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外界を完全遮断して、映画の世界に浸るマイ・シネマ!




日々の繁忙に追いたくられ、ちょっと人間関係にも疲れた時、「あーひとりになりたい!」って思いませんか?  そんな時って、意外と知識欲は旺盛。頭ん中は水を吸収するスポンジみたいに、普段の日常とは違う世界を欲してる。

だからこそ、外界との接点を完全に遮断して自宅でマイ・シネマ!


そう、映画館の人ごみに気分をそがれることもない。せっかく足を運んだレンタルビデオ店で観たい作品の「貸出中」に舌打ちすることもナシ。観終わったビデオの返却にめんどくささを感じることもない。自宅でひとり気分よく上映会を楽しむのが、マイ・シネマ。

マイ・シネマは、今やブロードバンドを利用すれば簡単。さまざまな映像コンテンツを配信するシステム「ビデオ・オン・デマンド」の広がりで、パソコンのインターネットで映画をダウンロードできるし、テレビでも専用機器を取り付けるだけで観たい映画を観たい時に視聴できる。会費も必要なく、レンタル料金も2〜3枚まとめれば意外と安い。レンタルビデオ店とほぼ同額か、むしろ安いぐらい。1ヶ月1500円で見放題というプランもある。

できるだけ多くの作品から選びたいという人には、「ツタヤ ディスカス」の宅配サービスがおススメ。このサービスは、ネットで予約すれば、DVDを自宅まで届けてくれて、返却時は最寄りの郵便ポストに入れるだけ。一枚レンタル525円とちょっと高めだが、月額プランだと1974円で8枚レンタル、すべての映画が予約可能だ。

あとは、映画ガイド本の伴走があれば、準備万端。『死ぬまでに観たい映画1001本』や『見ずには死ねない!名映画300選』で新たな発見をするのもよし、映画通なら『友達より深く楽しむ外国映画の歩き方』で洋画に出てくる外国文化の違いや背景などをトリビア的に楽しむのもおもしろい。

(稗田和博)






(2007年1月15日発売、THE BIG ISSUE JAPAN 第65号 [特集 冬、満喫—冬ごもりレシピ]より)





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寒いほど、暗いほど、人は寄り添いたくなる?
映画の中で寄り添う人々の冬ごもり。


『僕たちのアナ・バナナ』(エドワード・ノートン監督/2000年)



『僕たちのアナ・バナナ』には、冬のニューヨークをほっつき歩く若い男が一人。誰かに聞いてほしいと、一軒のバーに向かう。

 かなり酔っている彼に、マスターも「当ててみよう。浮気がばれて、怒った女房が子供を連れて出て行ったんだろう」。ところが、彼のジャケットの下は、黒一色の神父服。神父がバーで酔いつぶれているという非常事態に、思わずマスターも身を乗り出す。

神父のブライアン(エドワード・ノートン)、ユダヤ教のラビ、ジェイク(ベン・スティラー)と幼馴染の女の子アナ(ジェナ・エルフマン)の織り成す群像劇に聞き入り、バーは「本日閉店」。今夜もどこかのバーで、物語が紡がれているかもしれない。



『キッチン・ストーリー』(ベント・ハーメル監督/02年)





『キッチン・ストーリー』は北欧の冬ごもり物語。スウェーデンの「家庭研究所」研究員、フォルケ(トーマス・ノールシュトローム)は、ノルウェー人・フィンランド人独身男性の台所での行動パターンを調査中。

派遣先のイザックじいさん(ヨアキム・カルメイヤー)とは一言も口を利かず、ただ台所に一日中陣取り、彼の行動をつぶさに観察しなければならない。

初めは寝室で調理するなど抵抗を続けていたイザックだが、あまりにも気まずい観察生活は、ある日ついに二人が言葉を交わすことで終わりを告げる。

調査そっちのけでお茶を楽しみ、語り合う二人。イザックの誕生日にフォルケが用意したケーキには、乗りきらないくらいロウソクがささっていて、思わず笑みがこぼれる。窓の外はしんしんと雪が降り積もるけれど、家の中は暖かい。



