前編を読む





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Kildevæld Sogns Plejehjemの共有スペース-2





日本の特別擁護老人ホームでは、起床時間、食事場所、食事内容、就寝時間などは、施設によって決められていることがほとんどであるが、デンマークでは入居者自身が、それぞれ決めることが出来る。「Kildevæld Sogns Plejehjem」には、美容室やフットセラピー、スポーツジムが併設されており、好きな時に好きなだけ利用が可能。フィジオ・セラピスト(理学療法士)の指導のもと、週3回スポーツジムで運動する個人プログラムも組まれる。もちろんすべて無料。続きを読む
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世界一幸福な国~デンマーク・コペンハーゲン、高齢者福祉の今~




世界一幸せな国といわれるデンマーク。消費税は一律25%、所得税は約50%、国民の租税負担率は70%と高負担である代わりに、医療費、大学卒業までの教育費(学生の間は返済義務がない生活支援金も貰える)、出産費、介護福祉費は、基本的に無料。実際にデンマークの人々に話を聞いてみると、質の高い福祉を維持するために高負担であるのは当然のこととして受け止められており、むしろ人々は、こうした世界でもトップレベルである福祉サービスを受けられることに誇りを持っているため、税の高負担に反対する声はほとんど上がらないようだ。続きを読む
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前編を読む





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Q: 成功への突破口になった作品は?

S: 僕にとって大切な作品の1つは、ハックニーにある工場の煙突を描いたものです。とても高い場所で、以前滞在していたホステルを見下ろす位置にあって、僕を守ってくれるような気がしたものです。今はもう消されてしまったけど、それでもいい。役目は果たしたからね。




Q: 多くの広告代理店がストリート・アーティストの知名度を利用しようとしていますが、ストリートアートを「飼いならす」ことはできるのでしょうか?

S: よくある話です。昨年ある広告代理店が、僕の作品を広告イメージに使った。僕の許可なしにね。僕は代理店に連絡して、(街に出ている)広告をすぐに回収することと、いくらかのお金をビッグイシュー基金に寄付するように要求した。代理店は合意し、それが今回のポスタープロジェクトの資金となった。




Q: ギャラリー業界はどうですか?ストリートアートの商品化を避けながらも、ギャラリーでの居場所をつくることは可能でしょうか。しばらくしてすぐ撤回されましたが、つい最近、バンクシーの絵が北ロンドンの壁から剥がされ、700,000ドルでマイアミのオークションにかけられました。

S: それについては何が起きたのかは知らないけれど、誰かがアートの「価値」とアートの「値段」を取り違えたんじゃないかな。ギャラリーには、芸術を紹介するという役割がある。動物園と少し似ているね。ただし今は、動物たちは逃げ出して、自由に走り回っている。オウムは街灯をねぐらにしているし、街を疾走するシマウマもいる。ストリートアートは野性であり常に進化している。アーティトになるには今はとても良い時代。アーティストが自分の作品を売買すること自体は当然のことだし、まだ良心的なギャラリーもたくさんある。けれど、ギャラリーは、現れては消えていくからね。アートは永遠に残る。




Q: 企業や公共機関が仕事を依頼してきた場合はどうしますか?

S: 注文ではないストリートアートの作品と同様に、公共機関から依頼された仕事もしている。いってみれば、私たちを取り巻く環境を変化させる権利を与えてもらった気持ちかな。でもたとえ作品を描く許可をもらっても、自分の作品がその場所に何か意味のあるものを加えると感じない限りは描かない。路上はひとつの「場所」だからね。




Q: 路上の「作品」に重ね描きされた落書きを消したりしているそうですが、ストリート・アーティストの間には不文律の倫理規範のようなものはあるのでしょうか?

S: 僕は常に自分の作品のメンテナンスをしている。時には、人物の目を描き変えて、違った方向を見ているようにしたりね。そうすることで、作品が生き返ります。ストリートアートは生きている芸術だ。その場所に長く存在するということは、ストリートアート・カルチャーにとって重要な要素であり、進化し続けることが、その存在を常に最新で生きたものにし続けるためには欠かせない。




Q: エルトン・ジョン、クリス・マーティン、タイニー・テンパーなど、多くの有名なミュージシャンがあなたの絵を所有しています。どんな気持ちですか?うれしい、恐ろしい、それとも奇妙な感じ?

