数々のテレビ番組に出演するかたわら、女優として活躍するサヘル・ローズさん。
イランの児童養護施設で育ち、来日後は養母のパートナーからの虐待、ホームレス、学校ではいじめも経験したという彼女が社会的活動について語る。
Photo:横関一浩
創刊当時からビッグイシューを応援してくれているというサヘルさん。
街中には様々な光景に溢れてる。
— サヘル (@21Sahel) 2018年5月6日
祝日をたのしむヒト、
お仕事のヒト。
いろんな日曜日があるね。
街角に、駅前にいる。
彼らをみかけたら
ビッグイシューの販… https://t.co/5snKJrHiEE
販売者を「お父さんたち」と呼ぶ、彼女のまなざしはとてもあたたかく、ビッグイシューの購入時に「お父さんたち」と言葉を交わすそうだ。
販売者に人一倍心を寄せてくれるその背景には、彼女の生い立ちがある。
児童養護施設で育ち、養母のフローラさんと運命の出会いを果たす
サヘルさんは、4歳の頃からイランの児童養護施設で育つ。サヘルさんが7歳の時、現在の養母・フローラさんが20代前半でサヘルさんを引き取ることを決心する。しかしフローラさんのご両親には大反対され、勘当されてしまう。(※)
フローラさんとサヘルさんは、日本にいた知人を頼って来日。しかし、その知人にも家を追い出されて親子はホームレスとなる。
日本でのホームレス体験
家を追い出された親子は、行くあてもなく公園でしばし過ごした。子ども心に、公園での生活は寒くて怖かったというサヘルさん。
雨が降れば公衆トイレで雨宿り、お風呂にも入れなかった時代があるのだという。
その頃の心細い、寄る辺ない気持ちを実感した経験があるため、ビッグイシュー販売者にも「いろんな事情で働けなかったりするんだろうな」と心を寄せることができるのだろう。
そんなサヘルさんの、芸能界に入ったきっかけや力を入れている社会活動に込めた想いは、「ビッグイシュー日本版340号」にて。
(※)現在、フローラさんとイランに住むご両親は和解している。
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幼いころから「居場所」を求め続けてきたサヘルさんの場合は、養母のフローラさんをはじめ、奇跡的ともいえる人々の献身的なサポートがあって今にいたるが、社会の中にはまだ「助けを求めている幼いころのサヘルさん」と同じ状況のまま抜け出せない人々がたくさんいる。
児童養護施設で育つということ、DV、母子世帯の貧困、言葉や文化のハンデで日本の学校になじみづらいこと、そしてホームレス。
それらの問題は「認知されづらい」ことから支援の手が差し伸べられることも少ない。
まずは、「知ること」から始めたい。
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(言葉のハンデで学びづらい外国人が、夜間中学で学んでいます)
・学校より学校らしい学校?=夜間中学。全国に公立の夜間中学は31校、自主夜間中学は29校
『ビッグイシュー日本版』340号ではこのほかにも、
・リレーインタビュー。私の分岐点:ブックデザイナー 名久井 直子さん
・特集:難民を知る
・国際:使うのは一度きり、残るのは永遠。海に浮かぶ大量のプラスチックごみ
・ワンダフルライフ:服を縫う「光景」を売る“流しの洋裁人”
など盛りだくさんです。
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ビッグイシューについて
ビッグイシューは1991年ロンドンで生まれ、日本では2003年9月に創刊したストリートペーパーです。
ビッグイシューはホームレスの人々の「救済」ではなく、「仕事」を提供し自立を応援するビジネスです。1冊350円の雑誌を売ると半分以上の180円が彼らの収入となります。