(2012年11月1日発売、THE BIG ISSUE JAPAN 第202号より)





『福島と生きる 国際NGOと市民運動の新たな挑戦』








震災直後、宮城県や岩手県には多数の国内・国際NGO/NPOが次々と支援に入ったが、福島県では出遅れた。

放射性物質による汚染のほかに、福島ではNGO/NPOの活動基盤や、外部から支援を受け入れるための受け皿となる中間支援組織が脆弱で、それが支援活動の遅れになった可能性が指摘されている。

本書は、こうした福島の問題を乗り越えようとする市民とNGOの格闘の軌跡と、「未来」や「福島」への視座を特集している。放射能汚染は測定器がなければ不可視的であり、よって実害も不可視化されやすい。

対立と分断を越えて、今の問題をどうとらえ、発信し、広く連携していくか、その実践とヒントがつづられた。

「福島の状況を世界に発信する際の鍵は、福島で起きていることを世界的な課題(グローバル・イシュー)として位置づけるところ」(竹内俊之・国際協力NGOセンター震災タスクフォース福島事務所長)。

福島の問題がいかに普遍的かを理解できる一冊。 

(藍原寛子)


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5月15日発売のビッグイシュー日本版215号のご紹介です。



スペシャル・インタビュー ジョン・ボン・ジョヴィ


バンド結成30周年の節目に、通算12枚目のアルバム『What About Now』をリリースしたボン・ジョヴィ。「ソングライターである前に、一人の闘う男でありたい」と言います。走り続けるボン・ジョヴィが、曲づくりや家族、政治、そして情熱を注ぐコミュニティ支援活動についても話してくれました。



特集 無限?! ネイチャー・テクノロジー ― 自然に学ぶ、生きのびる技術


地球生命の誕生から38億年。自然界の生き物は試行錯誤や淘汰を繰り返し、最小のエネルギーで駆動できるしくみや、完璧に循環するつながりのシステムなどをつくりあげてきました。
2030年、生物多様性の劣化、エネルギー・資源の枯渇などすべてのリスクがピークを迎えるといわれています。自然に学び、生きることを楽しみながら人類の危機を乗り切る技術、「ネイチャー・テクノロジー」を研究している石田秀輝さん(東北大学大学院教授)に、自然のすごさを新しい物づくりと暮らしに活かすことについてお聞きしました。
また、ヤモリの足にアイディアを得た中山喜萬さん(大阪大学名誉教授)の「ヤモリ・テープ」や槌谷和義さん(東海大学准教授)の「蚊にヒントを得た痛くない注射針」の開発研究について取材。
さらに、塚本康浩さん(京都府立大学大学院教授)には、ダチョウの生命力に注目、アトピーや花粉症に効き、将来的には子宮頸がんやHIVへの応用化も目指す「抗体」の研究についてお聞きしました。



リレーインタビュー 神野三鈴さん


舞台を中心に活躍を続ける、女優の神野三鈴さん。母親と老いた猫の介護を続け、ボロボロの身体を引きずるように稽古場へ通う……。そんな日々を過ごすなか、「自分の選択に誇りをもとう」と心に決めたことが、自身にとって大きな変化だったと語ります。



クリエーターの視点 下道基行さん


数十年の時を経た戦争遺跡や、暮らしの中で必要とされる橋――。下道さんは、目の前の風景を写真で記録し、時間の流れや人々の生活を浮かび上がらせます。現在、中学生と共に進めている、「14歳と世界と境」という活動についてお聞きしました。



この他にも、「ホームレス人生相談」やオンラインでは掲載していない各種連載などもりだくさんです。詳しくはこちらのページをごらんください。

最新号は、ぜひお近くの販売者からお求めください。
販売場所検索はこちらです。

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(2011年6月15日発売、THE BIG ISSUE JAPAN 第169号より)




Sekaitanshin logo2012




アルゼンチン 軍政期の「乳児誘拐」を裁く



1976年〜83年の軍事政権下、軍が「反体制分子」を秘密裏に監禁していた「収容所」で生まれた赤ん坊ら、500人近い乳児は、親から引き離され、養子に出されたり、売られたり、捨てられたりした。

