(2012年3月1日発売、THE BIG ISSUE JAPAN 第186号より)





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中国、「大学生村官」の活路は?



「大学生村官」とは、政府から派遣され、農村部で技術指導や管理などを担当する大卒者で、任期は通常3年である。2009年から中国政府は「大学生村官」派遣事業を全国展開し、「1村当たり2人の村官」を目安に現在22万人派遣されている。

この事業の目的は、農村への人材供給、リーダー育成などがあげられるが、大卒者の就職難緩和策としての効果が最も注目されている。派遣先は出身地かその近隣が優先されるので、比較的スムーズに現地に順応しているという。

問題は任期満了後の進路である。ある調査では、回答した大学生村官の68パーセントが公務員試験を受ける意向を示した。しかし、公務員やそれに類するポストは限りがあるので、彼らは再び就職難に直面することになる。

大学生村官の中には、特産品の販路拡大に成功した人もいるし、着任後に始めた野菜の温室栽培が軌道にのり、任期継続を決めた人もいる。今後、現地に残って創業する人が増えるかどうかがこの事業の鍵となりそうだ。

(森若裕子/参照:大学生招聘網、南方日報、新華網)