世の中には格差、貧困、病気、孤立、環境問題など、様々な社会課題があります。
その課題たちに対して果敢に立ち向かい、懸命に活動しているNPOは、数えきれないほど存在しています。

しかし多くのNPOは、活動資金に困っているということが大半です。寄付を募ろうにも、少ない人員で手一杯で事業を回しているため、広報に手が回らないことが多いのです。



「スポットライトの当たらない社会課題や、その課題解決のための事業の存在を知らない人にも届けること」「すでにその社会課題や事業を知っている人には、より共感・アクションしてもらえるよう、わかりやすく伝えること」は、ほぼすべてのNPOにあるニーズといってもいいでしょう。

課題解決のために活動をスタートしたのが京都のソーシャルウェアブランドの「JAMMIN」。
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©JAMMIN 
左からCO-FOUNDER(共同創業者)の西田さん、高橋さん、デザイナーの日高さん。



JAMMIN は、1983年生まれの西田さんと高橋さんが、4年前に立ち上げたチャリティ専門のファッションブランドです。

毎週、社会課題をテーマにデザインした新作アイテムを1週間限定発売
1着の注文につき700円をNPOに寄付

JAMMINの事業はこのようなサイクルで展開されます。

1) その週に支援するNPOを決め、活動にちなんだデザインの商品を制作、1週間限定で販売。
2) 顧客から注文があり次第、JAMMINで受注生産
3) Tシャツの場合、1着あたり700円をNPOに寄付

こうすることで、

1) これまでNPOがリーチできなかった層にアピールできる
2) 在庫を持たないので、持続性の高いビジネスとなる
3) NPOは寄付されたお金を活動にまわせる
というサイクルができ、社会課題が解決されていくという仕組みです。

NPOにとってはプロのデザイナーにTシャツなどのグッズを無料でデザインしてもらえ、広報・寄付が集まってうれしい、その先にある社会は課題が解決されてうれしい、商品を購入する顧客はTシャツが手に入るうえに、知らなかった課題を知り、手助けできる喜びがあってうれしい、そしてJAMMINは事業が持続できてうれしい、という四方よしのビジネスなのです。

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©JAMMIN 
JAMMINのビジネスモデルは、NPO、顧客、社会、JAMMINの「四方良し」



一般的なアパレルと異なり、受注生産で在庫を持たないモデル。
そのため週替わりでデザインを変えていってもコストが抑えられるため、持続性が高い支援ができるということ、またそれがチャリティとなる…という取り組みに興味を持ち、京都にあるJAMMINの事務所にお伺いし、共同創業者である高橋さんにお話を聞きました。

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共同創業者の高橋佳吾さん

Q:「1週間限定」で「Tシャツデザイン+広報となる記事」、「チャリティ商品」というのは、面白い組み合わせだと思いました。どのようにしてそれを思いついたのですか?

僕ももう一人の共同創業者の西田も、会社に入ってから、仕事をするなかで社会課題を知るようになり、それを解決する方法を模索していました。その情報収集の中でアメリカの「セブンリー」というアメリカのチャリティブランドをたまたま知りまして、「これだ!」と思ったんです。

でも日本においては、震災後広まってきたとはいえまだまだ寄付文化は一般的ではないし、NPOへの理解もそれほど一般的ではない。

そこでJAMMINでは、Tシャツのデザインと販売だけでなく、それぞれのNPOが扱う社会課題の解説と、そのNPOが苦心しているポイントなどがわかるような取材記事もあわせてリリースするようにしています。

Q:JAMMINはNPOの自前の広報のどのあたりを補完していることになりますか?

NPOは日頃から情報発信をこまめに行っていらっしゃいます。ただ、既存の支援者への配慮から、思い切った表現や発信が難しいという課題があります。

「社会課題や事業を”なんとなく知っている”という人に”アクションを起こしてもらう”」という目的を達成するために、JAMMINではTシャツという商品や、紹介記事をリリースすることで応援しています。

また、NPOの情報発信とはちょっと違うのですが、ニートやホームレス問題などは、賛否両論があるテーマです。ただそれを「本人のせい」と一言で片付けられないほど、本当の問題は複雑だと思っています。

それを、一般企業出身のスタッフ山本が、「一般人の目線」を大切にした記事を書くことで、「問題を知らなかった人と一緒に学んでいけるようなコンテンツ作り」を目指しています。

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一般誌の編集出身というライターの山本めぐみさん。事務所の下にあったバーで共同創業者 の西田さんにスカウトされたそう!


デザインを担当する日高も同じで、社会課題の興味のない人にも、「このTシャツかわいい」「オシャレじゃん」と言ってもらえるものをつくる必要があるので、NPOをテーマにしながらも、アパレルとして、かっこいいもの、かわいいものとなるよう、ファッションとしてのクオリティアップに集中してもらっています。

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専属デザイナーの日高啓寛さん。共同創業者の西田さんがFMラジオのイベントの時にスカウトしたそう。

僕や西田は、バリバリのソーシャル系。言葉足らずになりそうな部分を、日高と山本がいわば一般の皆さまとの架け橋となる存在で、そのあたりのさじ加減というのが、JAMMINの強みだと思います。

JAMMINとしては、そんな「一般の皆さん」にも共感してもらいやすい「記事」をリリースすることで、その社会課題の理解を深め、共感する人が増え、デザインした「Tシャツ」は、「課題を知った・知っているけれど、アクションしきれていなかった」という人たちの具体的なアクションの後押しになればいいなと思っています。

Q:NPOの扱うテーマを、一般の方に向けてデザインするって、どういう感じでしょうか

たとえば、日本ダウン症協会とのコラボレーションでは、このようなデザインをしたんです。

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テーマがダウン症で、なんで自転車がモチーフ?と思われるかもしれません。
よく見ると、たくさんの二輪車(自転車)のなかに混じる、三輪車があります。
「21トリソミー」とは、体細胞の染色体のうち、21番目の染色体が1本多い3本(トリソミー)になっていることです。ダウン症は、この染色体の突然変異により、およそ1,000人に1人の割合で生まれます。

一人ひとりの表情が異なるように、ダウン症もひとつの個性。「何も特別なことはないんだよ」という思いと、車輪のモチーフには「みんなで一緒に、前へ進んでいこうよ」というメッセージを込めてデザインをしました。
こちらはたいへん評判が良く、過去のキャンペーンの中でも大きな反響がありました。


Q:どんなに評判が良くても1週間で販売終了してしまうのはなぜですか?

