Genpatsu
(2013年11月15日発売、THE BIG ISSUE JAPAN 229号より)

事故は「想定外」?3千万人、避難の可能性も。福島第一、燃料の取り出しへ



福島第一原発4号機に残されている燃料の取り出しがようやく11月18日から始まった。事故当時4号機は定期検査中で、最上階にある燃料保管プールに使用中の燃料や使用済みの燃料、交換用の新燃料が保管されていた。余震などでプールが破損するようなことになれば、燃料のメルトダウンが起き、首都圏の3千万人が避難せざるを得ない事態になりかねなかった。そこで、爆発で傷んだプールの補強工事が急いで行われた。

燃料は放射能で熱を放っている。これは時間とともに減っていくが、冷却ができなくなれば燃料管の火災や燃料溶融の懸念が今でも残っている。18日から始まった作業では試験的に新燃料を取り出した。この成功を受けて2回目からは使用済み燃料の取り出しへ移った。

視界がそれほどよくない中で10メートルほど下にある14センチ四方の燃料集合体にフックをかけて釣り上げてくる作業は熟練を要する。熟練作業員の確保と厳格な被曝管理が求められている。一つの輸送用の容器に22体の燃料を入れて、地上にある燃料プールに移す。その数は1500体を超える。地上のプールも十分な余裕がないので、ここに保管されている古い燃料は貯蔵用の容器に入れて地上で保管される。

爆発でプールに落ちた大きなガレキは取り除いたが、小さなガレキが燃料を破損させるとか、燃料の間に詰まっていて抜けなくなるとか、トラブルの懸念は尽きない。また、一応の安全対策は施されているが、故障と強い余震が重なる事故などの評価は行われていない。

100トン近い容器をプールの上で落として、燃料やプール自体の破損を招くか、地上へ降ろす際に落下させてしまうなど、大事故の恐れが依然として残る。地上に落ちれば、容器は破損する。東電は「容器が破損しても燃料が外へ飛び出すことはないから対応可能」としているが、容器が壊れたら強い放射線が出て人は近づけなくなる。この状況が長く続けば燃料管の火災や溶融の恐れが出る。そうした事態と対策は考えられていない。あらゆる事故を想定するのが福島事故の教訓ではなかったか。評価をし直すべきだ。

4号機からの燃料の取り出しは来年いっぱい続く予定だ。無事に終了するのを祈るばかりだ。


伴 英幸(ばん・ひでゆき)

1951年、三重県生まれ。原子力資料情報室共同代表・事務局長。79年のスリーマイル島原発事故をきっかけとして、脱原発の市民運動などにかかわる。89年脱原発法制定運動の事務局を担当し、90年より原子力資料情報室のスタッフとなる。著書『原子力政策大綱批判』(七つ森書館、2006年)