(2012年11月1日発売、THE BIG ISSUE JAPAN 第202号より)
『福島と生きる 国際NGOと市民運動の新たな挑戦』
震災直後、宮城県や岩手県には多数の国内・国際NGO/NPOが次々と支援に入ったが、福島県では出遅れた。
放射性物質による汚染のほかに、福島ではNGO/NPOの活動基盤や、外部から支援を受け入れるための受け皿となる中間支援組織が脆弱で、それが支援活動の遅れになった可能性が指摘されている。
本書は、こうした福島の問題を乗り越えようとする市民とNGOの格闘の軌跡と、「未来」や「福島」への視座を特集している。放射能汚染は測定器がなければ不可視的であり、よって実害も不可視化されやすい。
対立と分断を越えて、今の問題をどうとらえ、発信し、広く連携していくか、その実践とヒントがつづられた。
「福島の状況を世界に発信する際の鍵は、福島で起きていることを世界的な課題(グローバル・イシュー)として位置づけるところ」(竹内俊之・国際協力NGOセンター震災タスクフォース福島事務所長)。
福島の問題がいかに普遍的かを理解できる一冊。
(藍原寛子)