『大停電の夜に』(源孝志監督/05年)




ちょっとしたハプニングが、単調になりがちな冬の生活を思い出深いものにする。『大停電の夜に』が描くのは、そんな一夜のストーリー。

「首都圏全域が大規模な停電に見舞われました」のニュースとともに、東京は暗闇に包まれる。会社役員の夫(宇津井健)の定年をともにお祝いする妻(淡島千景)。田口トモロヲ、原田知世演じる夫婦は、ろうそくの明かりの下、家でシャンパンを開け、少しオシャレなディナーを楽しむ。キャンドル屋の叶のぞみ(田畑智子)は、今日は大忙しだ。

12人の登場人物が、それぞれの場所で停電の夜を過ごす。そこには、秘密あり、驚きあり、懐かしい再会あり・・・。ロウソクに照らされた人々の横顔にはどこか優しさが漂う。
(八鍬加容子)




イラスト:Chise Park





(2007年1月15日発売、THE BIG ISSUE JAPAN 第65号 [特集 冬、満喫—冬ごもりレシピ]より)








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(2010年10月15日発売、THE BIG ISSUE JAPAN 第153号より)




渾身のストップモーションアニメ。毎日12時間、8年かけた制作




人間を好きになってしまった電信柱の恋を描く『電信柱エレミの恋』。
映像に映る造形物すべてを手作りで制作した、45分全編ストップモーションアニメ。






Profiel hosei
(中田秀人監督)





完成した時、宇宙船の旅から帰ってきたようだった



Elemi3

©SOVAT THEATER





制作秘話を聞いているだけで、気が遠くなってくる。人形を少しずつ動かしながら、コマ撮りで映像を撮影していくストップモーションアニメ。わずか1秒の映像を撮影するのに、キャラクターを平均6回以上動かし、細かいところでは実に30回も動かした。撮影前の表情の調整だけで数時間、丸一日撮影しても数秒撮るのがやっと。最も長いシーンでは、連続18時間撮影し続けたという。「人形は表情や関節だけでなく、服のシワまで微妙に動くので、一度撮影し始めたら、途中で終われないんです。トイレに行く以外はずっと同じ姿勢で、スタッフと二人でひたすら人形を動かした」と中田さん。




撮影以上に労力を使ったのが、造形物の制作だ。作品に登場する数々のキャラクターや背景となる昭和の町並み、アパートの部屋の細かな描写に至るまで、すべての造形物を一つずつ手づくりで制作したという。

「たとえば、人形の洋服なら、イメージに合った布を探し、なければ靴下や古着の裏地など身の回りにあるもので試していく。人形の顔など動く部分はプラスチック粘土ですけど、それ以外は木や発泡スチロール、樹脂、紙粘土、アルミ、鉄など、表現に合った素材を選んで一つひとつ制作しました」




Scene





緻密でリアルな町並みは、イメージデザインを描き、それに近い町並みを歩いて探し、実写とデザインを組み合わせて架空の町を作り上げた。また、効果音も町中で採録したり、棒に布を巻いたものを叩いて鳥の羽ばたく音にするなど、すべてが独自のアイディアによるもの。




制作期間は、実に8年。造形技師の仲間3人と交代で毎日12時間フルに作業しても、それだけの歳月が必要だった。「一つとして同じ作業はないので、毎日大変で、毎日難しかった。完成した時は、4人で宇宙船の旅から帰ってきたようだった」

そうして完成した映画は、自主制作フィルムとしては異例のロードショーが実現し、今年、第13回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀賞を受賞。さらに、手塚治虫や宮崎駿などが歴代受賞者に名を連ねる、国内のアニメ映画賞では最も歴史と権威のある第64回毎日映画コンクールアニメーション賞大藤信郎賞を受賞。立体アニメ表現の完成度に対して満場一致という高い評価を受けた。




小さなものでいいから、何年も人の記憶に残る作品をつくりたい



ストップモーションアニメに魅せられたのは学生時代。ヨーロッパのアートアニメを観て衝撃を受けた。「学生の自主映画だと、有名な俳優は使えないし、大きなセットもつくれない。でも、これなら一つの画面を自分が納得できるまで思う存分つくれると思った」




