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外界を完全遮断して、映画の世界に浸るマイ・シネマ!




日々の繁忙に追いたくられ、ちょっと人間関係にも疲れた時、「あーひとりになりたい!」って思いませんか?  そんな時って、意外と知識欲は旺盛。頭ん中は水を吸収するスポンジみたいに、普段の日常とは違う世界を欲してる。

だからこそ、外界との接点を完全に遮断して自宅でマイ・シネマ!

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寒いほど、暗いほど、人は寄り添いたくなる?
映画の中で寄り添う人々の冬ごもり。


『僕たちのアナ・バナナ』(エドワード・ノートン監督/2000年)
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Genpatsu

(2012年10月15日発売、THE BIG ISSUE JAPAN 201号より)




自然エネルギーへ、未来のCO2削減策を



連続する猛暑日と記録的な残暑、そしていきなり仲秋がやってきた。天候の変化の激しさは地球があったまっている証拠だろう。地球温暖化は温室効果ガスの人為的な排出増が原因とする説が有力だ。人口が少ない大昔なら、新天地に大移動できたろうが、現在では不可能と言える。私たちにできることは排出量を減らすことくらいだ。

温室効果ガスの中で影響が大きいのは二酸化炭素(CO2)だ。中でも発電部門からの排出量が、大きな割合を占めている。電気事業連合会の発表によれば、電力10社の2011年度のCO2排出量は昨年度より29パーセントも増加した。その量は4億3900万トンで過去最高の排出量となった。公表されている日本全体のCO2排出量は10年度の値が最新で、およそ12億5800万トンとなっている。

大幅な増加の原因は福島原発事故だ。原発が順次止まっていき、その分火力発電所を使ってきたからだ。新しい原子力規制委員会が設置されて、福島原発事故を踏まえた新しい基準作りが始まろうとしている。これを踏まえた安全確認になお時間がかかり、全国の原発の停止状態がまだまだ続くことは確実だ。大飯原発2基が政治判断で運転されているが、新基準による検査が整わないうちに再び定期検査に入るかもしれない。

政府はこれまでCO2排出量を削減するために原発を活用する政策をとってきた。電力会社はもうかるので消費量を増やそうとする。増える電力消費に対応するために、さらに14基も原発を作ろうとしていた。この電力消費増を前提とする現実的とはいえない計画では、排出量は増えこそすれ、減らすことはできない。福島原発事故は原発によるCO2削減策の危険をいっそう明らかにした。

電力の消費を賢く減らして、自然エネルギーによる発電をいっそう増やしていくことで、本来の意味でのCO2削減が可能となる。温暖化問題に取り組む多くのNGOがこれまで繰り返し主張してきたことだ。しかし電力会社がことごとく反対してきたのだった。自然エネルギーが増えると原発が立ち行かなくなるという理由だ。

今ようやく、こうした歪んだ構造が改められようとしている。ここ数年は排出量が増えるかもしれないが、省エネと再エネを着実に増やしていけば、25パーセント削減という国際公約も可能となる。






伴 英幸(ばん・ひでゆき)

1951年、三重県生まれ。原子力資料情報室共同代表・事務局長。79年のスリーマイル島原発事故をきっかけとして、脱原発の市民運動などにかかわる。89年脱原発法制定運動の事務局を担当し、90年より原子力資料情報室のスタッフとなる。著書『原子力政策大綱批判』(七つ森書館、2006年)









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タイムトラベル、記憶除去の施術、カウントダウン——時間を旅する映画たち



『バック・トゥ・ザ・フューチャー』




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80人生相談





自分に自信が持てない、どうしたら自分を好きになれますか?



今大学生ですが、いつも人と自分を比較してしまいます。「あの子は、あんなにきれいなのに、自分は全然や」とか「あの子のように英語がしゃべられたらなぁ」とか・・・。自分にまったく自信が持てないのですが、どうしたら自分を好きになれますか?
(20歳/大学生/女性)






誰でも自分と誰かを比較することはよくあるよな。それは当たり前だし普通の行為なので、まずそれで悩んだり自信をなくしたりするのはやめてほしい。

この子にはこの子のいいところが必ずあると思うねん。見た目がきれいとか英語がしゃべられるとか、極端に言うたら、それぞれの得意分野がそうなだけやん。それと比較したところでやっぱり自分は自分やろ? 

