こんにちは、ビッグイシュー・オンライン編集部です。海外で話題のホームレス関連ニュースをお届けします。続きを読む
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こんにちは、オンライン編集部のイケダです。

9/4、ビッグイシュー10周年イベントの第四弾を開催いたしましたので、レポート記事をご共有します。ビッグイシュー創始者であるジョン・バード氏を囲み、若手社会起業家のみなさまとのディスカッションが行われました。




社会的企業とは?



当日の内容はtogetterにてまとまっているので、ぜひこちらをご覧下さい。この記事では、当日特に面白かった「社会的企業」にまつわる意見をご紹介していきます。

まずはHASUNAの白木さんが語る、普通の企業と社会的企業の違い。




社会的養護を受ける子どもたちの就労をサポートするフェアスタートの永岡さんは、「社会的企業」という自覚はないと語ります。





外国人(難民)をスタッフに雇ったネイルサロンを運営するアルーシャの岩瀬さんも、海外ではこういったビジネスは普通であることを紹介してくださいました。







岩瀬さんから、社会的企業は「ビジネスの上級編」というクリアなご意見が飛び出します。




HASUNAの白木さんも、課題解決とビジネスを両立させることの難しさについて語ります。





永岡さんは、「時間が掛かる」という難しさについて語ってくださいました。







ジョン・バードさんは「ディストリビューション(流通)」の改革とコストについて指摘してくださいました。




ソーシャルなAmazon、というビジネスモデルを考えているそうです。







個人的には「社会的企業はビジネスの上級編」という意見がたいへんしっくりきました。ぼく自身、ビッグイシューを含む、いくつかの社会的企業のマーケティングに関わる機会があるのですが、これが本当に難しいのです。売上目標だけを追えばいい、一般的なビジネスにはない制約が多数発生します。

ジョン・バード氏が市民との恊働の大切さを語ってくださいましたが、まさに、社会的企業においては人々のコミットメントが鍵になるのでしょう。








ビッグイシュー本誌はもちろん、オンライン版もまた、読者のみなさまのコミットメントに支えられて成立しています。みなさまに関与していただける機会を積極的に提供していこうと思いますので、今後ともご愛読いただければ幸いです。




10周年イベントの内容は、以下のtogetterからご覧頂けます。こちらもあわせてぜひ。

羽生善治三冠×ビッグイシュー日本代表佐野章二「個人力の時代を生き抜く3つの秘訣」 - Togetter

「希望を語るー自閉症、その内面の世界」東田 直樹さん×山登 敬之さん - Togetter

本日 #NHK 7時のニュースでも紹介されてましたね。#bi_10aniv ビッグイシュー10周年記念イベントの呟き - Togetter

ジョンバード×日本の若手社会起業家(永岡鉄平さん/白木夏子さん/岩瀬香奈子さん) - Togetter


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118人生相談




子どもが飽き性で困っています




春から中学2年生になる長女が飽き性で、困っています。習い事はもちろん、家の手伝いなどの決めごとも、最初は張り切ってしてもそれが続きません。1年生でバドミントンクラブに入りましたが、それも辞めて別のクラブに入ると言っております。どうすれば物事が続くようになりますか。
(女性/40歳/看護師)


俺自身も飽き性だったなぁ。子どもの時は特に飽き性がひどかった。

学校では、5つくらいクラブをやっていたわ。バレーボール部に陸上部、美術部、機械部……あともう1つ何やったかな、思い出されへんな(笑)。

クラブ活動はまわりと歩調を合わせなあかん。俺なんかもうしょっぱなからケンカやってたから(笑)。「お前へたや」「ちゃんと打て!」とか言われて。「ここおもろない、やめる!」って、他のクラブに移った。

15歳で社会に出てからも、自分の気の向かないことはしなかった。「俺は自分のために働いてるんだから」って残業も断ったりしてた。でも、仕事でも何でも、ほんまにやりたかったら辞めずに、残業でもやったと思うねん。




その後に蕎麦屋で一から修業をしなおしたんやけど、そこはすごく水が合った。ある日、そこに20年勤めてる先輩と、3年も経たない俺が、仕事のことでケンカをした。先輩は怒って開店前に帰ってしまった。「やってもうた」とあせって他の先輩に言ったら、「かまへん。お前は今日一日、あいつがやるはずだった仕事をやれ。お前ひとりでもできるやろ」と。

