまでの「地方に残された親」の高齢化問題から、「都市に転出した子」の高齢化問題が量的にはより大きくなる。前者については、低所得であってもすでに土地・住宅等の資産を持ち、長年暮らす地域のコミュニティとの近接性もあるが、都市の高齢化問題は、低所得者ほど、借家居住・共同住宅居住・単身者が多く、住まいや地域との関係が自立した生活を維持できるかどうかということに直接結びつきやすい。

とりわけ家賃や維持コスト(マンションの修繕積立金等含む)などの固定的な住居費負担は、年金生活者の家計にとって過重になることは容易に想定される。しかし、都市の高齢者の住居費の実態は年金制度に反映されておらず、都市の高齢者は、不安定居住のもと、生活困窮に陥りやすい条件を有している。こうした課題に対応した社会保障制度や住宅政策はあまりにも貧弱である。

以上のように、少なくとも、国民年金のみの低年金世帯などの家計条件に適応した、公営住宅並み住居費負担で安定した居住が得られるようなハウジングシステムの構築が急務である。(佐藤)

※1 厚生年金保険国民年金事業年報平成23年度
※2 国民生活基礎調査(平成19年)
※3 第7回社会保障審議会年金部会平成23年12月1日参考資料
※4 被保護者全国一斉調査(基礎調査),第1回社会保障審議会生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会資料「生活保護制度の状況について」平成24年4月26日より
※5 「都市部の高齢化対策に関する検討会」厚生労働省老健局が、平成25年5月に発足



刑務所出所者─ホームレス化と犯罪再発の予防のための住宅



ハウジング・リスクがある人々は、刑務所にも入所している。刑務所出所者は54,199人(2010年法務省調べ)、出所後に受け入れ先や帰来先がない人は約7,200人(2006年法務省特別調査)、これらの人は、ただちにホームレス状態に至る危険性を持っている。

更生保護施設や自立準備ホームなど法務省管轄の入所施設が整備されているが、まったく足りていない。そのため、刑務所出所後に相談に来られる人々が後を絶たない。

例えば、60歳代の男性は窃盗と傷害の罪を犯し、3年間首都圏の刑務所に服役した。満期出所後に頼る場所がなく、仕事もないため、相談に来られてすぐに生活保護申請を行った。現在は仕事を探しながら、持病の治療をして暮らしている。NPO法人などの相談窓口を知らなければ、「もう一度、刑務所に帰りたいので、犯罪をしていたかもしれない」と話される。

また、1年半服役していた30歳代の男性は「仕事がなくやむにやまれずに、悪いと知りつつ無銭飲食をしてしまった。家がなく生活が苦しかった」と犯行理由を語った。彼らが置かれている状態はネットカフェ生活やホームレス状態に近く、ハウジング・リスクを受けている状況が見えてくる。

そのため、住宅や仕事の確保など当事者の抱える問題を早期に解決しない限り、犯罪に追い込まれてしまう可能性は高くなる。(藤田)



期間工、飯場生活者─減る仕事、高くなる住居(寮)費



建設会社を中心として、工事が終わるまで仕事ができる期間工や住み込みの寮生活、いわゆる飯場生活をしている人々もいる。工事や仕事がある期間は寮生活が可能だが、順風満帆に継続的な仕事があるとは限らない。

50歳代の男性から、「社員寮に住みながら建築現場を行き来する仕事をしていたが、受注量が減って最近は仕事のない日が多い。仕事のない日でも寮費や生活費は会社に徴収されるので、生活していけない」と相談を寄せられた。男性はその後、仕事をやめ、生活保護を一時的に受けて、民間賃貸住宅に住みながら、再就職先を探している。

このような、住まい付きの雇用は、以前から広がりを見せている。企業は、従業員への福利厚生の一環として、低家賃の寮や社宅などの給与住宅などの提供によって、労働者の採用を有利にしたり、仕事に専念できる環境を整備してきた。

しかし、近年、企業の業績が悪化しているため、福利厚生を削減する方向が見受けられる。そのため、社員寮に住んでいるにもかかわらず、寮費が他の民間賃貸住宅と比較しても低廉でない場合も見られる。さらに食費や光熱水費も自己負担で、負担が重たいケースもある。当事者は社員寮から出されるとホームレス生活になってしまうため、負担が重くても仕事にしがみつくしか選択肢がない状況が生まれている。(藤田)