S: 刺激を与えてくれたアーティストの人たちにお返しができるのは、本当に光栄なこと。昨年、ある音楽賞の授賞式で僕の作品のコピーを無料で配布したところ、とても嬉しいことに、僕にとってはヒーローのようなアーティスト達が僕の作品を気に入って持って帰ってくれた。有名人の名前を挙げて自慢したくはないけれど、すごい人達が僕の作品を持っている。自分の一部でもある作品を尊敬する人々に贈ることができるのは、素晴らしい気分だ。




Q: ストリートアートは、真の意味で国際的なムーブメントとなっていますが、外国のアーティストと連携したり、外国の場所の理解を得たりすることは困難なことでしょうか?

S: 僕は作品のおかげで世界を旅行することができた。ハックニーは好きだけど、6年間ほど外へ出なかったから、世界へ出て、新鮮な空気を吸えたのはとてもよかったね。ベルリンでは至る所にストリートアートがあった。そこでは「ベルリンの壁」に絵を描いて有名になったあのティエリー・ノワールと会う機会があり、彼がロンドンに来た時には、共同で大作を描いた。秋にはヨルダンで、ストリートアート展のキューレーターを務め、そこでは、多くの若いアーティストに会って刺激を受けた。ストリートアートは国際的で、かつ本当にオープンだ。完璧なフォーラムだと思う。より多くの人々が参加すればするほど、より美しく、より複雑になる。あらゆる意味で自由であり、人々を芸術でつなげることができるものなのです。





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Q: すべてがまだ始まったばかりと感じていらっしゃる印象を受けます。自分の作品や人生についてそう思いますか?

S: まもなくニューヨークで大きな壁画に取り掛かる。春には、日本に1か月滞在して制作活動をする予定です。とてもエキサイティングで、2,3年前の自分の境遇からは百万マイルもかけ離れた気がするけれど、まだ夜が明けたわけではない。これまでにたくさんの人々が僕を助けてくれた。特に親しい芸術家の友人シェイラは、僕がホームレスだった時に出会ったけれど、医療を受けながら(ホームレスの人たちが住む)ホステルにいた時でさえ、対等に、同じプロフェッショナルとして認め、扱ってくれた。彼女は、たとえ最も困難な時でさえ、僕には人に与えるものがあるということを気づかせてくれた。

(ビッグイシューUK/2013年年3月11日~17日号掲載)




【The Big Issue UK×Stik コラボレーションプロジェクト】
ロンドンの路上でホームレスをしていた頃に出会った多くの友人を支えてきたビッグイシューを応援したいという長年の願いを実現するために、ストリート・アーティストのスティックが、限定印刷のポスターを寄付したプロジェクト。
ポスターは、青、赤、黄、オレンジの4色でランダムに雑誌に折り込まれています。
4色集めるために複数買う人や、Stikがサインしたポスターが混じっているをの捜し求める人がいたそうです。

*日本でも10周年記念の2013年9月15日号で同様のコラボレーションを実施。4色のオリジナルポスターのうち1色が折り込まれています。





(Photo by 横関一浩)


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新顔の覆面ストリート・アーティスト「Stik」



2年前、ホームレスのストリート・グラフィティアーティストとして、ロンドンのビルのあちこちに、特徴のある細長い線で描かれた奇妙な人物像(棒人間)を描き残し始めたスティック。今や彼は、イギリスのアート界で最も話題のアーティストだ。

多くのギャラリーが彼の展示会を開こうとして大騒ぎをしているし、彼の作品は、エルトン・ジョンやボノ、ブライアン・メイ、タイニー・テンパーなどのスターの自宅に飾られている。

自分の正体を隠すためにアーティスト名「スティック」を名乗る彼は、ボクソールにあるビッグイシューのロンドン事務所を訪れ、なぜビッグイシューの読者のために、新しい作品(ビッグイシュー223号に折り込まれているポスター)を作りたかったのかを説明してくれた。いつも特大のサングラスをかけている彼は、椅子にゆったりと腰かけて、ロンドンの路上で暮らした苦しい年月について話し、また、なぜストリートアートは決して飼いならされることはないと信じるのかを語ってくれた。




