「うつ病」にかかったことがない人、身近にいない人にとって、「うつ病」はどんなイメージだろうか。
今、うつ病の人は20人に1人、また6~7人に1人が一生に一度、うつ病にかかるとも言われている。世界規模で増える「うつ病」は、よく「心の風邪」と言われることがあるが、こじらせると自殺にもつながりかねない深刻な病気だ。
そのわりに、なじみのない人にとっては「心が弱い」「怠けている」などとみなされることもあり、そのつらさが理解されにくい。

ビッグイシュー日本版323号の特集「”うつ”を抜く」では、自らもうつ病を体験し、うつを「抜けた」2人の方にインタビュー。ヒット漫画「うつヌケ」の作者で、京都精華大学マンガ学部専任准教授でもある田中圭一さんと、メンタルクリニックなごみ院長で精神科医の蟻塚亮二さんに「うつを抜く」生き方を伺った。


“うつ”は、性質がはっきりした妖怪。付き合い方がわかれば怖くない。

田中圭一さんは、自らのうつ病体験を振り返り、うつ病をこう表現する。「脳が濁った寒天に包まれた感じ」。
意識がぼやける、記憶があいまいになる、音楽に感動できない…。

utu1
(ビッグイシュー日本版323号より(c)田中圭一/KADOKAWA)

そんな田中さんが、精神科医の宮島さんが書いた『自分の「うつ」を直した精神科医の方法』と出合ったことをきっかけに、少しずつ気持ちが上向いたり、再発したりを繰り返しながら、うつ状態に陥る際の「ある法則性」を見出すようになる。
その仮説を持った状態で、実際に自分を観察すると、気分の浮き沈みがあることが判明し、そこからは楽になった、と話す(「ある法則性」や対策については本誌323号をご覧ください)。

そして自身の体験と、ミュージシャンの大槻ケンヂさん、AV監督の佐々木忠さん、フランス哲学研究者の内田樹さんなど16人のうつ経験者に取材をして描いたレポート漫画『うつヌケ』は、単行本と電子書籍を合わせて33万部を超えるベストセラーに。

うつになる原因や症状、回復の仕方は人それぞれだが、当事者の方には自分の回復への道探しの参考に、また身近な人に「うつ」の人がいる人には、その理解の一助となりえるインタビューだ。


たなか・けいいち
1962年、大阪府生まれ。漫画家。京都精華大マンガ学部新世代マンガコース専任准教授。近畿大法学部卒業。在学中に漫画家養成塾「小池一夫劇画村塾」(神戸教室)に入塾。玩具メーカーで働きながら、漫画政策を続け、84年に『ミスターカワード』(コミック劇画村塾)でデビュー。手塚治虫ほか、有名漫画家のパロディ作品が人気。近著は『田中圭一の「ペンと箸」』(小学館)。『若ゲのいたり~ゲームクリエイターの青春』を電ファミニコゲーマーに連載中。

「従来型のうつ病」と若い人に多い「非定型のうつ病」、その原因は親?

「うつ病は、どんな人でも何歳であっても、誰もがかかる可能性がある」と話すのは精神科の臨床医の蟻塚亮二さん。

発病すれば、抑うつ気分、意欲、興味、精神活動の低下、焦燥、食欲低下、不眠、持続する不安などの症状が現れる。日常の簡単な用事もこなせなくなったり、家族や友人、職場での人間関係が壊れたり、仕事を続けることが難しくなったり、最悪の場合、悲観的観念に支配されて自殺に至ることもある。

蟻塚さん自身、大学卒業後にうつ病になった経験があり、その後心身共に回復した後自身の葛藤や経験を生かして患者に寄り添い、うつと関わってきた。

その経験から、本誌323号では、「従来型のうつ(定型うつ病)」と「非定型うつ病」について解説。それぞれの特徴の解説から、うつ病との対処技術まで詳しく話してくれている。

(対処技術の例)
  utu2

親からの養育トラウマで発病することが多いと蟻塚さん。子どもを持つ親もぜひ読みたい特集だ。


ありつか・りょうじ
1947年、福井県生まれ。72年弘前大学医学部卒業。精神保健指定医、85年から97年まで弘前市・藤代健生病院院長。04年に沖縄県に移住。日本精神障碍者リハビリテーション学会理事。01年精神保健功労にて、青森県知事表彰。13年4月から福井県・相馬市にあるメンタルクリニックなごみ所長。著書に『精神障害リハビリテーション学』(共著、金剛出版)、『誤解だらけのうつ治療』(集英社)など多数。

ビッグイシュー・オンライン関連記事

石井綾華さん「うつ病を背景に自殺する20代は、1日6〜8人」(1/2)

明るい人もうつ病になる:「Light Ring.」代表・石井綾華さんが語る「20代のメンタルヘルス」問題(2/2)

ビッグイシュー323号ではこのほかにも、

・スペシャルインタビュー:リンゴ・スター
・ビッグイシュー・アイ:誰もがファクトチェックに参加できる仕組みをつくりたい
・国際:中国、若い世代に広がる“喪”文化。皮肉に満ちた敗北主義を楽しむ
・ワンダフルライフ:『動く家』で暮らす、國井弦さん・美乃里さん
・ホームレス人生相談:36歳男性「妻や子ども、上司など、誰かの思いに合わせて行動していて、自分に主体性がないと感じます」

など盛りだくさんです。
323_01s
https://www.bigissue.jp/backnumber/322/

ビッグイシューは最新号・バックナンバーを全国の路上で販売しています。販売場所はこちら
バックナンバー3冊以上で通信販売もご利用いただけます。






過去記事を検索して読む


ビッグイシューについて

top_main

ビッグイシューは1991年ロンドンで生まれ、日本では2003年9月に創刊したストリートペーパーです。

ビッグイシューはホームレスの人々の「救済」ではなく、「仕事」を提供し自立を応援するビジネスです。1冊350円の雑誌を売ると半分以上の180円が彼らの収入となります。