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1月1日発売のビッグイシュー日本版230号のご紹介です。

スペシャル・インタビュー 加古里子(かこ・さとし)さん
加古里子さんの絵本といえば、『だるまちゃんとてんぐちゃん』が有名です。24歳の時に、子ども会で紙芝居をつくって以来、33歳で最初の絵本を出版、その創作活動は60年以上。今年は『からすのパン屋さん』と『どろぼうがっこう』の続編が相次いで出版されました。そんな加古さんのアトリエを訪問、生い立ちから創作秘話、子どもたちへの思いを聞きました。

お正月スペシャル企画 オンライン短編小説『もう、昔のままじゃない』
1月1日号をお買い上げの方限定! スコットランドの伝説的小説『トレイン・スポッティング』の続編がお読みいただけます。INSPの親善大使でもある原作者のアーヴィン・ウェルシュ氏から、世界の販売者への書き下ろしプレゼント。
「ビッグイシューオンライン」特設サイトにアクセスし、当号内にあるパスワードをご記入いただくと、短編小説をお読みいただくことができます。1月6日、解禁です。

特別企画 日本の子どもたちの未来を考える
  ―子どもたちを放射線災害からどう守るのか?
〈対談〉 菅谷昭さん×吉野裕之さん

2年9ヵ月、いまだ収束しない福島第一原発事故。子どもたちは、どこででも自由に戸外で遊べるわけではなく、不自然で不健全な生活を強いられているのではないでしょうか。どうか、思い出してほしい、子ども時代の1年がどんなに長かったかを。
遅きに失したのかもしれないけれど、私たち大人は子どもたちを放射能被曝から守る責任があります。福島の事故で汚染され続けている国土に住み、国内すべての原発が閉鎖されても核廃棄物を保管し続けなければならない日本人が、ともに考えるべき問題ではないでしょうか。  そこで、チェルノブイリの事故後、5年半、ベラルーシの医療機関で働き、汚染地域の家庭訪問も行った菅谷昭さん(医師/現松本市長)と、汚染の厳しい福島市渡利地区で子どもたちの保養活動などを続ける吉野裕之さん(NPO法人シャローム災害支援センター)に、「子どもたちを放射線災害からどう守るのか」をテーマに対談いただきました。

国際記事 すべての傷は時間とともに癒やされる―作家 イザベル・アジェンデ
ラテンアメリカ文学界を代表するイザベル・アジェンデは、かつて軍事政権下の故国チリを逃れ、小説『精霊たちの家』を著しました。クーデターから40年、アジェンデが当時を振り返ります。

リレーインタビュー 歌手・AFC代表 佐良直美さん
1969年、「いいじゃないの幸せならば」でレコード大賞を受賞し、NHK紅白歌合戦には13回出場、司会も5回つとめるという華々しい経歴の佐良直美さん。引退された現在は、家庭犬しつけ教室を主宰しており、「保健所の前を通るといても立ってもいられない」と語ります。

この他にも、「ホームレス人生相談」やオンラインでは掲載していない各種連載などもりだくさんです。詳しくはこちらのページをごらんください。

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「単身女性」の3割が貧困、「母子世帯」の就労収入は181万円:「ハウジング・リスク」を抱える人々(1/3)

不安定就労層─住居費、収入の5割前後に



2008年、リーマンショックで話題となった「派遣切り」は、不安定就労層が急速に広がっていることを明らかにした。

そのような派遣労働者を含む非正規雇用で働く人々の数は、過去最高で、全労働者のうち、38.2%を占めると報告された(2013年7月総務省発表)。

非正規労働者は、一般的に昇給や賞与がなく、十分な賃金や身分保障がないため、生活が不安定になりやすい。貯蓄も少ないため、準備がないまま失業や解雇を経験した場合、容易に生活困窮や家賃滞納等のハウジング・リスクが発生する。生活困窮者の多くは、そのような元労働者だ。その労働者が家賃や光熱水費などのライフラインに必要な最低限の生活費にも事欠く状態に陥ってしまう。

