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(2011年11月1日発売、THE BIG ISSUE JAPAN 第178号より)




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インド、「幽霊職員」が2万人



「神の使い」として牛が街中を行きかうインドの首都デリーで、新しい「幽霊」の発見が話題を呼んでいる。職員の勤務実態を把握するため、市政府が数年前に生体認証システムを導入したところ、13万人のうち、2万人は名前が登録されているだけの「幽霊職員」だったことが発覚したのだ。

幽霊の大半は清掃員で、5年間で計50億ルピーが給与として支払われたとの調査結果もある。給与を詐取したとして、8月に逮捕されたエンジニアの男は「おじが勝手にやったことで、いつ職員になったのかもわからない」と供述した。実際のところ、本業で十分な収入を得ており、不正を働く差し迫った必要や、罪の意識はなかったようだ。

インドでは政治家や公務員の汚職が横行している。著名な社会活動家のハザレ氏がハンストを通じ、政府に対策を求めたのは記憶に新しい。デリーの件は「行政システムの欠陥が原因」(市幹部)のようだが、官僚主義の蔓延が背景との指摘もある。賄賂が「文化」として根づくなど、国民の側にも改善の余地があるようだ。

(長谷川亮/参照:IANS、タイムズ・オブ・インディア)


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(2011年11月1日発売、THE BIG ISSUE JAPAN 第178号より)




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ドイツ、すべての子どもに学童保育の権利を



先頃、ベルリン・ノイケルン地区にあるゾンネン小学校の教職員たちが市議会に対し、すべての小学校児童に学童保育の権利を要求する抗議書を提出した。ドイツの小学校では就学時間が通常午前中だけなので、両親が共働き家庭の子どもに対しては公共の学童保育を受ける権利 が与えられている。 

今回抗議書を提出した教職員らは「ノイケルン地区では、両親共働き家庭が少ない代わりに、生活保護受給家庭が多い」ことをあげ、「生活保護受給家庭の子どもたちの多くは、放課後にスポーツや身体を動かす遊びをするよりコンピュータゲームなどに没頭する傾向が強く、また親が宿題を見てくれることも少ない」として「こういった家庭の子どもたちにこそ、学童保育の機会を与え、支援を行う必要がある」としている。

ベルリン市議会教育省では、親が失業状態にある子どもたち、および外国人家庭の子どもたちにも学童保育の機会を与える提案書を策定しているが、財源の問題からまだ正式に認可されてはいない。

(見市知/参照:Berliner Zeitung)


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(2011年10月1日発売、THE BIG ISSUE JAPAN 第176号より)




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インド・バングラデシュ、見過ごされてきた国境犯罪



インドとバングラデシュの国境地帯は、武器の密輸や人身売買など、犯罪の温床とされている。ただ、この問題がメディアに取り上げられる機会は少なく、国際的に問題意識が共有されているとは言いがたいのが実情だ。

インド北東部メガラヤ州で8月、自警団の銃撃で、バングラデシュから密入国した2人が死亡する事件があった。インド当局は、木材が盗まれそうになったと説明しているが、事実関係ははっきりしていない。

事態が深刻なのは、治安当局でさえ、先入観だけで発砲を繰り返してきた経緯があるからだ。インド国境警備隊(BSF)に親族を射殺されたある住民は「一帯では暴力が日常的かつ恣意的に行われている」との見方を示す。過去10年間の銃撃で、約1000人が死亡したとの推計もある。

両国は、国境地帯の共同管理で協力する方針を打ち出したばかり。9月には、国境線の画定に取り組むことで合意している。

(長谷川亮/参照:ヒンズー、タイムズ・オブ・インディア、ガーディアン)


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(2012年5月1日発売、THE BIG ISSUE JAPAN 第190号より)





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タイ、ケシ栽培地域で進む作物転換プロジェクト



タイとミャンマー、ラオスの3ヵ国が国境を接し、ゴールデントライアングルと呼ばれる一帯は、古くからケシやアヘンの生産で知られてきた。

栽培作物の転換を通じて山岳民族の生活の向上を図るため、タイ王室が財団を立ち上げ、「ドイトゥン開発プロジェクト」に着手したのは88年のこと。現在はコーヒー豆や衣料品を生産し、国連機関から「世界でも際立った代替開発の成功例」と評されている。