何とか一日その先輩の穴を埋めて、店じまいした後にその先輩は、一緒に飯に連れて行ってくれたな。誰かがいないと誰かがかばう、そういうチームワークができていた。忙しい年末の徹夜続きも辛抱できて長いこと勤めることができたのは、周りの人がちゃんと見てくれていたから。「一所懸命にさせてくれる」人と場所やったんやね。




辛抱を覚えるという時期が、みんなあると思う。だから心配いりません。いろんな体験をしていろんな人と会って意見を聞いて、自分で考える力があったらいい。

お母さんから娘さんにアドバイスするなら、「何でもいいから好きなことを探してみ」ということ。「いろいろチャレンジしていいけど、できればお金かからないやつでお願い」っていうのも忘れずに加えた方がいいな(笑)。まだ娘さんには、自分に合うものを見つける可能性がいっぱいあるわけやからね。

(大阪/Kさん)





(THE BIG ISSUE JAPAN 第118号より)







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こんにちは、ビッグイシュー・オンライン編集長のイケダです。9/1に発売した222号から、読みどころをピックアップしてご紹介いたします。続きを読む
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こんにちは、ビッグイシュー・オンライン編集部です。9/1に10周年記念イベントの第二弾を実施させていただきました。当日の内容はtogetterにまとまっていますので、ぜひぜひご覧下さい。こちらの記事では、当日の内容の要点をまとめてお送りいたします。




「成熟社会」に必要なこと



まずは浜矩子さんの講演の要旨から。浜さんは、「成熟社会」をテーマに20分の講演をしてくださいました。

・成熟社会とは何か、それは大人の社会である。では、大人の社会とはどういうイメージか。「老楽風呂」という物語がヒントをくれる。

・「老楽風呂」のあらすじ。疲れ果てたサラリーマンが銭湯に行く。風呂の縁にロダンの『考える人』が置いてある。触ってみたら、おじいさんだった。そんなおじいさんが『老楽』の大切さを教えてくれる。「肩の力を抜いて、ぼーっとしなきゃだめだよ」「気合いを入れて勝ち抜こう、としてはいけない」「戦ったらあかんで、戦う街は、ホームレスでいっぱいや」などのメッセージを伝えてくれる。

・この作品の中の『老楽』イズムはすばらしいのだが、さらに付け加えたい3つの要素がある。それは「人の痛みがわかること」「人のために動くこと」「足るを知るを超えること」

・幼児は人の痛みがわからないが、成長に連れてわかるようになっていく。『人の痛みがわかること』は成熟の証。

・人の痛みがわかるだけでは不十分。次に必要なのが、痛みを感じている人のために動くこと。これなくして、本当の大人とはいえない。

・『足るを知る』はすばらしいが、そこはかとなく「自分さえよければいい」というニュアンスが漂っている。痛みを感じる他人のために、行動していくことが大切。

・行動をする上で、ここにも3つ、大切な「三つの手」がある。それは「差し伸べる手」「抱きとめる手(包摂する手)」「握り合う手」。この三つの手が実践される社会が、本当の成熟社会だと思う。






「縮小社会」の課題



続いて、萱野さんのご講演の内容です。

・これからの社会においては、生産年齢人口が減っていく。96年から生産年齢人口が減りはじめ、2005年から総人口も減少に入った。

これまでは、人口も経済も拡大していく「拡大社会」だった。この時代は、何をやってもプラス思考でいけた。しかし、「縮小社会」ではそうはいかない。

・たとえば、出版市場の規模の変化。96年に2.66兆円、2010年には1.87兆円。生産年齢人口は8%程度しか減っていないが、出版市場は3割近く縮小している。一方で、書籍刊行点数は96年から2010年で2割程度増えている。当然、1冊あたりの売れる量は減る。

・完全に今は飽和状態になっている。編集者は過労死寸前で働いている。年10冊だったのが年20冊。しかも人も減っている。ワークライフバランスが崩れていく。頑張って作っても売れない。そして価格破壊が起きる。

・他の業界でも似たような状況が見られる。高速ツアーバスの規制緩和。98年に2,122社だったのが、2010年には4,492社に。それによって1台当たりの営業収入が8.6万円から6.3万円に減少している。

・日本総研の調査。先進国における名目賃金の比較では、日本だけが下がっている。購買力が下がり、売れなくなる、値段を下げる、さらに購買力が下がる、という悪循環が起きてしまう。