アニメや造形制作については、中田さんをはじめ4人とも完全な独学。日々の制作と失敗を繰り返す中で、独自のノウハウを積み上げてきた。

「造形物を置いて、アングルを決め、その空間を撮ることに自分たちの喜びがある。ものすごく手間はかかるけど、木を削る感覚や絵の具を混ぜた時のにおいみたいなものが、最終的な画面につながってくると思うし、観客にもそれが伝わると信じている」

ストーリーは、電信柱のエレミが電力会社の作業員タカハシに恋をし、電話回線に侵入して話し始める。中田さんはこのファンタジーを20年かけてでも完成させたかったと話す。

「僕の考えるファンタジーは、天使が舞い降りて奇跡を起こすようなものじゃなくて、実生活の中で何年かに一度起こる偶然のようなもの。電信柱は無言で佇むただのコンクリートの柱だけど、そこに何らかの想いを感じる。優しくて、少し温かい。でも、何もかもが幸せってわけじゃない。そういうファンタジーがどうしてもやりたかった」




映画のラストは、観る者に深い余韻を残す。そして、観終わった後、町の片隅で秘かに立つ電信柱をふと見上げたくなる、そんな記憶に残る作品だ。

「学生時代、南の島で海に浮かんでいた時、今自分がここで消えても、砂浜の砂粒ひとつ何も変わらないんだろうなって思ったことがあって、その時自分はほんとに貝殻ひとつぐらいの小さなものでいいから、何年も人の気持ちに残るような作品をつくりたいと切実に思った。それが、僕のクリエーターとしての原点で、今につながっていると思います」

(稗田和博)






中田秀人
1972年、兵庫県出身。京都精華大学卒。97年に、主にパペットを用いたストップモーションアニメを制作する映像チーム「ソバットシアター」を結成。ストーリーや世界観、デザインを担当するなど、チームの中心的存在。00年に短編アニメーション作品『オートマミー』で国内の映画祭で数々の賞を獲得。09年には、8年の制作期間を経て『電信柱エレミの恋』を制作した。




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(2006年8月15日発売 THE BIG ISSUE JAPAN 第55号 特集「愛と暴力の狭間で—D.V.(ドメスティック・バイオレンス)からの出口はある」より)

DVか?愛か?映画の中で探してもらいたい



モンスターに出会ってしまった不幸な女の話にだけはしたくなかった。
男女の恋愛、性愛を撮り続けてきた中原俊監督は語る。
男女両方の視点から描かれた映画『DV ドメスティック・バイオレンス』。


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(中原俊監督)


夫の暴力、妻の復讐 男女両方の視点から描く



結婚3年目のある日、それまでやさしかった夫が突然変わり始めた——銀行口座を解約し、家計を管理しようとする、妻の仕事を辞めさせるため、実力行使に出る、味付けが気に入らないと調味料を投げつける、テーブルをひっくり返す、殴る、蹴る、レイプ同然のセックスを強要する……暴力はどんどんエスカレートし、妻は命の危険まで感じるようになっていく。夫の豹変ぶりと激しい暴力、そして最後に妻が取った究極の復讐……そのすべてがあまりにリアルで恐ろしく、背筋が寒くなってしまう。

「男にとっても女にとってもゾッとする作品だったかもしれません。モンスターに出会ってしまった不幸な女の話にだけはしたくなかったので、男女両方の視点で描くよう工夫しました」と話すのは、映画『DV—ドメスティック・バイオレンス』の中原俊監督。

当初、監督の元に持ち込まれた脚本は、どちらかと言えば男の立場から書かれたものだった。そこで2チームに分かれ、殴る男性の心理、殴られる女性の心理を洗い出していき、それを脚本に反映させていったのだという。

