(2009年10月1日発売、THE BIG ISSUE JAPAN 第128号より)











中国、南京の歴史保護区でとまらない都市開発



三国志で有名な呉の孫権が都を置いた南京は、史跡が多く、中でも老城南(ラオチェンナン)という地域は南京の歴史文化発祥地とされ、2500年前の城跡など多数の遺跡が集中し、南京の伝統的風俗習慣もこの地に息づいているという。老城南は歴史保護区に指定されているが、今や高層ビルが建ち並び、歴史的価値の高い建物も商業施設や高級別荘に変わりつつある。

南京市は市民の生活を守るためとして06年に違法建築物と危険家屋の撤去を開始した。しかし実際は、不動産業者と地方政府が結託して古い住宅の住民を立ち退かせ、そこに商業施設等が建設されている。安い補償費で立ち退かせ、高利益を生む施設を作る。立ち退きに応じなければ嫌がらせをして追い出す。

開発に反対する学者たちは既に意見書を数回提出しているが、開発は止まらない。温家宝首相も撤去を一時中止するように二度も指示したが、立ち退きの強要は一向に減らない。古い街並で営まれてきた庶民の生活文化は消えつつある。

(森若裕子/参照:亜洲週刊、南京日報、新京報)