(2009年11月15日発売、THE BIG ISSUE JAPAN 第131号より)










マラウイ、自由もたらす風車



マラウイのマシタラに住むウィリアム・カムクワンバは、貧困のため14歳で学校に通うことができなくなったが、地元の図書館に通っては、独学で科学の勉強を続けていた。そして、そこでエネルギーに関する書物に出合い、風によって、水をくみ出すエネルギーや電気を生み出せることを知った。「これで貧困と対峙できるかも、と思ったよ。これを自分でつくってみなきゃ、と感じたね」と、彼は当時を振り返る。

カムクワンバはごみの山から材料を見つけ出し、最終的には5メートルの風車を完成させた。そして、その風力によって、自宅に光がともされた。「この光によって、僕はもう7時に就寝する必要がなくなったんだ。これで、暗闇と腹ペコの状態から解放された。風車は単にエネルギーというよりは、自由を僕らにもたらしたんだ」

彼の試みは瞬く間に広まり、カムクワンバは飛び級で学校を卒業。08年には、より強力な風車を完成させ、このプロジェクトへの寄付が相次いだ。

22歳になったカムクワンバは南アフリカで奨学金を得て学びを続けているが、卒業後は地元に帰るつもりだという。マラウイでは、2パーセントの人々しか電力を享受していないためだ。

(Sarah Taylor)