そんなことを求めるよりも、例えば字がきれいであるとかマナーを守るとか、「他の人よりも私の方が○○のセンスええで!」とか、自分が自信をもてる何かを探したり自分の中にあるものを引き出せるように努力したほうが、きっと幸せになれると思うねんな。

俺も自信はないねんけどあるフリはしとる。俺自身がホームレスということについて後悔もしていないし、そういうことがあったから今があると思ってる。まずは自信が持てなくても持つフリだけでもいいから、「私はこんなん」って前面に出していけば、まわりもわかってくれる。

具体的には、まずは自分の嫌な部分を好きになることから始めてみたらええよ。もしかしたら自分の一番嫌な部分は、自分の一番好きなところかもしれん。その可能性ってあるやろ? 自分が思っとるより周りは好意的にとってくれてるとこあるやん。

例えば俺やったら口下手で、自分の言うことを相手に伝えるのが苦手。だけどその口下手がええっていう人もいてくれるねんで。コンプレックス=悪いことではないわけやから。案外そこが特徴になったりポイントになったりするかも。

だから一度自分自身を整理してみて一番嫌なところから好きになる。そしたら他の小さなことは自然に受け入れられるようになるし、それが自信に変わるやん。自信のある人いうんは自分に対して強い人なんやと思う。自分の悪いところも全部ふくめて、自分を好きになってはじめて強くなれるんちゃうかな。


俺もこういうふうに悩みたいなあ。もうそういう歳ではないから、ある意味うらやましいわ。この子には俺の倍以上の可能性があるわけやん。もうそれだけでもうらやましい。
一度俺と入れ替わってみる? 

(K/大阪)




(THE BIG ISSUE JAPAN 80号より)










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思い出という贈物——記憶の襞にとどまる文学





ここに、『わすれられないおくりもの』(スーザン・バーレイ、評論社)という1冊の絵本がある。

物知りで、いつもみんなから頼りにされている年老いたアナグマがこの世を去った後、残された森の仲間たちが悲しみを乗りこえていく姿を描いたものだ。モグラは1枚の紙から手をつないだモグラを切り抜く方法を、カエルはスケートを、ウサギの奥さんはしょうがパンの焼き方をアナグマから習い、それぞれの道を究めている。

突然の別れに混乱していた彼らは、互いに思い出を語り合うことで「アナグマが残してくれたもののゆたかさ」に気づき、しだいに悲しみは消えていく。

死者が残してくれた思い出が、残酷な試練からかけがえのない財産へと変わるまでを描いた示唆に富む本だ。






200万部を超えるベストセラーとなった『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』(リリー・フランキー、扶桑社)は、失う対象が母親だけに張り裂けそうな魂の痛みがひりひりと伝わってくる。

還暦を過ぎてガンに冒された九州のオカンを東京に呼び寄せた「ボク」は、束の間の楽しい時間を過ごす。最期のときを迎え、オカンの亡骸にキスをして蒲団をともにし、焼いたばかりの骨を口の中でボリボリと噛んでいたボクが、「温かい思い出を握りしめ、埋まることのない思い残しを抱えて」生きていくのだと覚悟する姿に、胸を打たれない人はいないだろう。






同じく、大切な人との別れを描いた作品に『物語が、始まる』(川上弘美、中央公論新社)がある。ゆき子が公園で拾い、家に持ち帰った身長1mの“男の雛型”は尋常でない速度で成長し、多くのことを学んで青年になっていく。やがて接吻を交わす仲になった二人は、束の間の幸せな同棲生活を送る。

そんなある日、雛型の頭に白髪を認め、彼が老いに向かっていることを悟ったゆき子は、1週間の有給休暇を取り、思い出話をしながら介護に励む。その甲斐も虚しく元の大きさに戻り、動かなくなった雛型を1ヶ月後、ゆき子は再び公園に捨て「物語の中のもの」に変えてしまう。自らが「生きながらえる」ために。

自然の摂理に従えば絶対に避けられない愛する人との別れだが、ともにすごした記憶がある限り、その時間は生きている。 

(香月真理子)





(2006年12月15日発売、THE BIG ISSUE JAPAN 第63号 [特集 鮮やかな時間をあなたのものに—時の贈り物]より)


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12月15日発売のビッグイシュー日本版205号のご紹介です。



スペシャルインタビュー 奈良美智さん


故郷の青森県立美術館と十和田市現代美術館で新作個展を披露している奈良さん。ビッグイシューには6年ぶりのご登場です。新作に新たな進化を奈良さんが創作の苦悩と新作への思い、そして震災後の変化を語ります。