そのなかでも生活費に占める住宅費の割合は極めて高い。相談者の多くが住宅費を払うことが困難になり、ネットカフェや友人宅を住居として利用している。

例えば、先日相談に来られた都内在住の倉庫整理業の派遣労働者の30歳代男性の場合、毎月の収入は手取りで約12万円である。家賃は月額6万円、ワンルームを借りている。住宅費に収入の約50%が支出される。他に光熱水費を支出し、食費を捻出すると手元には毎月数百円しか残らない生活が続いている。男性は体調を崩し、休職する日が続くと収入は減額されるため、生活ができないと相談を寄せられた。

別の埼玉県在住、書店アルバイトの40歳代男性の場合、毎月の収入は手取りで約16万円である。男性の家族は、病弱な妻と幼い娘がいるため、収入は男性に依存せざるをえない。家賃は2LDKで月額8万円である。ここでも住宅費に収入の約50%が支出される。

このような相談者の多くが生活困窮を抱えて苦しんでいるが、特筆すべきは、その住宅費の負担の大きさであろう。上記の事例で、例えば住宅費が1万円~3万円程度と想定したらどうだろうか。低所得であっても安心して暮らすことは可能かもしれない。今後も広がり続ける非正規労働者や不安定就労者のために、住宅費の軽減は必要不可欠であることは言うまでもない。(藤田)

障害者─進まない「脱施設化」、「地域福祉」



2000年に社会福祉基礎構造改革が行われた。その時のテーマは、地域福祉の推進であった。地域福祉とは、住み慣れた地域で誰もが安心して住み続けられるように、支援システムを整備していくことである。

障害者が一人暮らしをしたいと思ったときにも可能なように支えていくことだろう。しかし、未だにその支援システムの整備は進んでいない。そのため、家族などの介助者がいれば、地域で住み続けることは可能だが、介助者がいなくなった場合、介助困難を理由として、施設への転居を勧められることは頻繁に行われている。

軽度知的障害のある50歳代の男性は、介助者の母親の死をきっかけに、役所から施設への転居を勧められたが、拒否をした。その後、家賃の支払いや生活全般に関して、介助なしでは困難なため、住み慣れた公営住宅を解約し、ホームレス生活に至ってしまう。公営住宅で一人暮らしを支える仕組みや支援者がいれば、施設入所することなく、その場で生活することは可能であっただろう。

そして、障害者にとって必要な住宅支援とは何か、という議論が不足している。障害年金で住み続けることが可能であり、バリアフリーなどの特別な配慮のある住宅は、十分な量の供給がない。移動に制限があるにもかかわらず、公共交通機関から離れた不便な場所に住み続けざるを得ない人々の姿も見られる。

また、社会福祉分野では「社会的入院」という言葉がある。これは、医療機関における治療や静養が必要なく、退院が可能にもかかわらず、医療機関に留まっている人々を表す言葉である。例えば、精神科病院の患者は、平均291.9日間、療養病棟では171.8日間、入院継続している。20年、30年というより長期間にわたる入院患者も存在している。

このように何らかの障害を有し、日常生活に何らかの配慮を必要とされる人々の住宅が足りない。病院以外の場所で生活することは可能であるが、低廉な、バリアフリー住宅、グループホーム、ケア付き住宅が不足している。

地域福祉が推進され、「脱施設化」が叫ばれ、障害者の地域生活支援を支える仕組みが整えられてきているが、障害者にとって住みやすい住宅とは何か、という議論は今も不足したままだ。(藤田)

参考文献・資料:厚生労働省「平成24年(2012)医療施設(動態)調査・病院報告の概況」


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世帯内単身者─増え続け、30代前半では4分の1に



若い世代では、親もとに住む未婚の世帯内単身者が増大した。その割合は、1980年から2005年にかけて、25~29歳では24%から41%、30~34歳では8%から25%に増え、年齢の高い35~39歳においても3%から16%に上がった(図3)。多くの世帯内単身者の経済状態は、不安定である。

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低賃金であるがゆえに、親の家を出られない人たちが多い。親同居の未婚者は親の所得に「パラサイト」しているという見方がある。しかし、親の定退職と加齢によって、その収入は減るだろう。世帯内単身者の大半は、親の持家に住み、その居住の安定性は高い。しかし、老朽化する住宅の修復コストを負担できない世帯が増える可能性がある。