当然ながら、マーケットが小さくなっているときに規制緩和をすると、デフレが来てしまう。縮小社会においては、拡大社会で行われていた経済政策は、不幸をもたらしてしまうだろう。





浜矩子さん×萱野稔人さん「これからの日本を考える」



第二部では、お二人の対談が行われました。

縮小社会になっているにも関わらず、人々の動き方は拡大社会のまま。原発問題の周辺でも、話が似ている。『原発を止めたら、成長ができない。それでいいんですか?』という話になる。拡大社会でなければならない、という前提で現実社会をエンジニアリングしていかないといけない、という発想がある。(浜さん)

・東電の値上げについてのアンケートが行われていた。値上げ分を価格転嫁しますか?と聞かれて、価格転嫁すると答えたのは100社中3社。他の97社は内部でコスト吸収する。要するに、誰かに渡るお金が減るということ。価格転嫁をしなければ、それが購買力の低下につながり、結果的に、自分で自分の締めることになってしまう(萱野さん)

縮小社会というと、私は『楽』な社会になるイメージがある。パイが縮小するといっても、人間の頭数も減る。上手に富を分け合っていく仕組みを作ることに注力していけばいいのではないか。老いも若きも富める者も貧する者も抱きとめる、包摂度の高い社会は縮小しないのではないか(浜さん)

・パイが拡大すればトリクルダウンで、という発想を変えなければ、包摂性が上がるどころか悪化していくのではないか。マーケットが物理的に縮小するのは仕方ないが、もっと人為的な問題があると思う。包摂性をむしろ低める政策、社会になっている。(萱野さん)

人間は「陰謀」を企てているときが一番楽しい。発想も自由になり、アイデアも出てくる。頭が陰謀モードになると、不可能を可能にすることができる。そして笑い、楽しさがある。そういう発想が縮小社会においても必要だと思う。(浜さん)

・ビッグイシュー創始者のジョン・バードさんが、冒頭の挨拶のなかで『機会』という言葉を使っていた。排除に抗うためには、『機会』を増やすことが大切。これは、人々が明るく生きていく上でも大切だと思う。(萱野さん)






当日は300人近い方にご来場いただき、大盛況となりました。ご来場いただいたみなさま、本当にありがとうございます。10周年イベントは9/4にも行われます。お陰さまで満席となってしまいましたが、内容はツイッター、オンライン版にてレポートいたします!


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(ビッグイシュー・オンラインは、社会変革を志す個人・組織が運営するイベントや、各種募集の告知をお手伝いしております。内容については主催者様にお問い合わせください。)




井戸端談義-地域を創る、大人の学びの新しいカタチ



【日時】平成25年9月21日(土)14時30分~17時

【会場】
あんさんぶる荻窪4階 第1・2・3教室
(杉並区荻窪5-15ー13 JR・東京メトロ 荻窪駅 徒歩3分)

【プログラム】

(1)大人の学びの現場から ~担当者と受講生が共に語る~

〇杉並区 すぎなみ地域大学
~ 暮らす人の力を地域のために。7年間で7000人が参加した学びの場

〇杉並区 すぎなみ大人塾
~ 参加の第一歩。自分をふりかえり、社会とのつながりを見つける大人の放課後

〇小平市中央公民館 「シルバー大学」
~ シニア世代が自らワークショップを開催し、自らつながりをつくる

〇文京区区民部協働推進担当「新たな公共プロジェクト」
~ 対話から地域課題を明確にし、ソーシャルイノベーションの担い手を育む

(2)専門家のコメント
  ・政策推進の観点から(笹井宏益・国立教育政策研究所部長)
  ・ソーシャルキャピタル醸成の観点から(松田道雄・東北芸工大教授)
  ・地域人材育成の観点から(木原秋好・すぎなみ地域大学学長)

(3)対話「大人の学びの成果とは何か?」

(4)まとめ



【総合ファシリテーター】  広石拓司(株式会社エンパブリック代表)

【定員】  70名(先着順)

【対象者】 杉並区内在住、在学、在勤の方。全国の地域人材育成に取り組む方

【申込み】
TEL:03-3312-2381 FAX:03-3312-2387
メール:tiikidaigaku-t@city.suginami.lg.jp

◎メールまたはFAXでお申し込みの方は、以下の事項を記載してください。
・「学びと参加のシンポジウム参加希望」※
・氏名(ふりがな)※
・連絡先(電話番号)※
・団体に所属されている方は団体名
・アンケートへの回答「このシンポジウムを何でお知りになりましたか?」
※は必須事項です。