「その作業だけで約半年はかかったんですよ。また、DVについて知るきっかけになればと思い、あえて典型的なDVのパターンを散りばめるようにしました。映画の中に、『これはDVですか? 愛ですか?』という問いかけが出てきますが、DVを受けている本人が、被害者であることを自覚できない場合が非常に多い。その答えを映画の中で探してもらいたいという意図もありましたね。さらにDVを語る上で非常に重要でありながら、表に出されることのない性の問題も、しっかり取り上げるようにしました」


映画の設定はDV法施行後。夫の暴力から逃れるため、妻は公的相談所を訪ね、警察に助けを求める——しかし、公的相談所は気休めしか言わず、警察では夫婦喧嘩不介入と追い払われてしまう。病院に行って傷を見せると、暴力も愛情のうちとさえ言われる……。

「これらの場面は、公的機関に携わる人たちへのメッセージを込めてつくりました。実際は観てもらえてないようですが、ははは。どんなに立派な法律でも、それを運用する人たちがしっかりしてくれなければ、何の意味もありません。これまでは、夫婦の問題だから自分たちで解決しなさいと言ってきたのが、逃げなさいというメッセージに変わった、それ自体はいいことです。けれど根本にあるのは、人間の問題、男対女の問題なんですから、法律ができたから、即解決するということではないんですよ」





恋愛過剰主義—DVはそのツケか?



中原監督は、映画監督としてデビューした日活ロマンポルノの時代から、男女の恋愛、性愛を撮り続けてきた。

「僕は人間の一つの恋愛、性愛のかたちとしてDVの問題を撮りたかったんです。愛し合っていたはずの男女が、ちょっとしたことからとんでもないことになっていく。それはDVというかたちもあるでしょうし、セックスレスというかたちで現れることもある。DVもセックスレスも根本は違わないと思うんです」


最近これらの問題がクローズアップされる背景について、中原監督は、“恋愛過剰主義”を指摘する。

「ビビッときて一目で恋に落ちたという話をよく聞きます。とってもロマンチックに聞こえるけれど、それは多くの危険をはらんでいることでもあるんですよ。最初の印象がいいほど、その後の落胆は激しくなるもの。女性も男性も相手に求める要求が過剰になっているのではないでしょうか? 恋人も夫婦も、所詮は他人同士なんだから、100パーセント理解しあうのは無理だと悟るべきです」


さらに“男性的な男性”は、それが暴力に変わっていく可能性があるということを知っておく必要があると中原監督は言う。

「女性は男性的な人に憧れる傾向が強いですよね。例えば二人で歩いていたら向こうからチンピラがやってきて、道を開けろと言う。そんな時、おずおずと引き下がる男性よりもチンピラとやりあう男性のほうがかっこいいと多くの女性が思うでしょう。でもその強さが暴力に変化することだってある。もちろん、みんながそうではないけれど、そういう危険がゼロではないということを知っておく必要があるんですよ」


そして簡単ではないけれど、男性も女性も、自分の思いや考えを相手にはっきりと伝えること——それもDV防止に役立つそうだ。

「この映画、ぜひ夫婦やカップルで観てほしいですね。最後まで問題なく見るか、途中で飽きてしまったら(笑)、DVの危険度は低いでしょう。逆に『男の気持ちが全然わかってない』と男性が言うようなら、要注意。二人のセルフチェックに役立ててもらえたら何よりです」


(飯島裕子)
Photo:浅野一哉





中原俊(なかはら・しゅん)監督
1951年、鹿児島県生まれ。東京大学文学部宗教学科卒業後、76年日活入社。日活ロマンポルノ『犯され願望』でデビュー。日活退社後、『櫻の園』、『12人の優しい日本人』を監督。最近では『コンセント』、『でらしね』、ドラマ『スカイハイ』(一部)の監督など、幅広く活躍している。次回作は青森でカーリングに励む人々を描いた、吹石一恵主演『素敵な夜ボクにください』。






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人間の暴力性と可能性 ドメスティック・バイオレンスを描く映画



相手を思っての「愛」と勘違い、コンプレックスと背中合わせの歪んだ暴力、煩悩とともに生き右往左往する人間。人間の暴力性と可能性を問い直す映画たちのご紹介。



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