世帯内単身者の増大は、若年層の変化として注目されてきたが、その年齢は着実に上がってきている。今後は、経済力の不安定さに加え、老親の扶養・介護に関する問題状況が生じる可能性がある。(平山)

単身女性─3割が相対的貧困、6割が低所得の非正規雇用



女性のライフコース、すなわち結婚、就労、子育てなどの選択のあり方は多様化している。

晩婚・非婚化の進展により、シングル女性が急増した。女性の高学歴化や社会進出が進むなかで、職業キャリアを形成し、安定した所得を得る女性が増えた。一方で、女性労働者の約6割は、派遣社員やパート、臨時・契約社員といった不安定、かつ低所得の非正規雇用である。

とくに、ひとりで暮らすシングル女性の経済基盤は弱く、国立社会保障・人口問題研究所が2009年の国民生活基礎調査を分析した結果によると、その約3割が相対的貧困の状態におかれている

住居費は低所得のシングル女性の家計を圧迫する。2009年の全国消費実態調査によると、30歳未満の勤労単身世帯の消費支出に占める住居費の割合は、男性の21.6%に対し、女性では31.1%におよんだ。女性は男性に比べて、セキュリティの側面などから水準の高い住まいを選択せざるを得ない。

どんなに経済的に困窮しても、路上生活にいたる女性は少ない。厚生労働省が2012年に実施した調査では、路上生活者のうち女性は4.5%であった。路上生活を回避するために、旅館・ホテルや性風俗産業の従業員など、寮・住み込みの住まい付きの労働に従事するシングル女性は多い。また最近では、女性専用の低家賃のシェアハウスが都市部を中心に普及し、低所得のシングル女性の住まいの受け皿にもなっている。(川田)

母子世帯─124万世帯、5年で8%増、経済的困窮から1割以上が家賃を滞納



1970年代以降、日本においては離婚の増加が顕著である。子どものいる夫婦の離婚にともない、母子世帯の数が増大している。2011年度の全国母子世帯等調査によると、20歳未満の未婚の子と母親のみの世帯は123.8万世帯であり、2006年の115.1万世帯と比較して大きく増加した。

母子世帯を特徴づけるのは、その経済的基盤の弱さである。同調査によると、母子世帯の母親の就労収入は181万円と少なく、他の同居家族の収入等をあわせた世帯収入も223万円しかなかった。

母親ひとりでの子育てになるために、長時間の勤務ができないこと、労働市場から長期に離脱した経験があることなどの理由により、パートなどの非正規雇用を選択せざるを得ない母親が多いことがその背景にある。

低所得であることに加え、子育てと仕事の両立という課題を抱える母子世帯は、住宅問題に直面する可能性が高い。

著者らが独自に実施した調査によると、離婚後に母子世帯を形成した女性は、「公営住宅に入居できなかった」、「実家に戻りたかったが戻れなかった」、「家賃を滞納した」、「敷金や礼金、引越し費用などの一時金を用意できなかった」、「家主から入居を拒否された」などの多くの住宅問題を経験していた(図4)。

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全国母子世帯等調査によると、母子世帯の住まいでは、民間借家などが最も多く約3割を占める。一般世帯では6割以上を占める持家率も、母子世帯では約3割と低い。また、公営住宅の割合が2割と比較的高いことも特徴である。多くの自治体では、公営住宅において、母子世帯の優先入居制度を設けている。

しかし、とくに利便性の高い地域では、公営住宅の応募倍率が極めて高く、円滑に入居できない場合が多い。また、公営住宅の立地の偏在から選択肢になり得ないことも多い。

さらに、自力で住まいを確保できず、居候の状態におかれている世帯が約1割存在していることも、注意すべきである。また、母子世帯を一時的に保護する母子生活支援施設などがあるが、施設の老朽化や地域偏在などが大きな課題となっている。(川田)

次の記事→<ハウジング・リスクに陥る非正規労働者、見過ごされる「障害者の住宅支援」(2/3) | BIG ISSUE ONLINE

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2015年「「若者の住宅問題&空き家活用」シンポ報告書」