この「軍政による組織的な乳児誘拐」の裁判が、4月に始まった。34件が審議され、300人を超える証人が出廷する。     

「私は32年間、偽りの人生を送ってきた」。

フランシスコ・マダリアガは、軍諜報部員の「両親」のもとで、別人として暮らしてきた。8歳頃から始まった「父親」による暴力と、出生年が軍政期で出生地が「収容所」のあった地域だと知ったことをきっかけに、自分の出生に疑いを抱いた。

その後、軍政下で行方不明になった孫や曾孫を探す女性たちの組織の支援で、真実を突き止めた。「両親」は今回法廷で裁かれる。

実母は「収容所」で死亡したが、亡命し生き延びた実父とは、昨年再会を果たした。「それは人生最高の瞬間だった」と話す。

長い時を経て、自らと祖国の歴史の真実を求める闘いが始まった。

(工藤律子/参照:BBC Mundo, El Universal)
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109人生相談





職場の派閥にどう対処すべきか…



転勤先の新しい職場は、自分以外は女性ばかりで険悪なムード。キャリアのあるAグループは前例にこだわり、若手のBグループは責任感が薄く、二派に分裂しています。業務を円滑にまわさないといけない立場として、中に入り込めず手を焼いています。うまくまとめる策はありますか?

(男性/会社員/29歳)






新しい職場で、男性1人とは、気苦労がたえないですね。

僕も20代後半の頃、新しい仕事を紹介されて、知らない土地に引っ越しをしたことがある。でも、心を病んでしまった。現場には暗黙のルールがあるのに教えてくれず、派遣された会社ごとにグループもあって、誰にどう聞いていいのかわからなくってね。

もともと僕は内気で、言葉が喉まで出かかっていても声をかけるタイミングをつかむのが苦手。それに借金の問題もあって、だんだん頭の中が不安でいっぱいになってきた。

ひとりぼっちで考え込むうちに、被害妄想みたいになって、誰かが話している姿を見ると、悪口を言っているんじゃないかと、つっかかってけんかになっちゃって。恥をかき続けるのはゴメンだから、去るしかなかった。




ところが、今はホームレスであるという恥を、声を張りあげて町中でさらして生きている。かつては敵に見えた人ごみの中には、好意をもってくれている人もいたんです。

治療をしたのもあるけど、声を出すうちに、次の言葉が見つかり、具体的に物事が考えられるようになってきた。




この人には、積極的に声をあげてもらいたい。職場では、年齢差や男女差、いろんなことが絡まって、三者三様、まったく違った見方をしているんでしょう。

この際、格好よくまとめていこうとはせず、恥をかいてみてはどうですか? 

これからは忘年会や新年会など飲みに行く機会も多いし、無礼講もアリ。腹を割って話してみると、案外、想像と違う人かもよ。あとは、他の職場の先輩に相談するとかね。僕はいつも下っ端だったけど、上に立つ人は気持ちが強かった。

この人も、ただしゃべればいいというものではないと思う。「職場をよくしたい」ではなく、「僕は職場をよくしたい」というふうに、「僕」とか「私」とか、主語を使って話すと、意思がより強く伝わり、いずれ仲間になってくれるんじゃないのかな。(東京/Y)




(THE BIG ISSUE JAPAN 第109号より)







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(2011年6月1日発売、THE BIG ISSUE JAPAN 第168号より)




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中国、「俺の親父は李鋼だ」 ひき逃げ犯の言葉が流行語に




昨年10月、河北大学の構内で22歳の青年が酒気帯び運転のあげくに女子学生二人をはね、一人は死亡、一人は重傷という事故を起こした。

二人をはねた後、高スピードで走り去り、何事もなかったかのように女友達を迎えに行ったという。警察に取り押さえられた際、「俺の親父の名は李鋼だ」と言い放ったことが、インターネットを通じて事件を全国に知らしめる結果となった。

