こんにちは、ビッグイシュー・オンライン編集長のイケダハヤトです。恒例の最新号の読みどころピックアップをお届けします。
「異文化理解能力」と「同調圧力」のダブルバインド
217号は、劇作家の平田オリザさんがゲスト編集長。特集「対話の時代へ」では、平田オリザさん流の鋭いコミュニケーション論が語られています。
平田さんの言葉のなかで、特に印象的だったのは「異文化理解能力」と「同調圧力」のダブルバインド、というテーマ。ぼくが知っている範囲でも、これはたしかに、苦しんでいる人が多いです。
平田さんによると、今、日本の企業が求める「コミュニケーション能力」は、完全に「ダブルバインド(二重拘束)」の状態にあるという。「ダブルバインド」を簡単に言えば、二つの矛盾した命令を受け取った人が、その矛盾を指摘することができず、しかも応えなければならない、とてもストレスフルな状態のことだ。
「現在、表向き、企業が新入社員に要求するコミュニケーション能力は、グローバル・コミュニケーション・スキル=異文化理解能力です。つまり、異なる文化背景や価値観をもっている人に対して、自分の主張を伝えることができること。
ですが、日本企業では、知らず知らずのうちにもう一つの能力を若い人に求めている。それが『上司の意図を察して機敏に行動する』『会議の空気を読んで、反対意見を言わない』というような従来型のコミュニケーション能力です。
若い人たちは、この『異文化理解能力』と日本型の「同調圧力」の狭間でがんじがらめになっているのではないでしょうか」
社内の会議で反対意見を言ったら、その場はなんとなしに「まあまあ」とお茶を濁され、会議の帰り道に「おまえ、ああいうときは本当のことは言わない方がいいんだぞ」と諭される。その癖、表向きでは「個性を発揮しろ」「創造的な提案を行え」と伝える。経営理念には「独創的」の文字が輝いている。
…どうでしょう、こういうシーンって、けっこうありますよね。かくいうぼくもサラリーマン時代、何度も経験しました。
平田オリザさんは、そんな日本の矛盾を突破するためには、価値観や文化的背景の違いを乗り越え、共通点を見つけるための「対話」が大切だと語ります。「対話」する力を磨くための方法として、平田さんは「演劇ワークショップ」を実践されています。
「対話」をつくり体験できる場として演劇ワークショップをあげる。
「演劇は、ごく短い時間の中で、表面的ではあるかもしれないけれど、他者とコンテクストをすり合わせ、イメージを共有することができる場なんですね」
Googleを「演劇ワークショップ」で検索すると、平田オリザさんを筆頭に、さまざまな団体・個人がプログラムを実施していることがわかります。対話能力に悩む方は、一度ワークショップを経験してみるといいかもしれませんね。
参考までに、NAVERまとめにも、こんなまとめがアップされていました。
東京で初心者可の演劇教室・ワークショップまとめ - NAVER まとめ
最新号では、ほかにもナオミ・ワッツ氏のインタビュー、ピアニストの小曽根真さんのインタビューなど、読み応えあるコンテンツが掲載されております。さらに詳しい情報はこちらから。路上にて販売中です!