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脱法ハウスなどにおける不安定居住の実態は、それ自体が深刻な問題状況を形成すると同時に、その背後の住宅事情の変化に注目する必要を示している。ここでは、不安定居住を生みだす“母体”ともいえる住宅事情について、その変化のあり様をみる。

世帯の変化─いまや単身世帯が最も多い



少子高齢化、未婚化の進展、離婚の増加、家族に関する価値観の変容などから、世帯構成は大きく変化した。これまで「標準世帯」とされてきた夫婦と子の世帯は、1980年代半ばまでは、全世帯の約4割を占めていたのに対し、2010年には約3割にまで減った。

現在、最も多いのは単身世帯で、その比率は3割を超える。これに加え、夫婦のみの世帯、ひとり親と子の世帯、非親族からなる世帯などが増加傾向にある。これら増えているタイプの世帯では、経済的困窮、社会的孤立、そして劣悪な居住条件などの問題をかかえているケースが多くみられる。(平山・川田)

持家市場の変化─ローン返済額の対可処分所得比が急上昇



日本の住宅政策は、持家促進を重視してきた。しかし、住宅購入はより困難になった。バブル経済は1990年代初頭に破綻し、それ以降、住宅価格は低下し、住宅ローンの金利は下がった。だが、経済の長い低迷のために、所得は減少した。

このため、住宅ローンの頭金を少ししか用意できず、大型借入を必要とする世帯が増大した。住宅ローンをかかえている世帯では、その返済額の対可処分所得比(※)が上昇し、1989年では10.9%であったのに対し、2009年では17.1%に達した(図1)。


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人々が持家を求めた理由の一つは、住宅所有が不動産資産の形成に結びつくことであった。しかし、バブル破綻後に増えたのは、資産価値が不安定になった持家のためにより重い債務を負う世帯である。

住宅ローンを返済している持家世帯(二人以上勤労世帯)に関するデータによれば、1989年から2009年にかけて、住宅・土地のための残債(一世帯当たり平均)は780万円から1560万円に増え、住宅・土地資産額(同)は4380万円から2650万円に減った。

持家を得た世帯は、それを保持しようとするが、住宅ローン破綻が増大した。借入が大型化し、住宅資産価値が下がったことから、住宅ローンを返済できなくなった世帯の多くは、「持家を処分しても借金が残る」という担保割れの状態にある。

中小企業等金融円滑化法の2009年12月施行によって、返済猶予などの措置があったことから、不動産競売は2010年から減った。しかし、同法の2013年3月終了のために、住宅ローン破綻が再び増える可能性がある。(平山)

※可処分所得とは、個人所得から支払い義務のある税金や社会保険料を引いた、残りの手取り収入を指す

賃貸住宅市場の変化─家賃の対可処分所得比も上昇



借家市場では、より低い所得しか得られないのに、より高い家賃を支払う世帯が増えている。家賃の対可処分所得比は、1989年の9.6%から2009年には15.1%に上がった(図2)。

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経済が停滞し、借家人の所得が減れば、市場家賃は下がると予測される。にもかかわらず、高い家賃を支払う世帯が増えた。その原因は、低家賃ストックの減少である。経済状況からすれば、同一住宅の家賃が上昇したとは想定できず、したがって、低家賃住宅の減少によって高家賃住宅の比重が増したと考えられる。

賃貸セクターのなかで、公的賃貸住宅と給与住宅は、市場メカニズムにもとづかない低家賃の「非市場住宅」である。このストックが、1993年では全借家戸数の31%を占めていたのに比べ、2008年では25%に下がった。

賃貸セクターの構成により強く影響するのは、量の多い「市場住宅」の変化である。民営借家の市場では、零細家主が木造アパートを供給し、低質ではあっても、低家賃の住む場所を提供してきた。しかし、低家賃のアパートの多くは老朽化し、再開発などによって取り壊されてきた。木造共同建ての民営借家は、1983年では全借家の24%を占めていたのに、2008年には13%に減った。(平山)

住宅政策の市場化─公的賃貸セクターの縮小



政府は、1990年代半ばから、住宅政策を転換し、住宅とそのファイナンスに関する市場化を推し進めた。この政策再編は、住宅事情の変化に反映した。経済が停滞し、所得が減少するにもかかわらず、持家促進の政策が続いた。

