昨年1月にイギリスで発売された本が話題になっています。タイトルは『A Street Cat Named Bob』(ボブという名の野良猫)。本屋でのサイン会にはたくさんの人が列をなし、著者ジェームズさんとパートナーの猫ボブが路上に立つと人だかりができています。
インターネット上でも話題になっていて、公式フェイスブックのページ「James Bowen & Street Cat Bob」には4万人以上のファンがつき、世界各地からメッセージや写真が投稿されています。
今年の2月には子ども向けの本『BOB NO ORDINARY CAT』が出版されたばかり。去年の3月のCBSニュースでは映画化の話もあるとの話題が出ています。
バスキング(路上ミュージシャン)で生計を立てるジェームズ・ボウエンさんが痩せて引っかき傷だらけの野良猫とであったのは2007年。イギリス生まれオーストラリア育ちのジェームスさんは、ロックミュージシャンとして成功することを夢見てロンドンにやってきたものの夢破れ、ヘロインの依存症になり20代の大半をホームレスとして過ごしました。
福祉用住宅に入居し、依存症克服のための治療を始めたばかりだったある日、ジェームズさんは、自分が住むアパートの1階でうずくまっているジンジャー色の猫と出会います。幼少期に猫と暮らし、大の猫好きだったジェームズさんは怪我をして弱っているその野良猫を見捨てることは出来ませんでした。
とはいえ、バスキングでなんとか生活を立てる日々。自分の生活さえもままならない時に動物を飼うという責任をきちんと果たせるのかと自問自答します。初めは怪我の手当てだけでも、とRSPCA(The Royal Society for the Prevention of Cruelty to Animals/ 英国王立動物虐待防止協会)の運営する治療センターに猫を連れて行きますが、怪我が治った後も、その猫はジェームズさんから離れようとせず、ジェームズさんは野良猫にボブと名づけ一緒に暮らすようになります。
「なぜかはよくわからないけれど、ボブの世話をするという責任が僕を少し元気づけた。僕の人生に新たな意義が生まれたと感じたんだ。自分以外の誰か(何か)のために行動することでね」
人生において、自分のためではなく誰かのために生きること、自分よりも大切に思える存在を持つことの重要性をジェームズさんの体験は教えてくれます。
「ボブが僕の人生に入りこんでくる前は、自分のことでさえ面倒を見切れていなかった」と英国のビッグイシューのインタビューに答えてジェームズさんは言います。「でもボブがやってきて、彼の世話をするうちに、自分のことも以前よりもきちんとできるようになってきたんだ。彼は僕を無条件に愛してくれるからね」。
路上演奏をする人への警察の取締りが厳しくなったため、ジェームズさんはビッグイシューの販売をはじめます。ここではイギリスのビッグイシューのしくみや販売者としての気持ちなどが細かに語られています。
「ボブが一緒にいると人が見てくれる。それまでの僕は透明人間(インビジブル)だった」とジェームズさんは言います。幼少期のトラウマやいくつかの失敗や挫折から立ち直れずホームレスとなったジェームズさんですが、ボブという支えを得て、依存症を克服し、徐々に生活を立て直していく姿が赤裸々に描かれています。
イギリスの福祉住宅などについてや、ペットや動物が最低限の医療を受けられるようなしくみなども興味深く勉強になります。
日本語版も出版されるといいのですが。英語が読める猫好きの方はぜひ読んでみてください!
(ビッグイシュー日本 東京事務所 マネージャー 佐野未来)
今年の2月には子ども向けの本『BOB NO ORDINARY CAT』が出版されたばかり。去年の3月のCBSニュースでは映画化の話もあるとの話題が出ています。
バスキング(路上ミュージシャン)で生計を立てるジェームズ・ボウエンさんが痩せて引っかき傷だらけの野良猫とであったのは2007年。イギリス生まれオーストラリア育ちのジェームスさんは、ロックミュージシャンとして成功することを夢見てロンドンにやってきたものの夢破れ、ヘロインの依存症になり20代の大半をホームレスとして過ごしました。
福祉用住宅に入居し、依存症克服のための治療を始めたばかりだったある日、ジェームズさんは、自分が住むアパートの1階でうずくまっているジンジャー色の猫と出会います。幼少期に猫と暮らし、大の猫好きだったジェームズさんは怪我をして弱っているその野良猫を見捨てることは出来ませんでした。
とはいえ、バスキングでなんとか生活を立てる日々。自分の生活さえもままならない時に動物を飼うという責任をきちんと果たせるのかと自問自答します。初めは怪我の手当てだけでも、とRSPCA(The Royal Society for the Prevention of Cruelty to Animals/ 英国王立動物虐待防止協会)の運営する治療センターに猫を連れて行きますが、怪我が治った後も、その猫はジェームズさんから離れようとせず、ジェームズさんは野良猫にボブと名づけ一緒に暮らすようになります。
「なぜかはよくわからないけれど、ボブの世話をするという責任が僕を少し元気づけた。僕の人生に新たな意義が生まれたと感じたんだ。自分以外の誰か(何か)のために行動することでね」
人生において、自分のためではなく誰かのために生きること、自分よりも大切に思える存在を持つことの重要性をジェームズさんの体験は教えてくれます。
「ボブが僕の人生に入りこんでくる前は、自分のことでさえ面倒を見切れていなかった」と英国のビッグイシューのインタビューに答えてジェームズさんは言います。「でもボブがやってきて、彼の世話をするうちに、自分のことも以前よりもきちんとできるようになってきたんだ。彼は僕を無条件に愛してくれるからね」。
路上演奏をする人への警察の取締りが厳しくなったため、ジェームズさんはビッグイシューの販売をはじめます。ここではイギリスのビッグイシューのしくみや販売者としての気持ちなどが細かに語られています。
「ボブが一緒にいると人が見てくれる。それまでの僕は透明人間(インビジブル)だった」とジェームズさんは言います。幼少期のトラウマやいくつかの失敗や挫折から立ち直れずホームレスとなったジェームズさんですが、ボブという支えを得て、依存症を克服し、徐々に生活を立て直していく姿が赤裸々に描かれています。
イギリスの福祉住宅などについてや、ペットや動物が最低限の医療を受けられるようなしくみなども興味深く勉強になります。
日本語版も出版されるといいのですが。英語が読める猫好きの方はぜひ読んでみてください!
(ビッグイシュー日本 東京事務所 マネージャー 佐野未来)
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ビッグイシューについて
ビッグイシューは1991年ロンドンで生まれ、日本では2003年9月に創刊したストリートペーパーです。
ビッグイシューはホームレスの人々の「救済」ではなく、「仕事」を提供し自立を応援するビジネスです。1冊450円の雑誌を売ると半分以上の230円が彼らの収入となります。