英国の慈善団体「アーツ&ホームレス インターナショナル」が、「アートとホームレス問題」の分野における卓越したプロジェクトや個人の貢献をたたえる国際賞を立ち上げた。賞は6つの部門から成り、受賞者(プロジェクト)は、各分野の専門家、およびホームレス状態を経験したことがある者たちで構成される第三者委員会によって選出される。
受賞者は、「アーツ&ホームレス インターナショナル」の共同ディレクターで高い評価を得ているアーティスト、デビッド・トーヴィから賞を授与され、さらに、翌年の第三者委員会メンバーとして招待される。国内または国外に向けて活動を行う慈善団体やアーティストは、国を問わず応募できる。自薦・他薦を問わない。
国際賞のパートナー団体として、国際ストリートペーパーネットワーク(International Network of Street Papers/INSP)のほか、AMUZN、Invisible People、Media Storm が名を連ねる。INSPのマイク・フィンドレー代表は、次のコメントを発表した。「ホームレス状態や貧困など生活苦を経験した人たちにとって、アートや創造性を発揮できる活動にかかわることは、自身の経験や声を人々に届けるひとつの方法です。アート活動にかかわることで健康や幸福度が高まることは明らかなので、アーツ&ホームレスインターナショナルが当分野で活躍する人や団体をたたえる賞を設けたことに胸が高鳴ります。我こそはと思われる方からのご応募をお待ちしています」
「アーツ&ホームレス国際賞」の6つの部門は以下のとおり。
1.最優秀アーツ&ホームレス・プロジェクト
ホームレス状態にある人々に何かしらの方法で多大なプラスの影響をおよぼす、慈善団体や非営利団体による事業。事業の規模や年齢は問わないが、「アート&ホームレス問題」に焦点を当てた事業であること。2. 最優秀カルチャースペース
ホームレス状態にある人々の“利用のしやすさ”や“関わり”の向上を目指した美術館、ギャラリー、アートセンター、図書館、公園など文化スペース、ならびに実施した施策。3. 最優秀ホームレス施設
アートの要素を取り込んだ、すぐれた独創的プログラムを提供しているホームレス施設、デイセンター、ホステル、支援機関。アートプログラムを実施し、その成果が示せること。4. 最優秀コ・クリエーション活動
ホームレス状態にある(あった)人々の声や能力を等しく届けることに秀でた個人や団体。プログラムからスタッフの配置まで、団体のすべての活動を通じて、十分な権限分担がなされ、真に「共創」の理念のもとに活動を行っていること。5. 最優秀政策チェンジメーカー
「アート&ホームレス問題に関する政策」(例:アートを取り入れた自治体の計画/戦略)または「アートを用いたホームレス問題施策」(例:施策に変化をもたらす公共アート)に具体的な変化をもたらした政策立案者、個人、または規律。6. 最優秀クリエイティブ
自身やホームレスコミュニティ内の他の人の暮らしにアートが役立ったことを示すことのできるホームレス状態にある(あった)者。アートの分野は問わない。<アーツ&ホームレス国際賞 2023の結果>
応募期間:10月10日〜11月6日
結果発表:12月10日
受賞者リスト
https://artshomelessint.com/what-we-do/projects/the-ahi-awards/shortlist-for-the-ahi-awards-2023/
※日本からはカルチャースペース部門で釜ヶ崎のゲストハウス「ココルーム」が3位入賞。
参考記事:釜ヶ崎の過去と現在。高齢化・IT化の流れであいりん総合センターは?/インバウンド外国人を見込んで変わりつつあるかつての「日雇いの街」
「アーツ&ホームレス国際賞」の紹介ページ
https://artshomelessint.com/what-we-do/projects/the-ahi-awards/
Courtesy of INSP.ngo
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