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タグ:おいしい日本のごはん




(2006年9月1日発売、THE BIG ISSUE JAPAN 第56号より)





<前編(朝ご飯「冷や汁」)はこちら>






ひるごはん


昼食いめーじ1

マグロ納豆うどん 2人分

【 材 料 】
 納豆 大1パック(100g)
 マグロ刺身 80g
 しょうゆ、わさび 各少々
 うどん 2食分
 卵黄 2個分
 めんつゆ(つけつゆの濃さ) 1カップ
 冷水 1/2カップ
 細ネギの小口切り・せん切り海苔 適量




【 作り方 】
1.マグロは食べやすく切る。しょうゆとわさび少々で和えておく。納豆に添付のたれを加えてよく混ぜておく。
2.うどんを茹でて冷水ですすいで締め、水けを切って器に盛る。納豆とマグロをのせ、真ん中に卵黄を一個ずつのせて、めんつゆを分量の冷水で薄めたものをかける。細ネギと海苔を振り、混ぜながら食べる。


昼食2






よるごはん


夕食2
(まずは常備菜で晩酌。冷奴にしょうがのすりおろしをのせて、イカの塩辛に刻んだ青柚子を振って、もう二品。)



① なす味噌 4人分
【 材 料 】
 なす 6本
 塩  大さじ1
 サラダ油 約1/2カップ
 A 味噌・だしまたは水  各大さじ2と1/2
  砂糖    大さじ1

【 作り方 】
1. なすはガクを削るようにむいて、一口大に乱切りにする。塩大さじ1と水4カップを混ぜた中に漬ける。浮き上がらないように、皿などをのせて2〜3分おいてから、ざるにあげて水けをきる。さらにしっかり布巾などで水けをおさえる。
2. フライパンにサラダ油を入れて180度くらい、菜ばしの先を入れてしゅわしゅわと気泡が出てくるくらいになったら、なすを入れて皮がつややかになるまで強火で揚げ焼きする。<菜ばしで、真ん中の一番厚みのある部分を押さて柔らかさをチェックするとよい>フライパンの油をさっとふく。
3. Aを混ぜてフライパンに入れ、なすを戻し入れてからめる。




②レンコンキンピラ
【 材 料 】
 レンコン 中1節<200gくらい>
 ごま油 大さじ1と1/2
 A 酒、みりん、薄口しょうゆ   
  各大さじ1と1/2
  昆布茶 少々
  水 1/4カップ
 七味唐辛子 少々

【 作り方 】
1.レンコンは皮つきのまま、薄切りにして水に放してさっとすすぎ、ざるにあげて水けをしっかり切る。
2.ごま油をフライパンに熱して、レンコンを入れて中火で炒める。つややかになり、軽くしんなりしてきたら、Aの調味料を順に加えて、水けがなくなるまで炒め煮して、最後に火を強めて水分をとばして仕上げ、好みで七味唐辛子をふる。







大根2


③干しダイコンの煮物
【 材 料 】
 干しダイコン(切干しダイコンでも) 60gくらい
 油あげ 2枚
 だし 1カップ
 A 酒 大さじ3
しょうゆ 大さじ2
みりん 大さじ1〜2

【 作り方 】
1. 干しダイコンはひたひたの水に漬けて戻す。油あげは湯を廻しかけて油抜きをし、2〜3センチ角に切る。
2. 干しダイコンの戻し汁を鍋に入れてだしも加える。Aの調味料も入れ、ダイコンと油あげを加えて落し蓋をし、中火で20分ほど煮る。




④とろろ茶漬け 2人分
【 材 料 】
 長いも 100g
 塩 少々
 梅干 2個
 昆布茶 小さじ1
 ご飯 茶碗2杯
 煎茶 適量


【 作り方 】
長いもはすりおろして塩少々を混ぜる。温かいご飯に昆布茶を半量ずつ振って、とろろをかけ、梅を載せて熱々の煎茶を注ぐ。梅をほぐし、混ぜながらいただきます。






photos:浅野一哉


えだもと・なほみ

料理研究家。料理雑誌やテレビ番組で活躍中。『枝元なほみさんの根菜&豆おかず』別冊主婦と生活、『おりおりのおりょうり』集英社be文庫、など著書多数。




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(2006年9月1日発売、THE BIG ISSUE JAPAN 第56号より)




なほみさんイメージ




枝元なほみさんの「照葉樹林ごはん」、朝・昼・夜


  
日本の文化の基層で、日本人のおいしさの元にある照葉樹林文化。
枝元なほみさんに、「照葉樹林ごはん」朝・昼・夜のメニューを提案してもらいました。
なつかしく、あきない、心が安定するごはんです。








照葉樹林文化、という言葉は本で知りました。中尾佐助著『栽培植物と農耕の起源』という本から。ちょっとむつかしいような気もしましたが、料理を仕事にする身にはとても興味深いものでした。