Stik一問一答

 

Q: 今や世界中から声のかかる人気アーティストですが、ビッグイシューのために新しい作品を作ることがなぜそんなに大事だったのですか。

S: ビッグイシューは、多くの人々が再び自立できるように手助けしている素晴らしい組織だ。今回のようなプロジェクトをしたいとずっと思っていた。僕を助けてくれたホームレスの友人たち、ゴミ箱から食べ物を探す方法を教えてくれた人や最初にスクワット(空き家屋の不法占拠)をした時に助けてくれた人たち、路上で生き延びるコツを教え、なんらかの安定感を与えてくれた人たちにも恩返しをしたいというのもありました。




Q: あなたの描く「棒人間」は、単純だけど、感情に訴えてくるものがある。何を表したいと思っていますか。

S: 絵は僕の気持ちそのもの。僕の描く大きな人物像は、じわじわと街に広まりつつある。彼らは自分自身の巨大さには気がつかず、恥ずかしそうに壁から街を見つめている。彼らは街に存在する人々を表している。どこにでもいるが、疎外されている人々。この街は残酷だけれど、僕はそれを少し温かい人間味のあるものにしたいと思っている。




Q: アーティスト名の由来は?

S: 僕が棒のような人物を描くから、みんなが僕のことをスティックと呼び始めた。それに僕はちょっと痩せているから。自分自身のことはあまり公にしたくないので、絵を描くときは大きなサングラスをかけています。




Q: あなたは何年もホームレスでしたが、ストリートアートは、あなたがトラブルから抜け出すために必要なはけ口だったですか?

S: 何か音を立てないと、自分を見失ってしまいそうだった。街の騒音に比べればほんの小さな音だっただろうけれど、自分にとっては描くことでアイデンティティを感じることができた。他の人が自分の作品に共感してくれるとは、最近まで夢にも思わなかった。ただ自分の思いを壁に描いていただけ。おかしなことだけれど、絵を保存するには、僕が持ち歩いていたスケッチブックより、壁の方が安全な場所だった。それに、壁は社会と直接つながる接点でもあった。僕が当時とても疎外されていると感じていた社会とのね。





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Q: ホームレスであることは、身体的にはもちろんのこと、精神的にもかなりのダメージを与えますよね?

S: 家は、言ってみれば第2の皮膚のようなもの。外界から身を守ってくれるものだ。それがないと、肉体的にも感情的にもひどく傷つけられる可能性がある。無慈悲に、ただ生き延びているだけのレベルに落ちるまで痛めつけられる。厚い皮膚を身に着けようと努力しても、結局は傷ついてしまう。その状態で前向きに生きることはとても困難です。ホームレスを経験すると、たとえ家の中にいても、いつも路上にいるように感じてしまう。一方で、ホームレスでなくなっても、路上がまるで自分の居間のように感じられる。




Q: それは全く異なった心理状態にいるということ?

S: 今では家があるのに、あの心理状態に戻り、ホームレスのように感じる時がある。ホームレスを体験した人なら、理解できると思う。役所からの手紙や納税申告用紙などが来ると、そうなることが多いね。通常の家庭生活の一端が一時的に理解できなくて対応できない感じ。そのたびに、すべてを失うことがいかに容易いかを、思い出します。




Q: 優れたストリート・アーティストは、身の回りの街の雰囲気に敏感だと思いますか?

