こんにちは、オンライン版編集長のイケダです。

先日、ビッグイシュー10周年記念イベントとして「希望を語るー自閉症、その内面の世界」と題し、作家の東田直樹さんと、精神科医の山登敬之さんとの対談を開催いたしました。

当日のイベントレポートに代えて、東田直樹さんのご発言の中で、個人的にグサグサッと来た言葉を名言まとめの形式でご共有させていただきます。透明な矢で心を射抜かれるような、珠玉の言葉をお楽しみください。
なお、東田直樹さんについては、以前アップした記者会見のレポートで詳しく紹介させていただいております。ぜひ合わせてご覧ください。

東田直樹さん著書『風になる―自閉症の僕が生きていく風景』出版記念記者会見 | BIG ISSUE ONLINE




自閉症の作家・東田直樹氏の名言まとめ



自閉症という障害は、どこから来たのだろうと考えることがあります。自閉症は、人類が生み出したものではないでしょうか。何かのバランスがくずれているために、僕たちのような人間が必要だから、生まれた来たような気がします。

治らない障害というものは、時代が僕らに何かを望んでいることがあって、僕らををこの世に誕生させたに違いない。





僕は、どんな人も自己肯定感を持っていると思う。自己肯定感が高い人ほど、前向きに生きていけるのではないか。どれくらい楽に生きられるかも、自己肯定感に左右されると感じる。ここでいう『楽』とは、自分を追いつめないという意味です。






奇声を上げたり、騒いだり、僕がそうしたくてしていると思われがちだが、それは違う。普通の人は、自分の言動は自分の意思でコントロールできるものだと考えている。

僕のようなタイプの自閉症者は、脳に何らかの障害があり、行動のコントロール機能がうまく働かないのではないか。僕はまるで、壊れたロボットの中にいるみたいです。





言葉や態度や表情で、表現することができない人が存在することを、どうすればわかってもらえるのか悩みます。誰にもわかってもらえない人の心を救えるのは、やはり人だと思います。

話せない人に対しては、気持ちを推測するしかないのはわかります。しかし、見かけの言動だけで、話せない人の気持ちまで、すべてわかったように、決めつけないでほしい。本当の気持ちは、その人にしかわからないはずです。

思ってもいないことを、まるで本人の意見のように断定されると、それに対して弁解もできない人は、ただ、従うしかない。話せない人の心の中を想像して言う言葉は、あくまでも言っている人の意見だということを、忘れないで欲しいです。





僕の場合は、思ったことがあっても、繰り返しそのことを考えます。何度も考えているうちに、どこかで出口のような答えが、見つかることがあります。僕にとって、考えるということは、息をするのと同じくらい日常的なことです。

考えている間は、自分が障害者であることを忘れています。思考は限りなく自由で、無限の可能性を僕に感じさせてくれます。





僕の心が躍るのは、空気が澄んでいる景色を見たときです。自分が風景にとけ込むような感覚に陥るからです。体だけがバラバラになって、空や木や大地に吸い込まれていくような感じがします。自分の命が永遠であるかのような錯覚に襲われます。

そういう瞬間は、幸せの絶頂のような気分です。きっと太古の人間も同じように感じていたのでしょう。





自閉症という言葉には、自分を閉じ込めるという印象があるかもしれませんが、それは間違いです。心はいつも外に開いています。本当に心を閉ざしていたら、奇声を上げることも、パニックになることもないでしょう。

自閉症者は、心を閉じていて、人と関わらないのではありません。開いているのに、気づいてもらえないのです。外に出るためには、人の力が必要です。どうか、僕たちに、この社会で生きるための力をかしてください。





上の文章だと伝わりにくいかもしれませんが、東田さんは文字盤を使いながら、ゆっくりと言葉を紡いでいきます。ほんの短い動画ですが、文字盤を用いた会話の様子を撮影しております。






会場ではこの後、山登さんによる発達障害、自閉症についての解説、そして山登さんと東田さんの対談が行われました。さらに詳しくは、こちらのtogetterにまとめてありますので、こちらも合わせてぜひご覧下さい。

「希望を語るー自閉症、その内面の世界」東田 直樹さん×山登 敬之さん - Togetter




当日は400人近い方にご参加いただき、イベント終了後、会場は満場の拍手で包まれました。

ぼくはボランティアスタッフとして参加したはずだったのですが、時折仕事を忘れて、涙を流しながら聞き入ってしまいました。東田さん、山登さん、すばらしい講演をありがとうございました。




ビッグイシュー10周年イベントはまだまだ続きます。詳細は以下のページからご覧下さいませ!

ビッグイシュー日本版|祝・おかげさまでビッグイシュー10周年!

BIG ISSUEから東田直樹さんの本が2冊出ています。


BOOKS
社会の中で居場所をつくる 自閉症の僕が生きていく風景(対話編・往復書簡)
東田直樹・山登敬之 著
作家であり重度の自閉症者の東田直樹さんと、精神科医・山登敬之さんの立場をこえた率直な往復書簡。「記憶」「自閉症者の秘めた理性」「純粋さ」「嘘」「自己愛」「自分らしさ」など、根源的な問いが交わされる。
2015 年12 月発売
定価1600 円(税込)
B5判変型
(800 円が販売者の収入になります)
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風になる 自閉症の僕が生きていく風景(増補版)
東田直樹 著
発話できない著者が文字盤で思いを伝えられるようになるまでの日常や、ありのままの自分を率直に語る。連載エッセイ74 編、宮本亜門さんとの対談も収録の増補版。路上で一万冊突破。
2015 年9月発売
定価1600 円(税込)
四六判
(800 円が販売者の収入になります)

2016/10/14よりクレジット決済が可能になりました。

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