【お問合せ先】 杉並区協働推進課(すぎなみ地域大学担当)03-3312-2381




詳細は下記のページからご覧下さい。

(9/21)井戸端談義-地域を創る、大人の学びの新しいカタチ(すぎなみ地域大学・すぎなみ大人塾共同開催)


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food performance ”EatScape” over view




コペンハーゲンでのフード・リサーチ



8月初旬より、デンマーク・アーツカウンシルの援助による、実験的な舞台芸術の制作支援を行なうウエアーハウス・ナイン(Warehouse9)に招待され、コペンハーゲンに滞在している。
8月の北ヨーロッパは日照時間が長く、夜の9時〜10時くらいまで明るいので、街角のテラスやカフェは、夜遅くまでたくさんの人で賑わっている。コペンハーゲンの街を堪能するには、最もふさわしいと言える季節だ。

コペンハーゲンに着いた翌朝には、早速自転車を手に入れ、気の赴くままにフード・リサーチを始めた。地図を片手に、見慣れない街の景色を楽しみながら、デンマークならではの旬の食材を探す。

北欧の中でも、とりわけ食に関心の高いと言われる首都コペンハーゲン。今が旬の生のグリーンピースは、新鮮なものを生のままスナックとして食す。生のグリーンピースの入った紙袋を片手に、ビールを嗜む人たちの姿も街中でよく見かける。ここコペンハーゲンでは、生のグリーンピースは、シンプルでヘルシーなストリート・フードとして存在しており、日本のものと比べると、やわらかくて苦味がないのが特徴。噛めば噛むほど、ほんのりとした甘さがほとばしる。

今回見つけた食材の中で、最も印象的だったのは、生のヘーゼルナッツ。デンマークは日本よりも夏の日照時間が長く、穏やかな気候だからか、この季節のものは生で食べられるのが特徴。新緑のようなエメラルドグリーンの殻に包まれたヘーゼルナッツは、成熟・乾燥した通常のものよりもマイルドで、 青味の残る爽やかな風味が口の中に広がる。

私の暮らしているオランダでも、ヘーゼルナッツは人気の食材であるが、生のまま食す習慣がないため、生のヘーゼルナッツは市場で見かけたことがない。グリーンピースもヘーゼルナッツも、オランダでは見慣れた食材ではあったが、生で食べられるのを知ることができたのは、新しい発見だった。







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fresh hazelnuts




フード・パフォーマンス「イート・スケープ」



こうして、初めて訪れた街、そして初めて会う人たちと、約2週間という短い時間で、新作フード・パフォーマンス「イート・スケープ」*1を制作することとなった。とにかく時間が限られているので、フード・リサーチをしながら、この土地の季節の食材を生かしたメニューで試作を重ね、5コース11品のヴィーガン(菜食)メニューとパフォーマンスを考案していった。
地元のパフォーマンス・アーティスト、コアアクト(CoreAct)*2、地元のシェフたち、その他大勢の人々からの協力を得て、2013年8月16日〜17日、フード・パフォーマンス「イート・スケープ」*1を、コペンハーゲンのAFUKで発表した。

フード・パフォーマンス「イート・スケープ」では、人間の持つ感覚(五感+第六感)を刺激しながら、 食べものや食べるという行為からメッセージを発信し、ヴィーガン(菜食)という視点から、現代社会や生活にマッチした新しい「食」のヴィジョンを提案し、「食」に対する意識を高めたいという思いを表現している。



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“the taste of visual”




デンマーク舞台芸術の評論家、メッテ・ガーフィールド氏は、「イート・スケープ」をこう評した。*3

———「確かな甘味、苦味、塩味の効いた味の料理が、舌と口腔を打つ。これらの料理は2人の白いローブをまとった天使たちのささやきと共に、繊細なヴィーガン(菜食)料理が巧みに提供された。視覚を楽しませてくれる御馳走だ。様々な手法で参加者を巻き込みながら、人間の持つ感覚を刺激し、美的感覚が交差するフード・パフォーマンスだった。(中略)

パフォーマンスの前に参加者たちは、最初のコースであるサラダの準備を手伝う。彼女がリサーチで手に入れた繊細で特別な食材がキッチン・テーブルの上に並んでいた。キビの種、黒海の塩、殻付きのアーモンド、ぶどう、スイバ(イタドリ)、ローズマリー、白インゲン豆、ザクロなど。参加者たちは、これらの食材を洗い、切り分け、茹で、混ぜ合わせる。後に私たちは、これらの食材で、キャンバスの上に「風景」をつくり、それを食すのだ。(中略)