S: ほとんどの人は、街をまるで平らな地図であるかのように歩き回る。でも本当に街を知っている人は、街を3次元、「立体」でとらえている。どこからフェンスをすり抜けるかや非常階段を登れるか、はたまた、誰も知らない秘密の場所へと続く塀の間の隙間があるなんてことを知っている。




後編に続く




(Photo by 横関一浩)


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こんにちは、ビッグイシュー・オンライン編集部です。10/1発売の224号から、読みどころをピックアップいたします。続きを読む
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前編を読む




カラシナ

●西洋からし菜

春になると、あちこちの土手や空き地を一面に黄色く染める西洋からし菜。花から、葉、茎、種になってからも楽しめる万能選手だ。大海さんは花が終わって背が伸び黄色く枯れた西洋からし菜についたさやから種を取り出し、自家製マスタードまで作る。葉はふつうにゆでて、栄養豊富なおひたしに。また、生の葉に熱湯をかけ、しばらく置くとわさび菜のようにピリピリとした辛味のあるおひたしになる。

【西洋からし菜の花の春サラダ】
〈材料〉西洋からし菜の花、レタス、キュウリ、ウド

1. レタス、キュウリの薄切り、酢水にさらした薄切りのウドを混ぜ合わせ、西洋からし菜の花を前面に散らす。
2. 食べるときに中華ドレッシングをかける。菜の花畑のようなかわいくおいしいサラダ。  




晩春編—桑の実と葉、すべりひゆ、ニセアカシア



新緑のころになると、道草風景も変わる。




クワ

●桑の実と葉

「意外と気づいていない人が多いけれど、桑はあちこちにあります。養蚕業が盛んだったころの桑畑をそのままにしているところとか。実が熟す5月半ばから6月上旬ごろが採りごろ。夜の間に落ちることが多いので、桑の木を見つけておいて朝イチで拾いに行くのがおすすめです。桑の実は甘く、ケーキやタルトなどのお菓子の材料にピッタリ。砂糖を入れて煮詰めて桑の実のジャムにしてもいいですね」

実際に桑の実ジャムを頂いたが、桑の実の香りと天然の甘さが出ていて美味だった。さらに桑の葉はお茶としても人気が高い。

「桑の葉を干して乾かし、適量をお湯に入れるだけでいい。誰にでもできます。外で干せなければ換気扇の下で十分ですよ」





ツルベヒユ

●すべりひゆ
これもどこにでもある道草。ヨーロッパでは食用として普通に食べられているという。

「繁殖力が強く、道端の雑草の中によく生えています。少しぬめりがあって肉厚で味がよく、和洋中どんな味つけでもいけます。道草は摘んだらすぐ食べないと堅くなってしまうものが多いんですが、これは固くなりにくいので便利。山形では『ひょう』と言い、昔から日常的に食べられていました。上杉藩の時代は干して非常食として保存しました。これは『干しひょう』と呼ばれ、今でも一部の地域に残っています。また、一般家庭ではゆでてからし醤油、かつおぶしで食べるのが人気です」






●ニセアカシア

蜂蜜を採るため持ち込まれ、日本全土に広がったニセアカシアの木。花はアカシアの蜂蜜と同じ味がする。在来種をつぶす害木とされ、いまではさかんに切られているので、安心して花を摘める。花を天ぷらにすると、香りの甘さがまるでスイーツのようだ。




雑踏の中の雑草、都会で生きる現代人のよう



道草料理をいくつか紹介していただいたが、一番感じたのは、素材の味が濃密で香り高いこと。味と香りで季節を感じることができるところも道草の魅力だろう。

今の時代、栽培法の発達や輸入のおかげで、季節にかかわらず、あらゆる野菜を手に入れることができる。一方、旬を待つ喜びや旬が去ってしまう寂しさを感じる機会も減ってしまった。

「人間には体内時計があるというけれど、時計の針に追われ、それを無視するとバランスが狂ってしまいます。それと同じように私たちには季節時計もあると思う。外に出て季節の空気に触れたり、旬の野菜を食べたりすることで季節時計をキープするんでしょうけど、現代人はそれが難しい。そんな時、家のまわりを散歩して道草を摘み、それを食べることはバランスを保つ意味でもとてもいいと思います」

道草は「季節時計」を調整し、人間本来のあるべき姿を思い出させてくれるものなのかもしれない。

「都会の雑踏の中で頑張ってる雑草って、都会でもまれながら必死に生きてる現代人みたいで、何だかとってもいとおしく感じるんです。通勤途中の車窓から、買い物途中の道端で—目を凝らしていれば道草はきっとある。出会いは突然訪れるものなんですよ」