リレーインタビュー アーティスト「Chim↑Pom」エリイさん


カラスが「仲間を呼ぶ声」を利用し、東京の名所上空にカラスを呼び集めるなど、ゲリラ的なアート活動で知られる芸術家集団「Chim↑Pom(チンポム)」。メンバーの一人であるエリイさんが、自身の分岐点、仲間との作品づくりについて語ります。



国際記事 スコットランド、刑務所でコメディ上演


スコットランド最大のバーリニー刑務所に、ある夜出現したコメディクラブ。一流のスタンダップコメディアンたちが、きわどくて痛快なネタを披露しました。抑うつなど、心の問題を抱える受刑者への効果が期待されています。



特集 ファーストピープルの贈りもの


人間は自然の一部にすぎない。そのことをよく知るのは、ファースト・ピープル(先住民)の人たちです。先祖代々の地で生き抜いてきた彼らの哲学はシンプルで美しく、示唆に富んでいます。それに比べ、移動と拡散、変化を求めてきた私たちの生活は根なし草的。行きづまりを感じる社会。今、ファーストピープルの人たちに、彼らの自然と人生について聞いてみました。
まず、千葉県君津に「カムイミンタラ(神々の遊ぶ庭)」という先住民の仲間や、地域の人々の交流の場をつくっているアイヌのエカシ(長老)、浦川治造さんを訪ねました。
また、長年マレーシア・ボルネオ島先住民の人々と交流を続ける樫田秀樹さんと、カナダ・クリンギット先住民のお連れ合いと暮らすKirby Midoriさんからは、エッセイが届きました。来日中のグアテマラ先住民、アリシア・ラミレスさんと台湾原住民ディヴァン・スクルマンさんにはインタビュー。
ファーストピープルの自然や人生、生き方を知り、私たちの今と未来を考えたい。



この他にも、「ホームレス人生相談」やオンラインでは掲載していない各種連載などもりだくさんです。詳しくはこちらのページをごらんください。

最新号は、ぜひお近くの販売者からお求めください。
販売場所検索はこちらです。

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不意打ちでよみがえる時間--音楽は記憶というアルバムの目次



ふとワンフレーズを耳にしただけで、瞬時に心の中で時間が巻き戻されるのが音楽のすごいところだ。いわば、記憶というアルバムの目次になるようなもの。

音楽の力で記憶をたぐるなら、「不意打ち」でなければ意味がない。ラジオを聞いていると、何の前触れもなく思い出の曲が流れてきて、自分の思い出の1ページを突然に開かれる、ということがある。長いこと閉じたままだった引き出しを開けた時のように、忘れかけていた記憶が次々に溢れてきて、悲しい曲でないのに涙が流れたりもする。

そうやって、人々の記憶の断片と交錯する音楽を選び、流すのが、僕のしているDJという仕事である。音楽そのものの与える感動とは別に、「不意打ち」で聞かされることによって蘇る記憶が、人の感情を大きく揺り動かすことがある。それがDJという行為の魅力の一つだと僕は考える。DJは人の記憶を刺激し、時としてリスナーの心の時間をつかさどることさえできるのだ。




僕がDJという道に進むきっかけとなったのは、大学時代、ひょんなことから加入したDJ研究会というサークルだった。構成員は全学年を合わせても20人足らず。どこか垢抜けない学生ばかりの集まった地味な団体だった。

しかし、このサークルのメンバーたちの、音楽に対する知識の深さと情熱には目を見張るものがあった。高校時代まで非常に偏った音楽知識しかなかった僕は、サークル仲間からいろんなレコードやCDを借りては、彼らの知識に追いつくためにひたすら音楽を聞きまくった。だから、サークルの仲間との思い出は、取りも直さず一緒に聞いた音楽の思い出だった。




このサークルでは毎年、学園祭の最終日に、3年生の引退の儀式が行われることになっていた。引退する3年生が一人ずつDJブースに入り、最後のDJを披露するのだ。同期の仲間のほか、この日のために集まったOBや後輩たち一人ひとりに、DJが1曲ずつ、曲を贈るというのがその儀式だった。

それぞれの仲間との思い出の中で流れていた、たくさんの音楽。その中の1曲を選んで、「この曲は、○○に贈ります」と紹介し、その仲間との追想やメッセージを語る。普段は面と向かって言えないような照れくさい気持ちも、DJというシチュエーションだと素直に言えるから不思議だ。




