(2011年10月1日発売、THE BIG ISSUE JAPAN 第176号より)




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インド・バングラデシュ、見過ごされてきた国境犯罪



インドとバングラデシュの国境地帯は、武器の密輸や人身売買など、犯罪の温床とされている。ただ、この問題がメディアに取り上げられる機会は少なく、国際的に問題意識が共有されているとは言いがたいのが実情だ。

インド北東部メガラヤ州で8月、自警団の銃撃で、バングラデシュから密入国した2人が死亡する事件があった。インド当局は、木材が盗まれそうになったと説明しているが、事実関係ははっきりしていない。

事態が深刻なのは、治安当局でさえ、先入観だけで発砲を繰り返してきた経緯があるからだ。インド国境警備隊(BSF)に親族を射殺されたある住民は「一帯では暴力が日常的かつ恣意的に行われている」との見方を示す。過去10年間の銃撃で、約1000人が死亡したとの推計もある。

両国は、国境地帯の共同管理で協力する方針を打ち出したばかり。9月には、国境線の画定に取り組むことで合意している。

(長谷川亮/参照:ヒンズー、タイムズ・オブ・インディア、ガーディアン)