スペインは、欧州連合(EU)の中でも指折りの青果物産地。国内最南端に位置するアンダルシア地方は欧州最大級の有機農地面積を誇り、農園労働者は引っ張りだこだ。しかしハードな労働の割に低賃金のため、この分野で働きたいと考えるスペイン人は、特に若い世代では少ない。
またスペインは、その地理的条件から、欧州亡命を目指す難民たちの「玄関口」となっている。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、2021年1月1日〜11月30日の間にスペインが受理した亡命申請は5万8,540件で、そのうち承認されたのはわずか1割。申請が却下された場合、「20日以内の国外退去」が命じられるが、実際に退去する者は4割以下で、残りは「不法状態」で国内に留まっている。正式な就労は認められていないが、何とか生き延びなければならない。ここに、農業分野の労働搾取という落とし穴がある。オーストリアのストリート誌『メガフォン』が現地で取材した。
続きを読む