様々な社会的背景・困難を抱えた人たちを対象にしたフットサル大会「ダイバーシティカップ」の第二回報告書より抜粋をお届けします。(インデックスはこちら

ちぃむ小心者は、若者たちの就労をサポートするNPO法人育て上げネットのスタッフ、現役生、卒業生を中心に構成されたチームです。今回は、現在育て上げネットの就労支援プログラム「ジョブトレ」に通うM²さんと、スタッフの阿部さんに大会の感想を伺いました。

予想外の怪我がありつつも

―大会参加のきっかけは?
(M²さん)スタッフの齋藤さん経由で声をかけてもらいました。自分は小中高とサッカーをやっていたので、サッカーも好きですしチームの力になれればと思って。じつは、去年の第1回大会にも参加したのですが、「小心者」なりに優勝を狙っていたのですが、勝てない試合が続き、今回は勝つにはどうしたらいいかっていうのを考えていました。チームメンバーのジョブトレ生同士は普段から仕事に向けてのトレーニングをしていますし気心も知れているので、チームの雰囲気は良かったです。やる気満々で、目標はもちろん優勝でした。

-大会はどうでしたか。
(M²さん)みんな積極的に動いてくれて、パスの引き出しとかも文句がないっていう感じでした。でも実は大会のアイスブレイクの時に予想外の怪我をしてしまったんです。フィールドプレーヤーはできないのでキーパーをすることになったんですけど、逆にそれがよかったのかなって思っています。

(阿部さん)裏話をすると、彼がアイスブレイク中にコートから突然いなくなっちゃったんですよ。そしたら足を痛めちゃったみたいで、「せっかく意気込んで来たのに、なんてことしてくれるんだ!チームの要じゃないか!」って(笑)でもキーパーは出来るってことで、そしたら案の定失点することなく勝ち上がっていきましたね。5試合して1失点というのはすごい結果ですよね。

―大会で印象的だったことはありますか。
(M²さん)やっぱり上手い人、体力のある人との差は感じました。普段、強い人と試合を機会はなかなか無いので、ありがたいというか、もっとやりたいっていう気持ちになりました。

(阿部さん)他のコートの試合を見ていても、みんなすごく元気で勢いがあるというか、本当に楽しんでいるって思いましたね。ちなみに僕たちトーナメントでじゃんけんで敗退してしまったんです。じゃんけんだから、「運には負けたけど試合には僕たちは負けてない!」って言い切っています(笑)

自分の世界を出るという挑戦

―今後、試合したい、交流したいというチームは?
(M²さん)それは、優勝したピースボートやフェアスタートですね。上手い人と直にやるっていう経験って、楽しくないですか?こっちが不甲斐ない結果になるっていう申し訳なさはあるんですけど、個人的な感情としては上手い人とやってみたいなっていう気持ちはありますね。あとは、自分人見知りで、知らない人がいると気後れしてしまって、ダイバーシティカップの食事会・交流会には参加できなかったんです。今後の目標としては、自分1人では勇気がいるので、誰かとチームメンバーと一緒にそういう場所にも挑戦してみようかなって思っています。

―スポーツ以外でも挑戦したいことはありますか。
(M²さん)今、ジョブトレーニングでパソコンのエクセルなどの練習をしているので、地道に練習を重ね就労できたらと思っています。

(阿部さん)M²さんの最初の施設見学の対応したのが自分だったんですが、最初は明らかに人に言われて来たオーラがでていて、どうなっていくのなと不安もありました。今はジョブトレを通して人との関わりとか、新しく入ったメンバーに声をかけるとか、そういう面ですごく成長して、良いところがたくさん出てきたと感じています。

(M²さん)自分はサッカーが好きでサッカーをしている時は人見知りをしないでいられるんです。最近は1年ほどジョブトレに通う中で、仕事への意識や姿勢ができてきて、仕事というモードになることで、人見知りが減ってきたように思います。そういう意味では、やっぱり、次回のダイバーシティカップに出るのであれば優勝を目指すのもですが、他チームとの交流も頑張りたいですね。

(阿部さん)M²さんは、スポーツをしている姿とジョブトレで見せてくれる表情は違うんですよね。だから勝ちにこだわるのもいいんですけど、スタッフとしては、他のチームの人と話すことで、背景が重なっていたり共有できることがあるかもしれない。それがスポーツを通したきっかけ作りもなるのかなって思うので「飛び立ってこいよ!」という想いもあります。“小心者”というチームも大事にしてほしいし、他のチームの人とミックスチームで混ざってやるのもいいのかなって思っています。

(M²さん)そうですね。ミックスゲームした後なら話せるかもしれません・・(笑)

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