この度、アメリカの子ども向け教育番組「セサミストリート」に新しいマペット(*1) が登場した。名前はジュリア、明るいオレンジ色の髪と緑色の目をした女の子だ。好奇心旺盛で、歌うのが大好き。そしてマペットとしては初の自閉症者だ。セサミストリートは、ジュリアの登場により自閉症への理解と認知を促したい考えだ。
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credit: Sesame Street

*1 マペット: 操り人形「マリオネット」と指人形「パペット」の合成語。セサミストリートのキャラクターのことを言う。

国際自閉症啓発月間にあたる4月10日、セサミストリートに10年ぶりとなる新キャストが登場した。明るいオレンジ色の髪と緑色の目をした陽気な4歳の女の子。好奇心旺盛で歌うのが大好きだが、自閉症のため、気が散りやすく、からだを触られることにとても敏感、取り乱すと手を叩く癖がある。でも番組の中では「セサミストリート仲間」のひとり。ジュリアを通して、自閉症への理解と認知を深めることを狙う。

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Credit: Zach Hyman

ジュリアはすでに、これより1年以上前、オンラインブックと印刷物でデビューしている。その後、セサミワークショップ(*2)主催のプログラム「セサミストリートと自閉症:すべての子どもの才能に目を向けよう」のサイトから生まれた関連アプリにも登場し、一躍人気者に。このサイトは160万ページビューを記録、アプリは3万回以上ダウンロードされた。
このプログラムには自閉症コミュニティからとても大きな反応がありました。「すべての子どもたちがより賢く、強く、優しくなれるようサポートする」のが私たちの使命ですから、その一環として、自閉症への理解と受容を深める取り組みを続けていくことにしたのです。
そう語るのは、セサミワークショップの「グローバルインパクトと慈善活動」担当部長のシェリー・ウェスティン。

*2 セサミワークショップ:教育番組セサミストリートを制作するアメリカの非営利制作会社。

米国では子どもの68人に1人が自閉症と診断される現状

アメリカ疾病対策予防センター(CDC)によると、米国では子どもの68人に1人が自閉症と診断され、ほぼすべての家庭が何らかの形で自閉症の影響を受けているという。

上記プログラム「セサミストリートと自閉症」の制作にあたり、セサミワークショップは5年以上の年月をかけて、250以上の自閉症関連団体や専門家と共に、この増加傾向にある状況への対策を協議した。

このプログラムに関わる多くのクリエイターや協力者のなかに、ジュリア役を演じるステイシー・ゴードンや、エピソード「はじめまして、ジュリアです(Meet Julia)」の脚本を担当したクリスティン・フェラーロがいる。2人とも身近な家族が自閉症であり、ジュリアというキャラクターを生み出す上でとても役立ったという。

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Credit: Zach Hyman

ジュリアのテレビ初登場に合わせ、セサミワークショップは自閉症児とその家族向けに新たな教材の提供を発表した。

当プログラムのライブラリーに新しく加わるデジタルビデオ、書籍、電子ブックは、英語およびスペイン語版での視聴が可能だ。
長い間、自閉症の子どもを持つ家庭から、この問題に取り組んでほしいと依頼されていました。そうして、私たちの専門性とキャラクターを強みに、自閉症者と定型発達者のコミュニティに架け橋を築くのが私たちの役割だと気づいたのです。
セサミワークショップでの「米国社会的インパクト」部門担当で副理事長のジャネット・ベタンクール博士は言う。
このプログラムの成功は、多くのパートナー、アドバイザー、団体が協力してくれたおかげです。このコラボレーションのおかげで、新しい章を放送できることに私たちもワクワクしています。
自閉症児とその家族向け教材はこちら www. sesamestreet.org/autism 

▼ジュリアが初登場したエピソード


文:アメリア・フェレル・ニースレイ/Courtesy of INSP.ngo

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