それぞれのメニューは、味覚だけでなく、 視覚、聴覚、あるいは第六感に働きかけ、食べものや食べるという行為を通じて、自らの感覚を体験するものだった。それはコペンハーゲンで上演された、ヴォルスパーの『巫女の予言』(Vølvens spådom)を題材とした、他のフード・パフォーマンスと比較すると対照的で、食べものとパフォーマンスとが見事に溶け合っており、それは純粋に感覚を研ぎすますことを意味しており、特別な感覚的経験だった。(中略)

食べものによって、私たちの感覚を思い出させるという手法は、新鮮でおいしい食べものの重要性を物語っており、私たちがどのように食べものを扱うべきか、という意識を芽生えさせる意図が明確に表現されていた。それゆえ、直接参加者に「食」について問いかける必要はなかった。私たちは素晴らしい感性と美しさに捕えられ、私たち自身が、何をどのように食べるのかを決定できるということが、このフード・パフォーマンスに反映されていたからだ。」




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“the taste of feeling”



特に今回のフード・パフォーマンスでは、ピュアな食べものを提供するばかりでなく、 白砂糖についての批判的なメッセージも表現した。砂糖はご存知のように、かつて、西洋諸国の植民地において“三角貿易”と呼ばれる搾取を繰り返し、巨額の利益を得て、文明を発展させてきた歴史がある。その流れを汲んで現在、私たちが食す加工食品のほとんどに、砂糖が使用されており、植民地政策において「奴隷の売買」を行った結果、現代の先進国は「砂糖の奴隷」となってしまっている。

これを視覚的に表現するために、「砂糖の奴隷」を象徴する首輪のようなアクセサリーに、クリスタル・シュガーをジュエリーとして吊るしたネックレスを、砂糖が好きだという参加者に、パフォーマンスのあいだ身につけてもらっていた。そして、パフォーマンスの最後、デザートを提供する時に、2人の天使たちが、参加者の首輪から引きちぎったクリスタル・シュガーに、バーナーで火をつけて燃やし、溶けた砂糖の甘い香りが部屋中に漂う中、真っ黒に焦げた苦いカラメルをソースとして、デザートの皿に落とすという、象徴的なアクションを取り入れた。





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food performance ”EatScape” over view 2





世界も注目している日本の「食」にまつわる問題



今、世界中で、食の安全や食の質が、改めて問いただされるべく、数々の問題が巻き起こっている。 日本の抱える問題としては、福島第一原子力発電所事故による諸問題———放射性物質の拡散、 食品汚染、食品による内部被曝などだ。特に最近発覚した汚染水漏出については、 欧米諸国の各種メディアで連日、自国のニュースのように大きく報道されている。世界中の人々が「食」に対して危機感を抱いている状況で、もはや日本だけの問題ではなくなっている。

汚染水漏出問題後、私が料理をすると、「日本から持ってきた食材は何もないよね?」と確認が入る。そして皆は一様に、「日本食品はもう一生買わない」と言って沈黙する。ここコペンハーゲンでは、日本食品は日本人が思っている以上に静かにボイコットされている。日本政府は、クールジャパンで日本食をアピールしている場合ではない。

欧州では、日本国内よりも、日本のニュースが入りにくい状態にあり、放射能汚染、食品汚染の状況は人々に正確に把握されていなかった。それに追い討ちをかけるように、今回の海洋汚染漏出問題が発覚した。さらには、福島第一原子力発電所の事故が収束していないにもかかわらず、 現政府が日本国内の原発再稼働を推進し、海外に原発技術を輸出しようとしていることにも、欧州の一般市民は懸念を抱いている。とくに今回の汚染水漏出問題では、充分な情報が掴めないことが原因で、他の放射能汚染されていない日本の食品に関しても、信用が急速に失落しているように見える。日本政府と東電は一丸となって、今回の問題を何とか食い止め、 汚染を含めた放射能汚染全般の正確な情報を、日本国内のみならず、世界に向けて公開することを切望する。さらには放射能による食品汚染の実態を解明し、海外における日本の食品への信頼を取り戻せるよう、早急に対応していくことが、日本の食文化を守っていくためには必要だ。






