紀元前399年、アテネではソクラテスを死刑に処することが公開裁判で確定した。でっち上げともいえる政治的嫌疑をかけられたソクラテスだったが、市民の大多数によって民主的に決められたことだからと、その死刑判決を受け入れた。
このような「過ち」を回避すべく設計されたのが、現代の民主主義である。アテネで起きたような「多数決による死刑判決」を防ぐため、刑事被告人に対する司法上の特別保護が憲法に盛り込まれてきた。いまだに死刑を認めている国もある一方で、2020年代となった今は、死刑廃止論が広く優勢となっている。米国では、約半数の州が死刑を廃止しており、残りの州でも長く死刑が執行されていないところが多い。死刑支持者の割合も減少傾向にある。
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