ネット上で青年の言葉に非難と嘲笑が集中し、それが瞬く間に流行語となった。

「規則を守れ。君の親は李鋼じゃないんだから」といったバリエーション、さらに同名の歌までつくられ、ネット上で人気を博している。河北大学は目撃者に対して緘口令をしいているので、真相は明らかにされていない。“李鋼”とは地元警察の幹部である。世論に抗しきれず、公の場で謝罪し、辞表を提出したという。

最近、刑期6年の判決がおりた。李家から被害者側に多額の賠償が行われたことなどが考慮され、軽い刑期となった。

(森若裕子/参照:中国青年報、中国経済網、北京晨報)


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(2011年8月1日発売、THE BIG ISSUE JAPAN 第172号より)




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中国、広東省で治安当局への不満爆発、暴動に




広東省で「民工」と呼ばれる出稼ぎ農民による暴動が起きた。きっかけは違法に露店を営んでいた四川省出身の妊婦が、地元の治安当局に身柄を拘束されたことだ。

この事件で、日頃から治安当局に不満をもつ「民工」の怒りが爆発し、警察機関などを襲撃した。当局は警察や軍隊を5000人以上動員し、3日後に事態は鎮静した。

治安当局の要員は、日常的に露天商などに対し「保護費」という名で場所代を請求し、払わないと暴力をふるっていた。妊婦も支払いを拒否したため拘束されたといわれている。

「保護費」の額も「民工」は地元民より多く徴収され、不平等な扱いに対する不満も鬱積していた。

暴動の起きた地域はジーンズ産業で有名だが、工場労働者のほとんどは「民工」だ。地元民は家を貸したり小さな商売を営むだけで十分な収入が得られ、工場で働く必要はないという。

広東省の高官は「社会管理」をテーマにドイツを視察中であり、治安当局の主任は家族と共に姿をくらました。

(森若裕子/参照:亜洲週刊、中国日報)
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(2012年11月15日発売、THE BIG ISSUE JAPAN 第203号より)





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(福島市飯坂町平野の仮設住宅敷地内で演奏する山木屋太鼓のチーム「山猿」(10月22日))





被災地に響く、川俣町の「山木屋太鼓」




被災地の心の響きを共感したい---。東日本大震災に伴う原発事故と放射能の影響で、2011年4月から計画的避難区域に指定された福島県川俣町山木屋地区。同地区の若者や子どもたちを中心にした「山木屋太鼓」が活動を再開、福島県内外で被災者を力づけている。




山木屋太鼓は、高齢化が進む同地区で、地元の人とのつながりを築くことで若者の流出を減らそうと01年に結成。大学生と社会人の「山猿」、高校生と社会人の「朱雀」、そして子どもたちの「鼓狐」「鼓魂」の4チームで活動してきた。しかし、原発事故に伴い、住民が各地に避難。

震災前は約40人いたメンバーも、昨年5月に太鼓を地域外に持ち出してから、最初の練習の日に集まったのはたった2人だった。

ところが、県内外に避難した地域の人や山木屋太鼓のファンから、「山木屋太鼓を聴くと元気になる。また演奏して」「イベントで演奏に来て」などの依頼が寄せられた。

そこで昨年7月以降、練習を再開。現在は仮設住宅での激励演奏や、地域の祭り、音楽祭やパレードへの参加など、力強い太鼓で被災者を元気づけている。




各チームにも震災後、新たな動きが生まれた。チーム「山猿」は山木屋地区の自然をテーマにした従来の曲に加え、震災から学んだ人と人とのつながりをテーマにした新曲「助達」、「灯」を完成させた。

子どもたちも人数が減ってしまったが、「鼓狐」「鼓魂」を合同チーム「鼓龍」に再編成し、活動を再開した。

10月22日の夕方、福島市飯坂町平野の応急仮設住宅で「山猿」の演奏が行われた。力強い太鼓の音に、避難生活を送る住民から大きな拍手がわいた。

双葉町から避難している女性は「双葉町にも地元の太鼓があり、毎年演奏を聴いていた。やっぱり太鼓の音は元気が出ますね」。




事務局の遠藤恵美さんは、「避難して練習に参加できなくなったメンバーが、イベントで演奏する時に観客として駆けつけてくれるのが何よりうれしい。今後も活動を続け、一人でも多くの人を元気づけていきたい」と話している。

