「モノが売れない」と言われて久しい。車も住宅もかつてより売れにくい。
そんななか、より多くの人が利用できるようにと様々なシェアやレンタルのサービスが生まれている。
しかし「シェア」と「レンタル」の違いは何だろうか。



レンタルと言えば、レンタルスペース、レンタル衣装、レンタカー。賃貸住宅もレンタルだ。 シェアと言えば、シェアハウス、シェアオフィス、ワークシェア……。

どちらもユーザーは自分で買ったり所有したりせずとも、モノやスペースを使わせてもらえるということには変わりがない。

ただ「レンタル」は企業などの管理者がおり、管理者の設定したルールに基づき利用者はモノやスペースを時間貸ししてもらうというイメージがある。ひとと交わることなくひとりでも使えるサービス、といってもいいかもしれない。

それに対して「シェア」は、管理者が設定したルールで管理というよりは、市民の必要によって生まれたモノ・スペースをともに使うなかで、価値観やスキルが共有され、共感やコラボが生まれる、ワクワクする余地があるイメージがある。ひとと交わり、お金ではない価値が増殖する可能性をもつイメージがないだろうか。

ひとりでするより、誰かと〝ともに〞するほうが楽しい。〝所有か共有か〞の考えをこえた「シェア」が、キッチン&食の領域で始まっている。
『ビッグイシュー日本版』356号特集は「シェア・キッチン」。

東京・西荻窪の「okatteにしおぎ」、東京・武蔵野にある「MIDOLINO_」、名古屋の「すたーとあっぷきっちん」のそれぞれの取り組みを取材し、シェア・キッチンを始めたきっかけや想いを伺った。ぜひ本誌にてご覧いただきたい。

「okatteにしおぎ」

3世帯で住んでいた土地の活用を考えた際に、アパートにするには物足りず“食”を中心にした、まちのパブリックコモンスペース。みんなで食事をしたり、イベントをしたり、食の小商いに使ったりと、利用方法はさまざまな場所をつくった。メンバーが開発した味噌ケーキは被災地で商品化、優秀賞も受賞。

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メンバーだけでなく、オープンデーにはさまざまな人が訪れ、キッチンをシェアする。
写真提供:okatte にしおぎ

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「MIDOLINO_」

飲食・菓子・惣菜・ソース・粉末と5種類の製造許可のある「コミュニティ・フードコート」。専門家の講義と実践を組み合わせた「創業実践学習カレッジ」、シェア・キッチンでの「生産・出店・販売体験」「創業応援型カフェ」などを実施。ほしい暮らしや仕事を実現する場にしたいという。

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ランチ、ディナー、イベントと、にぎやかなカフェスペース 写真提供:MIDOLINO_
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「すたーとあっぷきっちん」/名古屋市中区

マンションの一室を改装した、菓子製造/飲食店営業許可付きシェア・キッチン。出店ノウハウも含めて利用者をサポートする代表の元へ、お菓子を焼き、マルシェなどで販売したい人たちが集う。 シェア3
1DK を改修したシェア・キッチン。奥のテーブルでは勉強会も行われる。
Photo:伊藤卓哉


『ビッグイシュー日本版』356号ではこのほかにも、

・リレーインタビュー。私の分岐点:オペラ歌手 小林沙羅さん
・スペシャルインタビュー:アンドレア・ボチェッリ
・国際:私たちは「肥満恐怖症」!? 過体重を悪とする社会の視線
・ビッグイシュー・アイ:「先住民族」と認めた、21年ぶりの「アイヌ新法」
・ホームレス人生相談:30代女性からの「頭と身体を“オフ”にできません」の相談
など盛りだくさんです。

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「シェア」関連の『ビッグイシュー日本版』バックナンバー

THE BIG ISSUE JAPAN345号
特集:みんなで使おう!「遊休公共スペース」
345
https://www.bigissue.jp/backnumber/345/

THE BIG ISSUE JAPAN327号
特集:あなたもつくれる! 小さな図書館
327

https://www.bigissue.jp/backnumber/327/








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ビッグイシューは1991年ロンドンで生まれ、日本では2003年9月に創刊したストリートペーパーです。

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