その結果、無理をして家を買い、住宅ローン返済の重い負担に苦しむ世帯が増大した。住宅金融公庫は、1990年代末から融資を減らし、2007年に廃止となった。これに代わって、市場経済にもとづく持家促進政策が進展した。民間住宅ローンの金利規制は1994年に廃止され、その結果、銀行による貸出競争が激化し、大型ローンの利用を促進した。とくに増えたのは、変動型金利の住宅ローンの利用である。

このタイプのローンは、借入時の金利が低い一方、将来の金利の不透明さというリスクをもつ。税制を使った持家促進は、1970年代から小規模な施策として続いていたが、90年代に大型化し、景気対策手段としての位置づけを与えられた。

住宅政策の市場化を追求する政府は、公的賃貸セクターをさらに縮小した。公営住宅の新規建設はほとんど停止し、さらにストックの絶対数が減り始めた。住戸数の減少をともなう建て替え事業が増え、それがストック縮小のおもな要因となった。

住宅・都市整備公団(旧日本住宅公団)は、1999年に都市基盤整備公団、そして2004年に都市再生機構に再編された。新しい再生機構は、住宅建設の事業を大幅に減らすと同時に、保有する住宅ストックを削減し始めた。さらに、団地の建て替え事業は家賃を上昇させた。(平山)

高齢期の施設居住─12年間で1.6倍増に



長寿命化、それにともなう要介護・要支援老人の増大、家族扶養に関する価値観の変化、在宅ケアを支えるべきサービスの不十分さは、住宅以外の施設に「居住」する高齢者を増やしている。

高齢(65歳以上)の施設居住者数は、2000年の102.4万人から2012年の166.8万人に増加した。介護施設や医療施設などの施設に居住している人口の割合は、65歳以上では5.7%であるのに対し、85歳以上では21.7%におよぶ。

こうした施設居住の問題状況として、第1に、家族の受け入れを期待できず、また介護施設などにも入所できず、治療の必要がなくとも入院を続ける「社会的入院」の状態にある人たちが多く、高齢患者の約4割に達すると推計されている点がある。

第2に、介護施設にも、病院にも入ることができず、短期入所の施設などを渡り歩く不安定な高齢者の存在が指摘される。

さらに、第3に、低所得の高齢者、生活保護受給者などを対象とした劣悪な居住環境の介護施設が存在する。厚生労働省が2012年10月に実施した調査によると、有料老人ホームの約5%が無届けであった。ある自治体の調査は、無届施設の約8割に防火設備などが備わっていないことを明らかにした。(平山・川田)

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不安定居住の変遷と広がり—野宿から脱法ハウスへ



1990年代前半、バブル経済の崩壊がきっかけとなり、全国の大都市で仕事と住まいを失った人々が野宿へと追い込まれるようになった。その多くは中高年の日雇労働者であり、各地の路上や公園、河川敷などで野宿生活をおくる人々の数は2000年前後にピークを迎えた。

その後、大都市を中心に自立支援センターなどの対策が整備されたことや生活保護の適用が進んだこともあり、野宿者の数は徐々に減少していったが、2004~05年頃から中高年だけでなく若年非正規労働者の不安定居住の問題が表面化した

この問題は「ネットカフェ難民」という流行語で世に知られるようになったが、実際にはネットカフェだけでなく、個室ビデオ店や24時間営業のファストフード店、カプセルホテル、サウナ、友人宅など、安定した住まいを失った人々が寝泊まりする場所は多様化し、拡散していった。

こうした不安定居住が広がった背景には、労働分野での規制緩和が進み、派遣などの非正規労働者が増加したことに加え、民間の賃貸アパート市場で入居者の居住権を侵害する業者が増え、家賃を少し滞納しただけで入居者を立ち退かせる「追い出し屋」の被害が広がった影響もあると見られる。


2008年の年末には世界同時不況の影響で、大量の派遣労働者が失職する「派遣切り」問題が発生した。その際、最も生活に困窮したのは、派遣会社の用意した寮に暮らしていたために仕事と同時に住まいを失った人々であった。従前から労働者向けの低家賃住宅が整備されていれば、こうした問題も生じなかったと言えるわけで、この「派遣切り」問題も労働政策の問題であると同時に、日本の住宅政策の貧弱さが生み出した問題であると言える。