ただ、実を言えば、違法薬物をめぐるタイの状況は思わしくない。人権侵害との批判を受けつつ、タクシン政権が03年に実施した摘発作戦など、これまでの対策は一定の成功を収めたものの、ミャンマーから持ち込まれた覚醒剤がまん延しており、依存症者は全国で120万人。ドイトゥン地区のあるチェンライ県を、麻薬の取引で有名な南米のコロンビアになぞらえる向きもある。

王室肝いりの財団は現在、支援の対象地域を広げ、「パンマハン貧困救済・森林再生プロジェクト」に取り組んでいる。

現地の生態系になじみやすいツバキ科の植物の栽培を後押しし、無理な耕作でやせ細った土壌の回復を促すとともに、せっけんなどの日用品の生産につなげていくことが目的だ。長期的には、エコツーリズムの振興を図る狙いもある。

関係者の一人は「若者の多くは学校を中退して都会で仕事を探したり、麻薬の取引にかかわったりしていた。だが、農園で仕事が生まれ、彼らの多くが戻ってきた」と話している。

(長谷川亮/参照:バンコク・ポスト、ネーション、チェンライ・タイムズ)


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(2012年6月15日発売、THE BIG ISSUE JAPAN 第193号より)




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中国、戸籍問題がもたらす新卒者の給与格差



先日、北京で就職を希望する新卒者対象の就職説明会があり、同じ職種の仕事でも、企業が「都市戸籍」の取得を保障する場合の給与は3000元(約3万6千円)程度、保障しない場合は8000〜13000元と、2〜3倍の格差があることが明らかになった。

中国には元々、都市への人口集中を回避するために「都市戸籍」「農村戸籍」の区分がある。そのため、新卒者の多くは大都市での就職を望みながらも、地方出身者が都市戸籍を得るのはたやすくない。

しかし、都市戸籍を得ないまま就職すれば、福祉サービスなどが受けられないため、医療や教育で負担を強いられる。政府も新卒者を採用する企業や機関に一定数の「戸籍」枠しか与えない。

そのため、地方出身者は農村戸籍のままで3倍の給与を選ぶべきか、都市戸籍のメリットを重視すべきか、厳しい選択を迫られる。

一方、地方は人材誘致のためにさまざまな政策を実施しており、仕事上の発展を見込んで地方を選ぶ学生もいる。清華大学の就職指導センターの主任は、今年度地方で就職する同大学の卒業生は半数に達するだろうと予測している。

(森若裕子/参照:鳳凰網、北京晨報)


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(2012年5月1日発売、THE BIG ISSUE JAPAN 第190号より)





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南アフリカ、急成長するフェアトレード



南アフリカでは今、生産と消費の両面でフェアトレード市場が急成長しており、国内のフェアトレード製品売り上げ高は、09年の570万南アフリカランド(約6千万円)から10年には1840万ランド(約2億円)と、3倍以上に増加した。地元産のワインとコーヒーがその大部分を占めるが、すぐに他の製品にも広がっていくと期待されている。

NGO「環境モニターグループ(EMG)」によると、南アフリカのフェアトレードの特徴は、生産者の大部分が会社組織になっていることだという。

国際的なフェアトレード認証(FLO)を受けた団体が60あり、約1万2500人の農民が働いているが、小規模農家は3つのみで、他のアフリカ諸国とは際立った違いがある。FLO認証には、従業員が会社の株を25パーセント以上保持していることが求められる。

EMGは西ケープ州のルイボスティー農家を支援している。栽培技術に関する助言や融資手続きのサポートが功を奏し、150戸の小規模農家が有機フェアトレード市場への参入を果たした。

今では、農家は茶葉の精製を自分たちで手がけ、ケープタウンにある箱詰め工場の株を66パーセント保有するまでになった。EMGの次のプロジェクトは、北ケープ州オレンジ川沿いで、天日干しレーズンのフェアトレード認証を目指す農家を支援することだという。