流す曲はほとんどの場合がバラードだった。名曲とされる有名なバラードは、この時のために、普段のDJではやすやすとかけるべからずという、サークル内の暗黙のルールさえあった。

聞いている側は大抵の場合、イントロが流れた瞬間に、それが自分に贈られている曲だということには気づく。DJをしているその仲間と自分が過ごした日々の記憶が、瞬時に蘇る。もうそれだけで、泣いてしまう。音楽の力ってすごいよなと思うと同時に、DJという仕事のおもしろさを実感した。




自分の好きな曲は、他の誰かにとっても大切な存在であるはずだ。それを選曲することで、聞いているたくさんの人の懐旧を演出して、一緒に感動したい。プロのDJになりたいという思いが最大限に強くなったのは、学園祭で最後のDJをしたあの時だった。

つくられた思い出の数だけ、心の中には音楽という目次が並んでいくだろう。お気に入りのCDを聞くのもいいけれど、たまにはラジオをつけてみてほしい。

そこにはきっと「不意打ち」が待っている。あなたが忘れかけていた記憶の断片を呼び起こして、思いもよらぬ感動を与えてくれるかもしれない。






浅井 博章(あさい・ひろあき)
1972年生まれ。ラジオDJ。担当番組<FM802>SUPERFINE SUNDAY(日曜朝)、REDNIQS(月曜深夜)。<NACK5>V-ROCK INDEX(平日夜)、BEAT SHUFFLE(金曜夜)。本誌バックビート「毎日が音楽」を連載中。
http://www.roxite.jp/





(2006年12月15日発売、THE BIG ISSUE JAPAN 第63号 [特集 鮮やかな時間をあなたのものに—時の贈り物]より)


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79人生相談





小学生の子供が嘘をつくようになりました




小学生になる子供がいるのですが、その子が最近嘘をつくようになりました。今まではそんなことはなく、何でも話してくれる素直な子だったので、ショックです。今は、その嘘に気づかないフリをしていますが、これからどう接していったらいいでしょうか?
(41歳/主婦)






今まで嘘をつかなかったのに急に嘘をつく。どうしてやろうね、ただ叱られるのが怖いからかな。どういった状況での、どういった種類の嘘なのかお便りには何も書いていないので、私もなんとも言えないのですが、お母さんがそれを見て見ぬフリをするのはあきません。その嘘に気がついたら必ず面と向かって立ち向かっていかなあかんわ。なんか理由があるはずなんやけど、お母さんはわかりませんか?

昔から嘘は方便ってよく言いますけれど、ついていい嘘と悪い嘘がある。犯罪につながるような悪い嘘もあります。気がつかないふりをしたり小さなものを許すと、お子さんはこれからもずーっと周りを嘘で塗り固めて、中学・高校で少しずつ大きくふくらんで、しまいには悪事に走る可能性だってあると思う。ここで癖にならないようにちゃんと「嘘はだめ」と叱ってあげないといけないと思いますわ。

お便りを読んでいて、お母さん自身のことも心配です。もしかして普段から、お子さんにたいして神経質になりすぎと違いますか。お母さん自身がちょっと神経質になりすぎて、子供が微妙にそれを感じ取って嘘をつくのかもわからない。もっとおおらかに子供をのびのび育てるのがいいと思います。

そう言うのも、私は子供の時にほとんど嘘をついたことがなかったから。昔から正直者で通ってた。

ホームレス状態になってしまっても、性格はひねくれずに素直な気持ちのままだと自分では思っている。それはなぜかと考えたら、親にあまり干渉されずにのんびりゆっくり育ったので、それが良かったのかもわかりません。

でもおもしろい嘘はつくで? 自分自身がおもしろがりだから、冗談で人を笑わす嘘は好きです。エイプリルフールで、起きてもない出来事を言って人を驚かしたりよくするわ。今だって「今日は半日でビッグイシューが何百冊も売れたわ」とか言うてみたいもんやけど・・・。人を笑かしたり楽しくさせるいい嘘はあってもいいと思うねん。

お母さんもこれからは笑いながらのびのびとおおらかに。お母さん自身にもお子さんにも、あまり神経質になりすぎたらあきませんよ。

(T/大阪)


(THE BIG ISSUE JAPAN 79号より)










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