(2012年6月15日発売、THE BIG ISSUE JAPAN 第193号より)
中国、戸籍問題がもたらす新卒者の給与格差
先日、北京で就職を希望する新卒者対象の就職説明会があり、同じ職種の仕事でも、企業が「都市戸籍」の取得を保障する場合の給与は3000元(約3万6千円)程度、保障しない場合は8000〜13000元と、2〜3倍の格差があることが明らかになった。
中国には元々、都市への人口集中を回避するために「都市戸籍」「農村戸籍」の区分がある。そのため、新卒者の多くは大都市での就職を望みながらも、地方出身者が都市戸籍を得るのはたやすくない。
しかし、都市戸籍を得ないまま就職すれば、福祉サービスなどが受けられないため、医療や教育で負担を強いられる。政府も新卒者を採用する企業や機関に一定数の「戸籍」枠しか与えない。
そのため、地方出身者は農村戸籍のままで3倍の給与を選ぶべきか、都市戸籍のメリットを重視すべきか、厳しい選択を迫られる。
一方、地方は人材誘致のためにさまざまな政策を実施しており、仕事上の発展を見込んで地方を選ぶ学生もいる。清華大学の就職指導センターの主任は、今年度地方で就職する同大学の卒業生は半数に達するだろうと予測している。
(森若裕子/参照:鳳凰網、北京晨報)