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「料理」するということ



本来「料理」とは、それぞれの食材の選択、組み合わせ、特徴、エネルギーについて、最大限の力を引き出し生かす調理法を考えること。現在の身体の状態を観察して、バランスを整えるレシピを、季節や風土、気候を配慮しながら、その時/場/人にあわせて、日々、微妙に調節し変化させていくことだ。

料理は、科学的な部分と非科学的な部分が強く結びついていて面白い。桜沢如一氏の唱えた「無双原理」は、陰陽を対局した二元論ではなく、陰と陽のお互いが常に変化しながら補い合う一元論である。これらの融合させた哲学を「マクロビオティック」と名付けた。カリウムの多いものを陰、ナトリウムの多いものを陽として、料理の素材選びと調理法は、陰と陽のバランスで決めていく。

料理の「理」について、wikiで調べてみると、「『理』 とは、中国哲学の概念であり、本来、理は文字自身から、璞(あらたま)を磨いて美しい模様を出すこと」、さらに仏教における「理」では、「現実を現実のままに認識することを言い、それを理論づけたり、言葉に乗せること」である。

料理は文字通り「理」を料ることである。かたちのある食材とかたちのないエネルギーを「料理」し、食材の一つ一つが、体の細胞の隅々まで届いた時に、再び目に見えないエネルギーに変容する。これらのエネルギーは、料理を食した人がアクションを起すことで、見えるかたちに再生され、別のかたちに昇華されていく。このように、「料理」から生み出される「食」の持つエネルギーは、無限に繋がっている。





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「食」を知ることは、自分を知ること



TPPとも深い関連性のある、遺伝子組み換え食品問題、モンサント問題、農薬問題、肥満問題など、様々な角度から見ても、私たちの先祖から引き継いできた美しい自然と一体であった「食」が、皮肉なことに、私たち現代人の手によって脅かされている。私たちが築いてきた文化、社会、そして家族や自分自身を守るために、 私たち自身も、根本的な「食」の改善が必須とされるのは、もはや時間の問題なのではないだろうか。

基本に戻って、自分自身の食生活を見つめ直すことからはじめたい。———本来、食べものが持っている性質と効用を知ること。「食」の持つ力を生かすことのできる食材を選び、それぞれの食材に見合った適切な料理法を学ぶこと。 それぞれの人間が持つ力を最大限に引き出すための自分に合った「食」を知り、日常生活の中で実践していくこと。そして、「食」にまつわる環境—食べるという行為や状況を見直し、「食」のありかた全体を意識していくこと。

人間は食べること無しには生きていけない。「食」を知り、料理するということは、日々、何度か食材(=自己)に向き合うための創造的な時間が与えられることである。料理はそれを食す人の身体性や精神性に直接的に働きかけ、新しいエネルギー生成しながら、感覚や記憶と結びつき、新しい価値を生みだしていく。

シンプルに言い換えれば、私たちは毎日、食べることで心身のエネルギー源を直接頂いている。 心と身体が喜ぶような料理を作ることで、毎日の食事を楽しむことができれば、「食」がいかに大切なことであるかを、誰もが容易に思いだせるはずだ。





タケトモコ
美術家。アムステルダム在住。現地のストリート・マガジン『Z!』誌とともに、”HOMELESSHOME PROJECT”(ホームレスホーム・プロジェクト)を企画するなど、あらゆるマイノリティ問題を軸に、衣食住をテーマにした創作活動を展開している。

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注脚:
*1 「イート・スケープ」(EatScape) : http://eatscape.tumblr.com
*2 コアアクト(CoreAct) : コペンハーゲンを中心に国内外で活躍する、アニカ・バーカンとヘレナ・クヴィントによるパフォーマンス・ユニット。二人は十七歳の時に出会い、意気投合、共にパフォーマンス活動を始める。その後二人は約十年間、諸外国で別々に活動した後、ニューヨークで再会。2006年、偶然にも二人はほぼ同時期にコペンハーゲンに戻ることとなり、コアアクトを結成し活動を始める。http://www.coreact.dk
*3舞台芸術の評論家メッテ・ガーフィールド氏 (Mette Garfield)による論評(デンマーク語) http://www.teater1.dk/tomoko-take-pop-up-restaurant/


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9月1日発売のビッグイシュー日本版222号のご紹介です。