2013年には、「レンタルオフィス」や「貸し倉庫」などの名目で人を集めて居住させる「脱法ハウス」問題が社会問題となった。国土交通省はこうした居室を建築基準法に基づく安全基準などに違反する「違法貸しルーム」と呼び、その規制に乗り出している。

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しかし、「脱法ハウス」に暮らす人々のほとんどは、ネットカフェなどに寝泊まりする人々と同様、アパートの初期費用(敷金・礼金等)や保証人を用意できない状況にあることがわかっており、入居者が適切な住居を確保できるための支援策を実施しないまま規制だけが進んでしまえば、多くの人々が路頭に迷うだけの結果になりかねない

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また、生活保護や高齢者福祉の分野でも、劣悪な居住環境とサービスしか提供していないにもかかわらず高額の家賃や利用料を徴収する「貧困ビジネス」施設の問題が、2000年以降、何度も社会問題化したが、抜本的な対策が取られることがないまま今日にまで至っている。

このように、過去20年もの間、不安定居住の問題はかたちを変えながらも、確実に日本社会に広がってきた。「住まい」と呼ぶには不適切な場所に寝泊まりをせざるをえない人々の数は、年齢や性別を問わず増えていると見られるが、その全体像を把握するための概数調査すらいまだ実施されたことはない。


私たちの社会では「自分の住まいを確保するのは自己責任である」という考えがあまりに根強いために、長年、低所得者向けの住宅政策を軽視してきた。今こそ、住まいの貧困を直視し、住宅政策の見直しについての議論を始めることを広く呼びかけたい。(稲葉)

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こんにちは、ビッグイシュー・オンライン編集部のイケダです。「ビッグイシューの立ち読みをしたい!」という声にお答えして、路上で発売中の最新号より、読みどころをピックアップしてお伝えします。

カメルーンで蔓延する偽造・違法薬



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最新号で、特に目を引いたのはINSPが提供する国際記事。カメルーンでは、なんと流通する薬の7割が、違法・偽造の薬になっているそうです。いったい、どういうことでしょうか。

記事のなかでは、マラリアの偽造薬を飲んで意識不明になった男性の声が掲載されています。

「(偽造薬は)以前マラリアにかかった時によく効いたし、値段もとても手頃だったから、店で薬を買ったんです。2ドルもあれば、マラリアに効く(偽の)コアルテムが買えるんですよ」と、病床でピロアは取材に答えた。コアルテムは薬局で買うと、1箱6〜8ドルはかかる。



問題の背景には、発達した密売ネットワークの存在が指摘されています。カメルーン薬学会評議会のクリストフ・アムポーム氏はこう語ります。

「薬物の不法売買への出資は、正規ルートに比べて5倍の儲けがあると推定されています。また、地元の役人たちは、司法制度や税関制度にまで浸透している密売ネットワークを、ひどく恐れているのです」


偽造薬・違法薬の被害は甚大で、世界中で数多くの人が命を落としています。

世界保健機関(WHO)は、全世界で年間約100万人にのぼるマラリア死者数のうち、偽造薬を使用しなければ、20万人の命が失われずに済んだはずだと推定している。また、国際政策ネットワークはその報告書の中で、結核とマラリアの偽造薬だけでも、世界中で推定70万人を毎年死亡させているとしている。


こうしたまがい物の薬は、医師不足という社会問題と密接に関係しているそうです。

偽造・違法薬が蔓延する背景には、深刻な医師不足がある。WHOのデータによると、カメルーンでの医師1人に対する患者数は、1万3514人。だが、特に地方において、この比率はもっと高いという指摘もある。そして何より貧困が、多くの人々を病院や診療所から遠くに追いやっている。


日本でも偽造薬の問題は広がっており、特にインターネットを介して輸入する薬物は、偽造品が多いことが指摘されています。厚生労働省のページでも注意喚起がなされているので、心当たりがある方はぜひ確認しておきましょう。

最新号の229号では、ほかにもベネディクト・カンバーバッチ氏へのインタビュー、犬猫写真家の新美敬子氏へのインタビュー、そして特集は世界の「路上レシピ」集となっています。年末プレゼントも実施しているので、ぜひぜひ路上にて「ビッグイシュー」を手に取ってみてください。

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