確かに一度デザインしたものを販売し続けるほうが無駄が少ないのですが、僕らは色々なNPOの活動を、なるべく沢山知ってほしいと考えてやっているので、1週間と時間を区切らせてもらっています。

これには副次的なメリットもあって、NPOの方も1週間だけだし、広報楽しみながらやってみよう!と前向きに捉えて頂いています。

1週間限定、という短い期間なのでお客様にはご迷惑をおかけしてしまいますが、そういうものだと思って頂ければ嬉しいです。

ちなみに4年目になりますが、年末年始以外、1週たりとも休まずに週替わりの商品をリリースし続けています。また、本当にありがたい話なのですが、少しづつ応援の輪が広がっていて毎週、オルタナSさんに寄稿枠を作って頂いて、ヤフーニュースさんにも掲載して頂いています。


Q:どんな方がJAMMINのTシャツを買われるのでしょうか?

だいたい大きく分けると3タイプのお客様がいらっしゃると思います。

1.その団体のコアなファン。すでに寄付もしているような熱心な人々
2.寄付まではしないけれど、SNSでいいね、としてくれているような団体のライトなファン
3.団体のことは知らないけど、内容を知れば共感する人々(一般的に社会貢献意識が高い方が多い)


僕たちの活動は、2の人々が、よりその団体を好きになって、具体的なアクションをしてくれるようなこと、3の人たちが2の状態になってくれることを目指しています。

そして、1の人たちを含むJAMMINのTシャツを着る人みなさんが、周りの人に「いいね、それ」と言われて、「これは実はね…」というエピソードを伝えてもらうことで、さらに理解の輪を広げられれば、と思っています。

そのためにもTシャツの品質にはこだわっていて、細部まで話を詰められながら制作できるよう、 工場にプリント前のTシャツの製造をお願いしています。

ちなみに、Tシャツへのプリントは社内でやっていて、5台のプリント台に西田が中心となって 一枚一枚、手作業でプリントし、梱包・発送しています。
たくさんの注文を頂けた場合は、スタッフ総出でプリント・梱包をすることもあります。
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このハンドメイドのスタイルで約20,000枚を出荷、これまでに約170団体、計1200万円をNPOに寄付してきました。

Q:NPOの広報にはこういう壁があって、それをJAMMINがサポ―トしている感じでしょうか

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(編集部手書きのイラスト)

“第1のカベ:情報へのアクセスのカベ
問題を抱える当事者やその周囲の人にしかその社会課題が知られにくい。「その社会課題を知らない人」と「NPO」と接点が少ない。

第2のカベ:わかりやすさ・共感のカベ
問題を抱える当事者や既存の支援者に配慮するあまり「その社会課題を知らない人」にとってすとんと落ちる説明にしづらい。

第3のカベ:支援の負担感のカベ
「その社会課題を知らない人」がその社会課題を知った後、支援の方法が「賛助会員(年会費)」や「寄付」しかない場合、負担感が大きい

第4のカベ:広まりのカベ
既存の寄付・支援では、支援者とNPOのやりとりで終わり、支援者が支援していることは周囲に広まりづらい”

そうです。一般の方の目線を大切にした記事と、品質が良くデザイン性の高いTシャツで、その壁を僕らができる限り簡単に進んで行けるお手伝いが出来れば嬉しいですね。

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JAMMINが、ビッグイシュー基金とコラボしたらどうなる?

「究極的な目標としては、JAMMINを経由してもしてなくても、どんどん共感や支援が集まり、社会課題が解決しまくって、かかわったNPO団体さんがどんどん役割を終えて解散していくというのがいいですね」と笑う高橋さん。

ビッグイシューも、「ホームレス状態の人々」の自立支援をすることで、最終的には「やむを得ずにホームレス状態でいる人」がいなくなることが目標なので、とてもシンパシーを感じます。

さて、そんなJAMMINがビッグイシュー基金とコラボすることになりました!

JAMMINの日高さんがデザインした、ビッグイシュー基金のTシャツを7月17日~23日まで1週間限定で販売します。

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そして、JAMMINの記事担当、山本さんがビッグイシュー基金に取材に来てくれました。
ふんふんと丁寧に話を聞いてくれるので、取材を受けた販売者さんもうれしそう!

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ホームレス問題は、「自己責任」と言われることが多く、共感を得づらいテーマと言われます。どんなTシャツ、どんな記事に仕上げてくださったのでしょうか。ご興味のある方はぜひJAMMINのWebサイトからご覧ください。

▼JAMMIN
https://jammin.co.jp/





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ビッグイシューについて

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ビッグイシューは1991年ロンドンで生まれ、日本では2003年9月に創刊したストリートペーパーです。

ビッグイシューはホームレスの人々の「救済」ではなく、「仕事」を提供し自立を応援するビジネスです。1冊350円の雑誌を売ると半分以上の180円が彼らの収入となります。