(2013年11月1日発売、THE BIG ISSUE JAPAN 228号より)
損害賠償の権利、3月で失効?穴だらけの子ども・被災者支援法に8万筆の国会請願
「原発事故被害者の救済を求める全国運動」は、11月12日に国会請願行動を行った。この日、福島県の被災者を中心に全国に避難している被災者など約200人が集まった。
「福島原発事故子ども・被災者支援法」は、議員立法により国会に提出されて2012年6月に全会一致で可決されたが、法が求める基本方針の策定はその後1年以上も放置されたままだった(本誌219号)。そこで被災者たちは早期実施を求めて裁判に訴えた。その2週間後の8月に基本方針案が復興庁より公表され、パブリックコメントを経て固まったのは10月11日だった。
ところが、基本方針にはいくつかの問題がある。支援の対象となる地域が福島県内の汚染の強かった地域に限定されている。かつ、強制避難以外の避難者への支援が皆無に近い。健康影響に関する国が行うべき調査が進んでいない。また、パブリックコメントに提出された多くの意見が反映されていない、などなどだ。
千葉県にできてしまった放射能汚染の強い地点(ホットスポット)は、環境省によって「汚染状況重点調査地域」に指定され、該当する9市の首長は支援法の対象地域とすることを強く求めてきたが、安倍政権に声は届かなかった。請願に先立つ集会では根本崇・千葉県野田市長はじめ、4市長から連帯のメッセージが寄せられた。
子どもを含めた被災者の懸念はこれだけにとどまらない。損害賠償請求の権利が来年3月に消滅するかもしれないことだ。今回の請願では、支援法の十分かつ具体的な施策の実施を求めると同時に、賠償請求の時効問題を抜本的に解決するための特別立法を求めた。3年でなく少なくとも10年(さらに延長あり)とすることを主旨にした法だ。
衆議院および参議院の前には各野党から30人の議員たちが請願者たちを出迎えてくれ、支援法の充実や特別立法を約束してくれた。「確かな手ごたえを感じた」と主催者は最後のあいさつを行っていた。この日提出した請願署名は約8万筆。全国運動はさらに署名を集めている。
さまざまなかたちの賠償支援はぜひとも必要なことだ。他方、賠償で償っても決して癒えない心の傷を被災者が負っていることも忘れてはならない。
原発事故被害者の救済を求める全国運動