照葉樹林地帯、アジアの中で椿の葉のようなつやつやとした樹木が茂る地帯では、米を主食にし、酒などをふくむ発酵食品や発酵調味料を多く使う特徴がある、というもの。比較して、例えば、新大陸文化として分けられる南米などでは、とうもろこしが主食。小麦から作るパンが主食の地中海農耕文化などもあげられていて、なるほど、日本の食の特徴はよその文化と比較することで、すごくわかりやすくなるのだな、と心に焼きついた覚えがあります。

納豆をかき混ぜながらねばねばと引く糸を見て、確かに、こりゃ納豆なぞ見たこともない文化の人が見たら、ほんとに不思議な、オーマイゴッドなものだろうなぁ、なんて思うんですね。

アジの開きを焼く匂いも、それをほぐして味噌と混ぜて焙るときの匂いも、日本人には、鼻から入って骨の髄にまで到達するかぐわしき香りなのに、朝食がミルク&ハニーの土地の人からしたら、信じられないような︿なにこれなにこれ?﹀な匂いともいえるんですよね。海に囲まれた土地で、魚介や海藻を食卓にのせ、きれいな水に育てられた野菜や米を糧にする、穏やかな平和な暮らし。

先祖が大昔から育ててきた食べ物がいとおしく感じられるようになりました。しみじみおいしい、という感覚はDNAが記憶しているものなんじゃないかしら、とも思うようになりました。

異なった気候風土のさまざまな文化の下、みんなが自分の思うおいしいを育てている、いいですよね、土地土地ではぐくまれる<おいしい>を大事に、誇りにしていきたいものだと思ってるんです。「くー、やっぱりこれだねえ」って言えるような食べ物があるって、平和で、健康的なことだとしみじみ思うんです。 (枝元なほみ)





あさごはん
朝食 冷汁たて

冷や汁 4人分

【 材 料 】
 アジの干物 2枚
 白いりごま 大さじ5
 味噌 大さじ5
 水 3〜4カップ
 きゅうり 1本
 みょうが 2個
 細ネギ 3〜4本
 麦ご飯 適量




過程2


【 作り方 】
1.アジの干物はグリルで焼いて、皮と骨をよけて身をほぐす。
2.みょうがは輪切りにして水に放す。きゅうりも輪切り、細ネギは小口切りにする。
3.すり鉢で、いりごまをすり、1の干物を入れてすりまぜ、味噌も加えてペースト状にすり混ぜる。ゴムベラで、すり鉢の内側にすりつけるようにしてから、直火にかざして、軽く焦げ目がつくまで焙る。
4.水を少しずつ加えて溶きのばし、2を浮かべる。麦飯にかけていただく。
※ 糠漬けのにんじんときゅうりを 添える。






photos:浅野一哉




後編はこちら





えだもと・なほみ

料理研究家。料理雑誌やテレビ番組で活躍中。『枝元なほみさんの根菜&豆おかず』別冊主婦と生活、『おりおりのおりょうり』集英社be文庫、など著書多数。








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(2006年9月1日発売、THE BIG ISSUE JAPAN 第56号より)




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料理を手段に人間教育「キッズ・キッチン」。かまどのごはん、味噌汁、そして魚料理



御食国(みけつくに)として知られている福井県の小浜市では、就学前の幼児が本物の包丁を使って魚をさばいている?! 子供対象とはいえ、本格的なこの「キッズ・キッチン」、いまや子供たちの人気のまと。中田典子さん(福井県小浜市食のまちづくり課勤務)にその誕生の経緯と人気の秘密を聞いた。






始まりは1回だけの予定だったイベント「キッズ・キッチン」




Kamado


2003年11月2日、若狭おばま食文化館の1階キッチンスタジオで、就学前の幼児対象に2時間に及ぶ食のイベントが行われていた。

子供たちに本物の包丁を持たせ、地場で取れた食材を使って料理をする。メニューはクッキーでもスイートポテトでもなく、白いごはんと具だくさんの味噌汁だけ。親はいっさい手を出さず、固唾を呑んで見守るだけの「キッズ・キッチン」。

さあ、この2時間、どんなことになるのか?

