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カテゴリ: 受刑者支援・加害者理解


紀元前399年、アテネではソクラテスを死刑に処することが公開裁判で確定した。でっち上げともいえる政治的嫌疑をかけられたソクラテスだったが、市民の大多数によって民主的に決められたことだからと、その死刑判決を受け入れた。

このような「過ち」を回避すべく設計されたのが、現代の民主主義である。アテネで起きたような「多数決による死刑判決」を防ぐため、刑事被告人に対する司法上の特別保護が憲法に盛り込まれてきた。いまだに死刑を認めている国もある一方で、2020年代となった今は、死刑廃止論が広く優勢となっている。米国では、約半数の州が死刑を廃止しており、残りの州でも長く死刑が執行されていないところが多い。死刑支持者の割合も減少傾向にある。
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イタリアの刑事施設(拘置所や刑務所)では、2022年の1年間だけで84件もの自殺が発生している*1。なかでも8月は14人が命を絶ち、2日に1件のペースという衝撃的な数字が記録された。イタリアの全人口にあてはめるなら、同期間に7万5千件の自殺が発生したことになる。この憂慮すべき事態について、イタリアのストリートペーパー『スカルプ・デ・テニス』が特集を組んで報じた。
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イタリアの西海岸に浮かぶトスカーナ群島、その中でも最も小さなゴルゴーナ島。面積わずか2平方キロメートルほどのこの島には、二つの大きな特徴がある。海洋保護区であり、ヨーロッパ唯一の監獄島なのだ。島の海域は自由に航行できず、島に入るには、本土の港町リボルノから出航している週2便の定期船に乗り込まなければならない。 しかし乗客というと、トスカーナ諸島国立公園の自然ガイドが率いるハイキング客と、島のわずかな住人、そして刑務所を訪れる人々だけだ。続きを読む
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かつて暴力犯罪率の高さで悪名高かったスコットランド・グラスゴー。しかし15 年前に、警察が「暴力」に対する見方を変え、貧困の改善をすすめて社会福祉との連携を始めると、事件数は減少。画期的な事業のモットーは「人生の厳しいカードを引いてしまった人々に、希望と機会を提供する」ことだ。続きを読む
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 刑期を終えて出所する人たちの中には、帰る家も着る服もなく、車での迎えを頼める人もなく、薬物依存が残っていようとも適切な治療を受けられない人も多い。その結果、ホームレス状態や薬物の過剰摂取に陥り、再犯リスクを高めてしまっている現実がある。
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 米国の刑務所では暴力が蔓延しているーー暴力の直接の被害に遭うか、そうでなくともほとんどが暴力を目の当たりにしている。“間接的”に暴力にさらされているだけでも、社会復帰後の生活に長期的な影響をもたらすことが研究で明らかになりつつある。暴力的な環境にさらされることで、出所時に犯罪者は更生しているどころか、再び犯罪行為を犯すリスクが高まっているおそれもある。人が矯正施設に期待するものとは真逆である。続きを読む
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 テロと紛争がない社会を目指し、ソマリアなど4ヵ国でテロリストやギャングの脱過激化や社会復帰を支援している「アクセプト・インターナショナル」。組織診断を受け、見えてきた課題とそこから生まれた長期戦略、国際社会に向けた新たな取り組みについて聞いた。続きを読む
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 「何度も犯罪を繰り返す人」と聞くと「根っからの悪人」と思いがちだが、その人がフルタイム雇用されているかどうかは、犯罪が繰り返されるかどうかに大いに相関があるものだ。日本では、再犯で刑務所に収容された人のおよそ4人に3人が再犯時に無職だという*1。
 
というと、「罪を犯すような人だから雇用されないのでは?」という疑問を持つ人のために、犯罪を犯すリスクが高い人たちに職務スキルを修得させ、フルタイムの仕事に就けるよう支援する米ワシントンDCのプログラム「Pathways(パスウェイズ)」の取り組みを紹介しよう。
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 受刑者に文章を書くことを勧めるプロジェクトが、オーストラリアの南オーストラリア州の刑務所で実施されている。文章表現は受刑者たちにどのような効果があるのだろうか。豪フリンダース大学の上級講師(クリエイティブ・ライティング博士号)のマイケル X・サッバスが報告する。
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