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タグ:冬、満喫—冬ごもりレシピ




冬の夜長にしたためる—コラージュでつくる私の絵はがき



手紙




絵はがきを書くために、日ごろから印刷物の中の絵や写真や文字を切り抜いて溜めている。それらを組み合わせて、はがきの台紙にスティック糊で貼りつけていけば、コラージュ風の個性的な絵はがきになる。




台紙は、画材店にある画仙紙などの厚手のはがき用紙を使うと、きれいに仕上がる。大きなサイズの台紙なら、思い切った作品も可能。紙や布や糸その他の手近にあるさまざま素材を工夫して自由に組み合わせ、デジカメに取り込み、はがき大に印刷する。

はがきを洋形2号封筒(114×162mm)に入れて、封書として送ることもできる。便箋と同様に数枚にわたってもよい。絵はがきの余白に、私の今を書いてみませんか。




パソコンを使った“言葉を贈るはがき”もお気に入り。書物や新聞で、またネット上で、心を惹かれた言葉・詩句などをテキストボックスに書き込み、画像とともに構成する。

コンパクトにするため原文を縮めたときは、省略部分にその印をつけ、出典も明記すれば完璧である。結局、誰に出すことなく手元にしまっておくこともあるが、それはそれでよい。愛着を持った言葉は、自分にとってきっと意味があるから。




はがきの表の半分の面に手紙文を書くときは、相手の人のことを思いながら、自分の中から言葉をひきよせ、たぐりだして書く。

そのときの何ともいえないよるべなさと緊張感が、手紙を書くという時間のいちばんのおもしろさでもあり、かけがえのなさでもあると思う。かたわらに人がいるところでつける日記のようなもの、かもしれない。

(國井由紀子)





(2007年1月15日発売、THE BIG ISSUE JAPAN 第65号 [特集 冬、満喫—冬ごもりレシピ]より)
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かぶり倒してわかる帽子の楽しさ--冬の帽子道楽



雪が降っても、暖かなウールの帽子をかぶれば散歩も楽しい。
「あの帽子をかぶっている人」と言えば伝わるくらい、いつもおしゃれな帽子をかぶっている、
帽子デザイナーの鏑木和恵さんに、帽子をかぶる楽しさを聞く。





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(鏑木和恵さん)




大げさでない素敵な帽子がほしかった



この日、鏑木和恵さんがかぶっていたチェックのハンティングは、2006〜7年、秋冬コレクションの一つ。今シーズン、鏑木さんが自分のために選んだ帽子は洋服に合わせて5つから6つ。毎シーズン増えていくので、持っている帽子の数はわからないそうだ。もともといつも帽子をかぶっているので、かぶっていないことが考えられないほどの帽子好き。

「1990年代の初め頃は、輸入ものの帽子が今よりもずっと高かったんです。ぴったり合うサイズもなかなか見つからないし、“大げさでないけど素敵な帽子”を探すのはとても大変でした」

ならば自分で作ってしまおうと、鏑木さんは94年から2年間、帽子作りの第一人者として知られる平田暁夫さんの帽子教室に通う。ヘアメイクの仕事もしていたので、次第にモデルやアーティストがかぶる帽子のオーダーを受けるようになっていった。

「どの帽子をデザインする時も、かぶる女性のイメージやシチュエーションを考えて作っています。長い髪と一緒に、風になびいたらきれいだろうなあとか、青空の下にこんな色があったら人目を引くだろうなあとか想像しながら」

99年にレディースの帽子ブランド「Miss Cabour」、06年にはメンズの帽子ブランド「KiKi Senor」を立ち上げた。そんな鏑木さんにお気に入りの帽子を尋ねた。「全部がお気に入り。お気に入りじゃない帽子は発表しませんよ」





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手持ちのトップス3つ以上と相性がいいものを選ぶ



「靴の似合わない人がいないように、帽子が似合わない人はいません」と、きっぱりと言い切る鏑木さん。確かに、選び方がわからずに帽子が似合わないと思い込んでいる人は多いに違いない。

「まずはサイズを合わせることが大切なんです。小さな帽子を無理にかぶっても似合うわけがないですから。ただし、髪の長い人がアップした髪を中に入れてボリュームを持たせてかぶるように、わざとぶかぶかに作ったキャスケットなんかもあります。どういうフォルムの帽子をどんな狙いでかぶれば自分が素敵に見えるかわかるまで、とにかくお店に足を運んで帽子をかぶり倒してみてください」




洋服との合わせ方にもコツがある。

「帽子は、洋服よりも目立つようなコーディネイトにならないこと。いつも着ている洋服の素材や色にスッとなじむものがいいと思います。とりあえず、自分が持っているトップス三つ以上と相性がいいものを選べば、一つの帽子で幾通りもの着こなしができますよ」





P18帽子




コサージュやリボンを加えたり、自分で作るという手もある



おなじみのベレー、テンガロンハットに、キャスケット。帽子には、つばの広いもの、つばの下がったもの、トップがくぼんでいるもの。エレガントなものからカジュアルなものまで、さまざまな種類がある。自分に似合う形が必ずあるはずだと言う鏑木さん。

「かぶり方ひとつでも、だいぶ印象が変わります。まっすぐのつばを少し曲げて、顔の輪郭に沿うようにするだけでも全然なじみ方が違いますよ。買っていただいた帽子を自由にアレンジして自分らしくかぶってくださったら、うれしいです」




そして、店頭で気に入ったものやサイズがない人は、自分で作るという手もある。鏑木さんは帽子教室も開き、最近、初心者のための帽子作りの本も出した。デザインは同じでも、帽子の素材を変えれば、夏の帽子が冬の帽子になるし、世界にたった一つしかないオリジナルの帽子が作れるのが魅力。

でも、いきなり作るのはハードルが高いと感じる人は、買った帽子にコサージュやリボンを加えてみるだけでもいいという。それだけで、帽子が自分だけのものになる。

帽子を作ることは夢を形にすることだと思っている鏑木さんは、映画を見て素敵なかぶり方を研究することもすすめる。『華麗なるギャツビー』、『プレイタイム』などの登場人物に、鏑木さんは毎回うっとりしてしまうそうだ。

(香月真理子)

Photo:高松英昭




鏑木和恵(かぶらぎ・かずえ)
帽子デザイナー、ヘアメイクアーティスト。1994年から2年間、平田暁夫帽子教室にて帽子作りを学ぶ。99年、レディース帽子ブランド「Miss Cabour」、06年、メンズ帽子ブランド「KiKi Senor」を設立。









(2007年1月15日発売、THE BIG ISSUE JAPAN 第65号 [特集 冬、満喫—冬ごもりレシピ]より)


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