(2011年8月1日発売、THE BIG ISSUE JAPAN 第172号より「ともに生きよう!東日本 レポート8」)
開設! 市民による放射能測定所&研究所
(福島市、市民放射能測定所)
必要なデータは自分たちで調べて防御したい。
東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴う大気や土壌、農作物の放射能汚染と、内部被曝の問題が高い関心を集める中、福島市に7月17日、市民グループによる「市民放射能測定所」(丸森あや理事長)がオープンした。
福島の父母らを中心に今年5、6月に「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク(子ども福島)」「子ども福島情報センター」(中手聖一代表)が発足。参加者から「自分たちの手で、食品の放射能を計測したい」という声があがり、『DAYS JAPAN』編集長の広河隆一さんと、「未来の福島こども基金」(黒部信一代表)が測定器現物や購入費用を寄付して、開所が実現した。今後、「DAYS放射能測定器支援基金」も同測定所を支援していく。
国や県による農作物などの検査は、検査機器の不足などでサンプル数が少なく態勢に課題が残る。一方で、福島産牛の肉から放射性セシウムが検出されるなど、食品の放射能汚染の不安が広がっている。福島では、子どもをもつ母親を中心に、行政に頼らずに自分たちで調査し、判断しようとする新しい活動が始まった。
測定所には、野菜や肉など主に食品に含まれる放射能を計るベクレルモニター2台を設置。別の建物に「研究センター」のスペースも確保し、外部の放射線の影響を鉛で遮断した大型の高純度ゲルマニウム半導体検出器を設置。今後、より詳しく計測できる機器や、人の内部被曝を測ることができる「ホール・ボディー・カウンター」も整備予定で、本格的な検査態勢になる見通しだ。
同測定所の事務局長・長谷川浩さんは「誤差もあるが、自分たちで計測してデータを得て判断するのが目的。いずれは家畜飼料など農業関係や、学校給食のサンプル調査ぐらいまでやれたら」と話す。
当面は平日3日と、週末のいずれか1日の開所を予定。1人2点までで、無料だがカンパ歓迎。ホームページから事前の予約が必要。問い合わせ、申し込みなどは市民放射能測定所のホームページへ。
(文と写真 藍原寛子)