就職活動の時期ですが、残る学生時代に1年間アジア各地へ旅行できないかと悩んでいます。[ホームレス人生相談]

Q
学校や家でも、そろそろ就職活動に本腰入れないといけない雰囲気。
実は大学卒業後、1年間アジア各地を旅行したいんです。
これまでも、アジアの貧困地域でボランティアをしたことがあるんですけど、今度はじっくり見てまわりたい。
社会人になったら、ずっと何十年も働きっぱなしになるから、今を逃したらそんな機会がない気がしています。
ただ、親が反対するのは目に見えているので、言い出せずにいるのですが……。
大学3回生/女性(21歳)
A

私自身の願いも込めて、この方には海外へ行ってもらいたいなぁ。
人間、二つの迷いがある時というのは、すでにどちらか一つへ気持ちが傾いているもの。
それから、親や周囲の人間にどうこう言われて決めると、絶対に後で後悔します。

たとえ後になって、あの時こうしていれば自分の人生が違っていたかもと振り返ることがあっても、
自分で選択したなら納得できるでしょう。
どちらを選んだとしても、どの経験もマイナスにはならない。
今は自分の気持ちに素直になって判断してもらいたいです。  

ご両親のことは、ハードルが高いかもしれませんがぜひ乗りこえていただきたいですね。
私の場合、両親は私に堅い職に就いてもらいたかったんです。
実家は農家でオヤジは公務員でしたから。けれども私は役者の道を志しました。
大学進学の時もその思いがあったんですが、親の言う通り商学部に進みました。

興味ないことを勉強するなんて本当につまらないものですよ。
中途半端でどっちつかずで。むしろ時間の無駄でした。
なので、仕事を選ぶ時は、自分の気持ちを優先しました。  

昔、今をときめく俳優さんと一緒の舞台に立ったこともあります。
役者だけでは食べられませんから、色々なところで働きました。
赤坂のバーで働いていた時はテレビ局が近くて喫茶店でニュースキャスターをよく見かけましたよ。
白髪のあの人です。やっぱりテレビに出る人は違いました。  

まぁ、ここまで落ちることになったけれども、この仕事を通じて、おもしろい経験をいっぱいさせてもらっています。
経団連や脳科学者の茂木先生の講座で私の体験をお話しする機会もありましたし。

それから、俳優さんがビッグイシューを買ってくれたことも。
ああいう人は実にスマートに買うもんですね。格好よかったです。
今度はダンサーの青木さんの指導で、ダンスでまた舞台に上がるんですよ。  

初めに話したことと矛盾しますが、もう一つの選択肢として、
この方も慌てることはなく、働いてから海外へ行くのも遅くはないと思います。
大切なのは、自分で決めることなんです。
(K/東京)

(THE BIG ISSUE JAPAN 第62号より)

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