愚痴や不満。迷惑なお客さんへの対処に困っています
お客さんあってのサービス業とわかってはいるものの、「退職をして家でゴロゴロしている夫と顔を合わせるのがつらい」とか、「デート相手を紹介してほしい」など、しょうもない愚痴や頼まれごとばかりでうんざり。中には、明らかに病んでいる人もいます。笑顔で話を聞いていますが、全部聞いてあげるわけにもいかず、こんなご時世、逆切れされても怖いので、対処に困っています。
(男性/29歳/スポーツトレーナー)
俺は人の愚痴を聞いてあげるよりも、聞いてもらってる立場。お客さんにも、ビッグイシューの事務所にいても、愚痴ばっかり言うてる。だってな、「嫌なことは一切やりません。嫌な奴には頭を下げません。誰もわかってくれなかったら、暴れます」というバリバリの不良をやってきた俺みたいな人間に愚痴を言うても、しゃーないもん。
お客さんだってバカじゃない。たまには、テキトーに楽しんでもいいねんで。相談者の、この人を若いながらも頼もしい奴やと見込んで、いろいろと言うてきてるねんで。
でもな、俺も人生観がちょっと変わってしまった愚痴を聞いたこともあった。俺はリュックしょって日本全国を旅するのが大好きでね。たまたま乗った同じ電車に、東大や早稲田のエリート大学生がおったんや。キレイな顔した女の子が「飲みに行っても、『東大に通ってます』って自己紹介すると、誰も寄ってきません」と愚痴ったんや。俺は、「そうか、エリートにも悩みはあるんか」と、真剣に驚いた。向こうは俺と天と地ほどの差がある立場なのに、同じようにコンプレックスがあるなんて、考えたこともなかった。愚痴はコミュニケーションの一つ。自分の知らない世界を教えてくれる。
「心と身体はつながっている」って言うけど、ホンマそうや。ときどき言葉でどう伝えていいかわからなくなってしまう時がある。俺、脳みその容量が少ないから、身体がガチガチになってしまう。ちゃらんぽらんに生きてきた俺だって、病気になる。そやから、まじめに生きてきた人は、病気になって当然や。悪いけど、これからはそんな人がたくさん増えてくる。だから、専門書を読んで、知識として頭の片隅においておくのもええと思う。まぁ、頭の調子がおかしくなっている人を、丸ごと理解してやれとは言わん。本人がわかってないんやもんな(笑)。
ただ、愚痴を聞いたり、冗談を言いながら、お客さんの心を軽くして、身体を鍛えたら、効果あると思う。この人には、心と身体の両方を健康にするトレーナーを目指してほしいな。
(大阪/Yさん)
(THE BIG ISSUE JAPAN 第123号より)