(飯島裕子)
Photo:浅野カズヤ
写真提供:大海秀典




大海勝子(だいかい・かつこ)
1951年、さいたま市生まれ。料理研究家。著書に『道草料理入門—野山は自然の菜園だ』文化出版局、『積みたてハーブレシピ』、『四季を楽しむ週末スローライフ』、共著に『きのこの見分け方』(いずれも講談社)がある。


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(2008年4月15日発売、THE BIG ISSUE JAPAN 93号より)





大海勝子さんの春の「道草料理」入門



野草や山菜採りなどの自然遊びを始めて30年という、大海勝子さん。季節の光につつまれ風に吹かれて自然の中で「道草」を摘む喜びと楽しさを聞いた。そして、大海さん直伝の「道草料理」を紹介。








プロフィール





家のそばにあった。山にしかないと思い込んでいた野草



春は身近にある草木を最も意識しやすい季節ではないだろうか? 枯れ果てていた大地に草が芽吹き、花が咲き、木々が青々と茂っていく。その姿に春の訪れを知り、生命のエネルギーを感じる。それは都会でも同じ。ちょっと意識するだけで、私たちの身近にはたくさんの野草(道草)があることに気づく。

そんな身近にある道草を摘み、おいしく食べる方法を紹介しているのが、料理研究家の大海勝子さん。大海さんを訪ねると、桜のお茶で歓迎してくれた。

「おめでたい席で出される桜茶は塩漬けするんですけど、今回は砂糖漬けにしてみました」

ほのかな甘みと桜の香りが鼻腔に広がり、桜色の美しさに心が和らぐ。




大海さんは道草のほか、きのこの見分け方やハーブを使ったレシピ本を出版するなど、身近な植物のプロだ。今も毎週末、家の近所や郊外の山へ出かけては自然に親しむ生活を続けている。ところが昔はアウトドアが好きではなかったのだという。

「私は街っ子だったので、道草のことなどまったく知りませんでしたし、興味もありませんでした。でも夫が田舎育ちのアウトドア派で、休みといえば子どもを連れてテント担いで出かけていく。私はテントじゃなくて旅館に泊まってのんびりがよかったけど、お金もないし、子どもも小さいからしかたないかと……」




最初はしぶしぶついて行ったアウトドアだったが、大海さんは次第に自然にある野草やきのこ、ハーブ、木の実などに魅せられていく。

「自然の中には、なんて香りよく、おいしく、素晴らしいものがあるのか。知れば知るほどおもしろくなっていったんです。例えばよもぎなら、昔から知られているよもぎ餅から始め、今度はそれを雑炊に入れて、というふうに展開していきました。自分で探し出して摘んだという実感とともにいただく喜びは何ものにも換えがたいものなんですよ」




こうして植物に詳しくなっていった大海さんは、山にしかないと思い込んでいた野草が家のそばにもあることに気づく。大海さんが住んでいるのは、東京都東久留米市。市内には川が流れ、自然も多少残っているが郊外というほどでもない。都心から電車で20分ほどのごく普通の住宅街だ。

「東久留米に限らず、例えば、荒川とか、日比谷公園とか、至るところに道草はあります。遠くに行かなくても、自宅の近所で目を凝らしていればいいんですよ」
 そこで早速、道草の見分け方とおいしい食べ方について、教えてもらうことにした。




入門編—のびる、つくし




まずは誰でも目にしたことがある道草から。野草料理と聞くと、おひたしやてんぷらが定番だと思っていた。おばあちゃんの知恵料理、さっぱりしていて身体にいいけどパンチにかけるといったイメージがあったのだが、大海さんは韓国料理やイタリアンなどにも道草を各国料理へ展開させている。







のびる


●のびる

これも公園の片隅など、どこにもある道草の一つ。上に向かって細く伸びている(名前どおり!)ので見つけやすい。

「ねぎやあさつきの仲間と思ってもらえればいい。特に韓国では人気の野草で、ナムルやキムチ、チヂミ、卵焼きなどにして普通に食べられています」

【のびるのチヂミ】
〈材料〉のびるの葉、小麦粉、卵、水、塩少々、炒め油
㈰のびるは1.5センチの長さに切る。小麦粉、卵、水、塩少々で濃いめの天ぷら衣ぐらいの生地を作り、のびるを混ぜる。
㈪フライパンに油をしき、5〜6センチに丸く生地を流し、焦がさないように返しながら両面を焼く。好みでイカなどを入れても。