(Sarah Taylor/参照: Fairtrade Label South Africa、 EMG)


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(2012年5月1日発売、THE BIG ISSUE JAPAN 第190号より)





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台湾、フェアトレードキャンパス(公平貿易校園)の試み



08年、台湾大学にフェアトレードのコーヒーショップが誕生した。学内でフェアトレード運動を推進しようと考えた学生が、フェアトレード店「生態緑」に出店を依頼して実現した。台湾初のフェアトレードキャンパスである。

コーヒーの他にお茶も販売している。経営的には楽ではないが、飲食店の入れ替わりの激しい学内で4年目を迎えた。「目的は売り上げより、フェアトレードの精神を広めることです」と「生態緑」の余宛如さんは話す。

台湾で初めて国際フェアトレード認定組織FLOの会員認定を受けた「生態緑」は販売だけでなく、講演などを通じて、貧困層が搾取される社会構造を変革していく運動を行っている。だが、学生は卒業してキャンパスを去っていく。精神をどう継承していくかが今後の課題だ。

最近、輔仁大学がフェアトレードショップの開店を計画中だという。学生自身が運営することで、運動に広がりが出るのではと期待されている。

(森若裕子/参照:女性電子報、生態緑blog)


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(2012年5月1日発売、THE BIG ISSUE JAPAN 第190号より)





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フランス、オーガニックショップが大賑わい




大手スーパーマーケットのコーヒーやチョコレートなどの売り場では、フェアトレード製品がかなりの部分を占めるようになったフランス。でも、その浸透度は米国や英国に比べ、高いとはいえない。

IPSOS社の調査によると、2000年の時点では、9割が「フェアトレードを知らない」と回答。08年には「知っている」が約8割に上昇するが、「1ヵ月以内に買った」のは4割弱だった。スーパーで購入する人が大半で、一番人気はコーヒー。

そして、シリアル、お茶と続く。別の調査(09年)では、フェアトレード製品に費やすのは年間4・40ユーロ(約500円)にすぎなかった。

農業大国フランスは、グローバル化による自国産業の衰退への懸念が根強く、ここ最近、〝地産地消〟の促進に躍起だ。さらに、生産地や生産過程の見える〝賢い消費行動〟への関心も高まっている。「大量消費社会」を批判するNGOなどが、勉強会や集会を積極的に開催し、消費行動の見直しを呼びかける。

「確かな品質」を求める消費者は着実に増えた。ビオ(=オーガニック)ショップは町のいたるところにあり、いつも買い物客で大賑わいだ。

フランスのフェアトレードは、そうした流れの一つに位置づけられている。ビオ関連ビジネス成長にともない、売り上げは急速に伸び、10年前の25倍に膨れ上がったそうだ。

(木村嘉代子/参照: IPSOS)










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ビッグイシューは1991年ロンドンで生まれ、日本では2003年9月に創刊したストリートペーパーです。

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(2012年4月1日発売、THE BIG ISSUE JAPAN 第188号より)





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ドイツ、薬物依存症の里親のもとで少女が死亡



1月にハンブルクで11歳の女の子シャンタールちゃんが亡くなった事件が社会に衝撃を与えている。

シャンタールちゃんは実の両親が薬物依存症だったことから08年、市の青少年局の判断で里親に預けられたが、この里親の夫婦2人もまた薬物依存症で、メタドンを用いた薬物依存症治療プログラムを受けていた。

しかし市青少年局はこのことを把握しておらず、シャンタールちゃんは家の中にあった致死量のメタドンを、水と間違えて飲んでしまい死亡したと見られている。

シャンタールちゃんが亡くなる前に、実の父親に対して助けを求める手紙を書いていたことも明らかになり、里親選定にあたっての市の審査やアフターケアがずさんだったことが問題視されている。

一方、実の親がいながら、養育環境に問題があることなどから里親に預けられる子どもの数は年々増えており、青少年局の後見人役1人が担当する子どもの数は通常120人以上にのぼるとされている。

(見市知/参照:Welt)


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