ビッグイシュー・スペシャル ディック・ブルーナの街、オランダ・ユトレヒトを訪ねて


本誌19号、126号に登場し、ストリート・マガジンを応援してくださっているディック・ブルーナさん。彼を育んだオランダ・ユトレヒトの街を歩きながらブルーナさんとミッフィーの足跡を訪ねました。現地紙『ストラート・ニュース』の全面協力で実現したスペシャルレポート。



リレーインタビュー 私の分岐点 渡辺えりさん


劇作家、演出家、女優として多くの作品を世に送り出してきた渡辺えりさん。最近では「あまちゃん」への出演も注目されましたが、その原点は子どもの頃に観た農村の女性たちが踊る若妻会。「お化粧した女性たちが変身することにワクワクした」といいます。そんな渡辺さんは、わざわざ電車に乗って芝居を観に来る人たちは「何らかの痛みをもった人ではないか」と語ります。



特集 未来をつくる仕事――小さなものが社会を変える


大きく強いものや、そのシステムの脆さがあらわになった3・11から2年半。それらに代わって、一見、小さく弱いものに注目し、しなやかで柔軟な仕事や、そのシステムづくりに挑戦する人たちがいます。
体内の葉緑素で光合成を行う微細藻類ミドリムシを培養、食料問題やエネルギー問題の解決に挑戦するバイオベンチャー「ユーグレナ」。
40万ヘクタールの耕作放棄地を農地のまま残すため、有機無農薬の体験農園、農業を学ぶアカデミーなど、「自産自消」社会をめざす「マイファーム」。
デジタルツールの進化で製作インフラが低コスト化するなか、個人や小さな企業の“マイクロモノづくり”を提案、サポートする「enmono」。今、個人が仲間とともに、未来をつくる仕事や、新しい価値をつくり、社会を変えていく時代が来た!
「ユーグレナ」の出雲充さん、「マイファーム」の西辻一真さん、「enmono」の三木康司さんと宇都宮茂さんに話を聞きました。



ビッグイシュー・アイ 巨木トラスト。琵琶湖の源流、トチノキの巨木群をまもる市民たち


400本ものトチノキの巨木が滋賀県高島市朽木地区にあります。この巨木群に伐採の危機が迫った時、市民は「巨木トラスト」を考えました。青木繁さん(滋賀県立朽木いきものふれあいの里館長)と村上美和子さん(日本熊森協会滋賀県支部長)のご案内で、現地を訪ねました。



この他にも、「ホームレス人生相談」やオンラインでは掲載していない各種連載などもりだくさんです。詳しくはこちらのページをごらんください。

最新号は、ぜひお近くの販売者からお求めください。
販売場所検索はこちらです。


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(ビッグイシュー・オンラインは、社会変革を志す個人・組織が運営するイベントや、各種募集の告知をお手伝いしております。内容については主催者様にお問い合わせください。)


文京区 「まちとつながる仕事をつくる!」文京社会起業講座






公開シンポジウム「社会の変化は、新しい仕事を求めている!」




目の前の課題をビジネスチャンスにするオープン・イノベーションの実践手法を学ぶシンポジウムを東京大学産学連携本部と共催で開催します。

◆日時
平成25年9月13日(金)18時45分~21時00分 (18時20分開場)

◆場所
東京大学福武ホール

◆対象
区内在住・在勤・在学者、社会起業に関心のある方

◆定員
100名(抽選)

◆参加費
無料

◆主な内容
第1部…「変わる社会が新しい仕事を生み出す」
人と人をつなぐことで新しい仕事を生み出してきた方々が語ります。

ゲスト:
影山 知明 氏(クルミドコーヒー店主/ソーシャルベンチャー・パートナーズ東京ファウンダー
ナカムラ ケンタ 氏(日本仕事百貨代表/(株)シゴトヒト代表取締役)
各務 茂夫 氏(東京大学教授/東京大学産学連携本部イノベーション推進部長)

第2部…「文京区、東京大学からの挑戦」
コーディネーター:菅原 岳人 氏(東京大学産学連携本部助教)
総合ファシリテーター 広石 拓司((株)エンパブリック代表)

◆申込方法
メールフォーム(こちらをクリックしてください)
又は
FAX・ハガキに「シンポジウム」・住所・氏名(ふりがな)・年齢・電話番号・応募動機を明記し下記お問い合わせ先へ

◆応募締切
平成25年9月2日(月)必着

文京区 「まちとつながる仕事をつくる!」文京社会起業講座


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