ツクシ

●つくし

つくしは昔からおひたしなどにして食べられていた定番道草の一つだろう。

「かすかな苦味と見た目のかわいさが特徴。味は淡白で、歯ざわりを楽しみます。定番パスタにさっとゆでたつくしを加えるだけでぐっと春っぽい味になります。パンケーキに入れるのもおすすめ」




春のおすすめ編—はるじおん、西洋からし菜



どこでも見かけるが、驚くほどおいしい道草。







ハルジオン



●はるじおん

空き地や草むらなど、至るところで見かける、はるじおん。「ビンボー草」と呼んで嫌っている人も多いのでは?

「私もそうでした(笑)。まさかこれが食べられるのかと半信半疑でしたが、ゆでると春菊によく似た香りとほろ苦さが出て驚くほど美味しいんです。てんぷらにしてもいいけど、練りゴマやマヨネーズなどを使ってこっくりした味つけにするのがおすすめです」

【はるじおんのゴママヨネーズあえ】
〈材料〉はるじおんの花芽、スリゴマ、マヨネーズ
㈰はるじおんは開花していない蕾で、手でつめる柔らかな部分を使う。
㈪さっと湯がいて水にさらした後、すりゴマを入れたマヨネーズであえる。

※はるじおんは秋にも咲くが、春のもののほうが甘くておいしい。





後編に続く


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(ビッグイシュー・オンラインは、社会変革を志す個人・組織が運営するイベントや、各種募集の告知をお手伝いしております。内容については主催者様にお問い合わせください。)







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【シンポジウム】

     「それでもボクはやってしまう・・・」
   ~犯罪連鎖を断ち切る社会復帰支援のあり方~

11月23日(土)午後2時~4時
@国立オリンピック記念青少年総合センター
主催:NPO法人監獄人権センター
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 生活に困って万引などで逮捕された高齢者や知的障がい者を、福祉の支援につなぎ、立ち直りを図る試みが続けられ、犯罪者の社会復帰をめぐる討論が活発化しています。

日本の刑務所の一部では、2005年の監獄法改正以降、薬物犯罪からの立ち直りのための自助グループのプログラムを取り入れたり、刑務所の中で盲導犬を訓練するプログラムなど、これまでなかったような処遇が行われるようになりました。

また、障がいを持つ人の処遇を刑務所ではなく福祉施設で担おうとするトレンドが始まっています。東京地検では社会復帰支援室が設けられ、社会福祉士が働くようになりました。犯罪を犯した人が再び罪を犯すことなく社会に復帰し、地域社会に貢献することは、社会全体に利益をもたらすことです。

しかし、この様な進んだ処遇は、初犯で模範的とされるような人に限られ、累犯受刑者や満期釈放になるような受刑者はなかなか対象となりません。全体として犯罪を減らしていくためには、社会復帰がより困難な人にこそ手を差し伸べる政策が求められているのではないでしょうか。援助を受けられず、犯罪を繰り返すなら、必要なのは刑罰ではなく社会で生きて行くための支援なのです。

今回のセミナーでは、受刑者の更生支援、社会福祉に取組まれているパネリストをお迎えし、どうしても犯罪を繰り返してしまう受刑者に、どのような処遇と支援が有効なのかに焦点を当てて考えてみたいと思います。

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■日 時:2013年11月23日(土)14時~16時(開場:13:30)

■場 所:国立オリンピック記念青少年総合センター
     国際交流棟2階第1ミーティングルーム
     アクセス→ http://bit.ly/4mR6wU
■参加費:1000円(会員、学生/25歳以下:500円)
※事前申込制
      お申込みはこちら→http://bit.ly/1871T2e
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■内容
 ●パネルディスカッション
 「犯罪連鎖を断ち切る社会復帰支援のあり方」