震災と原発事故で中断された交流や地域文化の継承のため、今後も力強い演奏を続ける方針だ。
 (文と写真 藍原寛子)


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(2011年6月1日発売、THE BIG ISSUE JAPAN 第168号より)




Sekaitanshin logo2012




ドイツ、機能的非識字者が国内で750万人




このほどハンブルク大学の調査で、ドイツ国内に750万人の機能的非識字者がいることが報告された。機能的非識字者とは、就業能力がある成人でも小学校1〜2年生レベルの読み書きしかできない人を指す。

ベルリン在住のノラさん(23歳)は、両親が教育に無関心で小学校では1年生を二度繰り返した。その後、障害児向けの特殊学校に転校して義務教育を修了したのち、現在はレストランで働いている。

「読み書きができない人たちは、それを他人に知られず日常を生き抜く驚くべき知恵をもっています」とドイツ識字教育連盟のブリンクマン氏は語る。「メガネを忘れた」と言って他人に書類を読んでもらったり、字を書かなければならない場面でわざと指をケガする人もいるという。

前述のノラさんは、4年前から夜間学校で学んでいる。「『読み書きができない』とカミングアウトするのはとても勇気のいることでした。でも、人生に対してもっと積極的になりたいと思ったのです 」と話す。将来は、自分でレストランを経営するのが夢だという。

(見市知/参照:Berliner Zeitung)
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(2012年10月15日発売、THE BIG ISSUE JAPAN 第201号より)




ふくしまNGO協働スペース
(福島駅前のビル3階にオープンしたふくしまNGO協働スペース)






福島駅前に被災地を支援するNGO・ボランティアの拠点開設



東日本大震災で被害を受けた東北の被災地の支援や復興に携わるNPOやNGO、市民グループなどの活動拠点として、「ふくしまNGO協働スペース」が福島市内にオープンした。

共有事務所としての活用のほか、会議やイベント開催を通じて、3ヵ月で約800人が利用、支援者と利用者の交流が広がっている。




開設したのはNGOを支援するNGO、国際協力NGOセンター(JANIC、本部・東京都)。同センターは震災直後から被災地に入り、昨年5月から担当者を福島県に派遣。現在は、福島大学うつくしま福島未来支援センター(FURE)とともに、海外への情報発信基盤整備を進めている。

被災者支援に福島を訪れるNPOや市民たちと各団体の連携促進を目的に、協働スペースをオープン。米国のNGOチャーチ・ワールド・サービス、インターナショナル・メディカル・コープス、ディレクト・リリーフ・インターナショナルの財政的な支援を受けた。

JANIC震災タスクフォース福島事務所長の竹内俊之さんは、「支援のために、国際的なネットワークをもつNGOから地域の市民団体まで、さまざまな人が被災地に来ている。スペースは、こうした支援者がお互いにオープンでイーブンな関係で情報を交換したり、交流できるような雰囲気づくりを心がけている。まだ地元の方々に十分に知られていないので、今後は地域のボランティアやNGO、NPOの方々にも活用していただけるよう、情報提供をしていきたい」と話している。




場所はJR福島駅東口から徒歩1分のビル3階で交通至便。室内には事務スペースや会議室、資料スペースがあり、インターネットに接続できる無線LANやファクス、コピー機のほか、折り畳み机やいすが整備されている。




現在は主に利用登録をした12団体が共有事務所として活用しているほか、講演会や勉強会、映画上映会も開かれている。

月曜から金曜日まで、午前9時から午後6時まで、土・日・祝日は要予約。利用は無料(コピー代などは別途)。

 (文と写真 藍原寛子)




【ふくしまNGO協働スペース】
〒960-8031
福島市栄町6-5南條ビルA-3F
電話:024-573-1470
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