だが、普段は危ないから触っちゃだめと言われている包丁を、きちんとルールを守って使う。出汁を取るのに、煮干を使うが、それを「金魚すくい」だと言って楽しむ。たっぷり2時間集中して料理に取り組む子供たちがいた。自分が包丁で刻んだきゅうりやナスはその子供にとって特別なものになる。最後まで見守っていた親とできあがった料理を一緒に食べる子供たちの顔は誇らしげに輝いた。

「好き嫌いがなくなるとか、たくさん食べるとか、そんなレベルではなく、子供たちはこの体験を通して『やった!』という達成感を感じたんですね」。指導した中田典子さんは、そのときのことを「私がイメージしていたとおり、イベントの最初と最後で、本当に子供が変わったんです」と振り返る。

実はその年、中田さんは食のまちづくりを進める小浜市に食育専門職として社会人採用された。その時点で小浜は既に生涯食育のまちとして名を馳せており、「私がやれることは何だろう」と考えた末の「キッズ・キッチン」だった。

「いまさら子供の料理教室なんて?」「ケガでもしたら…」と否定的な意見が多かったにもかかわらず、中田さんの熱意に試しに1回だけやってみたらと開催されたイベント。結果は大好評。それ以降3年間で、小浜市の幼稚園、保育所の全年長児を含め、延べ2500人の子供たちが「キッズ・キッチン」を体験した。




食の持つ力はすごい。人を幸せにする力がある




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「キッズ・キッチン」の基本メニューは、ごはん、味噌汁、魚料理で、食材には必ず地場の野菜や魚を使う。魚は市場で中田さんが仕入れるし、野菜は地元特産の根元の白い部分が曲がった「谷田部ねぎ」などを意識して使っている。

「ゆっくりゆっくり包丁を下ろして、下につかえたと思ったら、そこで押したり引いたりしないで、包丁を上にあげるのよ」と中田さんが話しかけると、子供たちは緊張しながらも、そぉっと豆腐に包丁を入れる。しばし張りつめた緊張のあと、「できたぁー」「見て見て!」と歓声が上がる。中田さんはそのたびに感動で胸が熱くなる。

「自信のない子には『見ててあげるから、やってみる?』と声をかけます。子供は信頼されると、いじらしいくらい、それに応えようとしますよ」と中田さんは語る。

子供たちがお米を研ぐ。キッチンにすえられたカマドでお米が炊きあがると、みんなで鍋蓋をとる。もうもうと上がる白い湯気と炊き上がったばかりのごはんの匂い。「鳩が出てくるのかと思った」と言う子供の言葉に笑いが起こる。

小松菜を包丁で切るとき、じっと見つめている子供がいた。「この菜っ葉、生きている。血が通っているよ」と、その子は葉脈を発見したのだった。

魚を触るのにも何ら抵抗がない。4歳児がいわしの手開き、アジの三枚おろしもいとわない。魚の胃袋に「小さいお魚が中に入っているよ。餌だったの?」と、まな板に並ぶまで生きていた魚の命について考える。さらに、「キッズ・キッチン」での体験が忘れられず、「金魚すくいして、お出汁を取ろうよ」と意図せず自宅で親を教育したりもする。

「だから、キッズ・キッチンは料理教室ではありません。あくまで料理を手段にした人間としての教育なんです」と中田さんはきっぱりと言う。「本物の食材に勝る教材はないんですよ。えんどうのサヤむき、柔らかい葱と硬い大根を包丁で切り、胡麻をするときは、すり鉢の持ち役とすり役を二人で分担する。触る、匂う、むくなど、ゲーム感覚で子供たちは五感を使う。食の持つ力は本当にすごい。人を幸せにする力があります」

今年4月には、招かれて韓国の幼稚園へ「キッズ・キッチン」の出張教室も行った。そこでの子供たちの反応と母親たちの感動も日本と同じだった。中田さんは「韓国で、料理に言葉はいらないと思いました」と笑った。

 (編集部)

写真提供:小浜市食のまちづくり課





「キッズ・キッチン」
飛鳥時代から天皇に海産物を献上する御食国といわれた若狭・小浜。2001年、食のまちづくり条例を制定した福井県小浜市は、全年齢層を対象にした生涯食育で有名。「キッズ・キッチン」は、2003年に始まった就学前の幼児対象の料理を手段にした教育プログラム。小浜市の幼稚園、保育所の全年長児は全員が体験。随時行われる市内外の幼児対象「キッズ・キッチン」は人気のため抽選制をとっている。2〜3歳児対象のベビーキッチンも誕生。


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(2006年9月1日発売、THE BIG ISSUE JAPAN 第56号より)





スローフード2




世界の厄介者?日本はフードマイレージNO・1(ナンバーワン)———食糧輸入、食事の環境負荷、いずれも世界一




低い食糧自給率に安心できない食材、不健康な食習慣……。
今や、日本は「食不安大国」さながら。
食環境ジャーナリストの金丸弘美さんが警告する
日本のフードクライシスと、その処方箋。
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「きのう食べたごはん」を検証。20代若者男女55人に聞いた



「食事は、生活の活力源」。わかってはいるけれど、ついつい忙しい仕事に追われ、作るのが面倒で、手を抜いてしまうのが日々の食事。ひとり暮らしの身なら、なおさら。まともに食べる気さえ起こらない…。ということで、最も食が乱れがちといわれる20代の男女に教えてもらいました、彼と彼女の「きのう食べたごはん」。

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