ビッグイシュー日本版249号から、読みどころをピックアップしてお届けします。


「ホームレス」を受け入れる「図書館」:バンクーバー、サンフランシスコの事例から

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本日ご紹介するのは、海外記事よりホームレスをサポートするバンクーバー、サンフランシスコの図書館の取り組みです。

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ご存知の通り、図書館は居場所をなくした人たちにとって、数少ない無料空間です。そんななか、図書館を訪れるホームレスの人々に対して、積極的にサポートを提供する図書館が北米にあります。

08年、サンフランシスコ公共図書館は米国で初めて、ホームレス状態にある利用者と交流すべく、フルタイムのソーシャルワーカーを雇った。米国の他の都市も後に続き、ソルトレイクシティやタルサ、サクラメントなどの公共図書館が、ソーシャルワーカー、看護師、福祉ワーカーを雇い入れた。

「ホームレスの人たちの多くが実際に図書館を利用して収蔵物を読んだり活用したりしています。また、トイレで身体をきれいにしたり、睡眠をとったりするのにも利用しています(サンフランシスコ図書館のソーシャルワーカー、レア・エスゲラさん)」

彼女の主な仕事は、利用者に安定した住居やカウンセリングサービスなどの解決手段を紹介することだ。無料または低価格の食事や衣類が手に入る場所、仮眠やシャワーのできる場所といった地域の情報も提供する。

さらに、サンフランシスコ図書館は元ホームレスの方を、福祉ワーカーとしても採用しています。当事者の目線をもった方々を採用することで、不安定な状況にある利用者との接点を作りやすくしているわけですね。

バンクーバーの図書館では、定住所のない人でも利用できる、新しい図書館カードが導入されました。さらに、スタッフは暴力防止や心の健康などに関するコースも受講しているそうです。図書館のスタッフの方々の言葉が印象的だったので、引用してご紹介いたします。

「今では、公共図書館はホームレスの人たちに対する幅広い地域サポートの一部であるという、共通認識が生まれています(地域コーディネーターのジュディ・ムーアさん)」

「ひとときの安全な場所を提供する以外に、図書館が果たせる役割の大部分は、彼らの状況を理解し、名前を覚え、『こんにちは。元気?』と声をかけ、目を合わせて笑顔を送ることだと思います。そうすることで、「たとえ、夜横になって寝る場所がないとしても、あなたには価値がある」と伝えたいのです(ナタリー・パテールさん)」

日本の図書館においても、ホームレスをサポートする取り組みは少しずつ始まっており、大阪市立図書館は全24館に「路上脱出ガイド」を設置しています。「館内5箇所に設置した中央図書館では、設置開始から一週間で50冊がなくなりました」とのことなので、ニーズの強さが窺い知れますね。ともすると「ホームレスは図書館から排除せよ」という言論がまかりとおってしまう日本社会です(関連記事:図書館がホームレス排除に苦心しているとかいう件についての私からの提案)。世界の先進事例に学び、積極的なサポートを提供する図書館を増やしていきたいですね。


248号では他にも、ソウル・フラワー・ユニオンのスペシャルインタビュー、特集「いのち喜ぶ」、東田直樹さんの「自閉症の僕が生きていく風景」、ホームレス人生相談などなどのコンテンツが掲載されております。ぜひ路上にてお買い求めください!


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ビッグイシューは1991年ロンドンで生まれ、日本では2003年9月に創刊したストリートペーパーです。

ビッグイシューはホームレスの人々の「救済」ではなく、「仕事」を提供し自立を応援するビジネスです。1冊350円の雑誌を売ると半分以上の180円が彼らの収入となります。