part.5を読む

Q : 「弱者の弱者」へのアウトリーチについて



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質問者:「弱者の弱者」について質問があります。僕は今、小・中・高生の不登校の方の支援をしています。僕自身が不登校を経験して、どんな人にも価値や可能性があるということを伝えるためにやっているのですが、不登校の人の中にも、「弱者の弱者」と言われるような方がいます。フリースクールにも行かず、ひたすら家に籠もっているような人たちで、全国で17万人もいるんです。そこへの(家で引きこもっている不登校の方)接点が見つけづらいと思うんです。ホームレスの中でも「弱者の弱者」の方はいると思うのですが、そういう人たちにビッグイシューさんはどんなアプローチをしているかを伺いたいです。



佐野:とことん敷居の低い仕事を提供するのはもちろん、ホームレスの人たちは路上にいるので、夜回りを月に2回して、「お仕事しませんか」とお声掛けをしたりしていますね。さっき言いましたが、路上にいる人は見えるんです。見えない若いホームレスにどうアクセスするか、これはすごく難しい課題だと思っています。なので、僕らは「路上脱出ガイド」を配っています。

家入:へぇ。超いいっすね。

佐野:全国7地域で、地域版も出ています。もちろん無料です。ネットカフェ、24時間レストランにいる、そういう人たちに差し上げるのは失礼に当たるかもしれないので、難しいんですが…。

これはもちろんホームページでもダウンロードできるようにしています。「ネットで見てきました」という人も出ていますが、若くて見えないホームレスにどうアクセスするか、それは大きな課題だと思っています。

家入:これ(路上脱出ガイド)すごいですね!これあれば僕、いつでも大丈夫ですね。

(会場笑)

佐野:ぜひリバ邸にも置いておいてください(笑)

家入:色々なセーフティネットの連絡先も網羅されていて。これだけあるんですよね。知らないというのは凄くもったいないというか、ネットでも情報を取れるのは良いですね。

ぼく、都知事選では声を上げられない人の声をどれだけ拾えるか?をテーマにしていました。ネットを使うことで、声を上げられなかった人が声を上げられるのは良いことだと思っていて。ネットが使えない人の声を拾うのは、これからの課題ですけど。

生活が苦しくなったら、ぼくがよくやっているのは、銀行口座を晒して皆で振り込むというのをやるんです。このあいだは、会ったこともないシングルマザーの妊婦の方とかに出産費用がないから助けてくださいって言われて。本当に妊娠しているかどうかもわからないのに。だったら、口座晒してくれたら、いいですよって。

佐野:昔、奨学金で叩かれてたじゃない(笑)

家入:大炎上でした。「Studygift」(学費支援のクラウドファンディングサービス)とかすごい叩かれるんです。皆、「お前だけずるい!」という感情があるんです。「俺らはこんなに学生時代に苦労した、だからお前も苦労しろ」、と。

でも、それを言っていてもしょうがないんと思うんですよね。「俺も辛かったから、お前の気持ち分かるから、俺は今はお金あるから、お金出すよ」っていう生き方の方が良いと思うんです。「俺も辛かったから、お前も辛い想いをしろ」というのはあまりにも世知辛いとすごく思います。


Q : 「一歩前に進んでもらう仕組み」について



質問者:お二人に質問なのですが、ビッグイシューもリバ邸も理想はそこに居る人たちが卒業していくのがいいと思うんですが、その場に留まってしまうこともあると思います。向上心、一歩前に行くにはどうしたらいいのでしょうか。

家入:そもそもの前提としてもっと「上」を目指す必要があるのか、というのもあると思います。リバ邸は自然と出て行くような流れになっています。出て行くのはいいなと思いますが…あれ、何の質問でしたっけ。

佐野:もう一歩先に出て行くための応援ですね。

家入:うーん…。どうしたらいいんですかね。

質問者:今はどういったルールになっているんでしょうか?

家入:ちょっとしたルールがあります。安い宿をやっているつもりはないので、プロジェクトに参加してくれということを言っています。プロジェクトにコミット出来ないのなら、ある程度の猶予を持って出て行ってもらうという仕組みはありますね。もちろん、いきなり追い出すとかはしませんよ。

自分でプロジェクトを持って月に5万円でも10万円でも得ていくということは促しています。起業でも就職でも何でもいいんですけどね。でも、自然とイヤになっていくんです。プライバシーもクソもなくて。自分の空間が欲しくなって、自然と出て行くようになっています。どうしたらいいかな、うーん、どうしたらいいんだろう?(イケダの方を向いて)

イケダ:えっ、いきなり振らないでくださいよ(笑)ビッグイシューはどうでしょう?

佐野:ビッグイシューの場合だと、アパートを借りるとか敷金が必要だったりするじゃないですか。なのでまずは貯金をして貰おうということで、「貯金を応援する仕組み」を持っていますね。

でも中々、貯金してくれないんですよね。江戸っ子じゃないけど、宵越しの金を持たないということがあるんです。お金を土建産業にばら撒くんならホームレスにばら撒いた方がいいですよ。その日の内に使っちゃいますから(笑)

三人集まればクラブを作る仕組みもあります。今は鉄道クラブが盛んなんですよね。「歩こう」会というのは60〜70回続いています。

なぜそれをやるかと言えば、冒頭に言いましたが、1人ぼっちになってホームレスになるんです。仕事じゃないところで友達ができるのは人生が変わるきっかけになるんです。端的に言えば、ワークコミュニティにしたい、楽しく働ける場所にしたいと思っています。

路上で売るのは実はキツイんです、勇気がいるんです。ホームレスであることをカミングアウトしているのと同じわけじゃないですか。肉体労働ですし、1人なので精神的にもキツイ。ビッグイシューの販売が出来れば、どんな仕事も出来ると皆、言いますね。

家入:繋がりが生まれると、自然と気持ちが外に外に行くようになりますよね。リバ邸も、たくさんの人が来て、半強制的にコミュニケーション取らされて、いつか出ようとなっていきます。

そもそもが高みを目指す社会の中で、はみだした人たちなので、「もっと頑張れ」とは言いたくないんですよね。はみ出した人に優しい場所じゃないと意味がないと思っています。頑張れ!というより、繋がりを作って欲しい。

ぼくが好きな言葉で(小児科医の)熊谷晋一郎さんかな、「いざというときに助けてくれる仲間をどれだけ作れるかということが本当の自立なんだ」ということを言っているんですよね。そうやって、自分のネットワークを拡大していけば、おのずと自分の新しい場所が出来るのでないかという気がします。

イケダ:ありがとうございます。そろそろお時間も迫って参りましたので、ここらで一旦お開きにして、懇親会に入りたいと思います。登壇していただいたお二人に、今一度拍手をお願いいたします。

<イベント終了、懇親会へ>




ギークス株式会社が会場を提供した理由



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今回のイベントでは、渋谷駅から徒歩3分という好立地にあるギークス株式会社が運営する「21cafe」を会場スペースとしてご提供いただきました。



当日は、新進気鋭のITベンチャーがビッグイシュー・オンラインに会場を提供してくださった理由について、ギークス株式会社・広報のおだんみつさんからプレゼンテーションがありました。こちらにスライド資料を添付しておきますので、ぜひご覧ください。






これまでgeechsは、ITフリーランスという働き方を支援することで、多くのインターネットサービス、ソフトウェア開発に携わってきました。そして、IT・インターネット産業の成長とともに、技術トレンドの移り変わりが早いこの業界で、この10年とにかく言われて続けてきたのは「ITエンジニアが足りない!」でした。

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