 ○岡本茂樹さん(立命館大学産業社会学部教授)
 ○松友了さん
  (一般社団法人社会支援ネット・早稲田すぱいく 社会福祉士)
 ○海渡雄一(進行役/監獄人権センター代表)

■出演者プロフィール

○岡本茂樹さん
立命館大学産業社会学部教授。
著書『反省させると犯罪者になります』(新潮新書、2013年)日本ロールレタリング学会理事長。中高の英語教員を務めた後、武庫川女子大学大学院臨床教育学研究科博士課程修了。臨床教育学博士。熊本刑務所篤志面接委員(2006年3月~)、京都刑務所篤志面接委員(2009年4月~)。日本矯正教育学会、日本司法福祉学会等に所属。

○松友了さん
社会福祉士/保護司。公益社団法人 東京社会福祉士会・理事/司法福祉副委員長。関西福祉大学・客員教授(司法福祉論)、早稲田大学・非常勤講師(権利擁護と成年後見制度)。一般社団法人 社会支援ネット●早稲田すぱいく・理事。2013年1月より東京地方検察庁・社会福祉アドバイザー。日本司法福祉学会、日本犯罪社会学会等に所属。

■お申込み
ご参加をご希望の方は、下記「主催・お問合せ」まで、
1)氏名、2)お住まいの都道府県、3)年齢(学生/25歳以下の方のみ)
をご連絡下さい。

お申込みはWEBからも可能です→http://bit.ly/1871T2e

■主催・お問合せ:NPO法人監獄人権センター
 e-mail:cpr@cpr.jca.apc.org
 Tel&Fax: 03-5379-5055
 WEB:http://www.cpr.jca.apc.org

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119人生相談




友人がドタキャンするので困っています



私の友人がすぐにドタキャンをするので困っています。今まで何度も、遊びに行く約束を直前で断られています。その理由も「仕事でトラブルが」とか、「病院に行くので」とか、ちょっと嘘くさいです。ドタキャンする人の心理って、どうなっているのでしょうか。今後あまりつき合わない方がいいですか?
(女性/22歳)


僕の場合はあんまりドタキャンをしたりされたりということがないですね。遅くとも10分前には待ち合わせ場所に行くなぁ。ただ、相手がちゃんと時間を守ってくれなくて、1、2時間待つことは何度かあったかな。

今、販売をしていても思うんだけど、やっぱり人を待つことは時間が経つにつれて、「今日、来てくれるかな?」って心配だったり不安だったりする。だからどんなに遅くなっても、来てくれたらそれでいいって思ってますね。遅れた理由も聞かない。聞くことで相手が嫌な気持ちになるのもつまらないことだし、わざわざ来てくれたっていうのがうれしいから。

でもこの人の場合は、待ち合わせ場所にすら来ないわけでしょう。こういう人の心理っていうのは想像だけど、「めんどうくさい」「どうでもいい」っていうのが第一にあると思う。自分のことだけで、その人の気持ちっていうのは多分、あんまり考えてないんじゃない? 考えてたら確実に来るでしょう。「仕事でトラブルが」って言うけど、多分この人はこの性格のせいで実際にトラブル続きと違いますかね(笑)。

相談者さんにまだこの人とつき合っていく気持ちが残っているなら、一度思い切って、本人に聞いてみたらどうかな。「どういうつもりなん? 私とつき合っていく気はあるの?」って。

もしかしたら本当に急なことが続いて来られなかった可能性もある。これからなるべくドタキャンしないって言ってくれたら、もう一度信用したらいいし、逆に自分に対してあまり好意が感じられなかったら、無理してつき合う必要はないわけだから。そうなったらこの人をあきらめて、他に信頼できる友達をつくった方がいい。

ドタキャンする人の気持ちがよくわからない。すごく不思議だな。だって僕なんかは誰かと会って遊ぶっていう前日は、小学校の遠足みたいにドキドキウキウキ、楽しみにしてるからね。結局、人と会うのがすごく好きなんだなって思いますね。

(大阪/Mさん)





(THE BIG ISSUE JAPAN 第119号より)







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