台湾、「一刑務所一品」政策 [世界短信]

台湾では刑務所オリジナル商品の年間売り上げが2億6千万元(約7億7千万円)を超えた。人気商品は屏東刑務所の「アニキ醤油」、台中女子刑務所の手作りチョコ、台北刑務所の陶器等、中には3ヵ月待ちの商品もある。

刑務所工場の主流だった委託加工の受注が激減し、2005年から「一刑務所一品」政策が実施され、全国49ヵ所の刑務所は商品開発と共に人材育成に乗り出した。良質で安いと評判を呼び、売り上げは毎年上昇し、昨年は35パーセントの伸びを見せた。

台中県豊原市は日本統治時代に漆器産業が盛んだったが、機械化の波で衰退してしまった。しかし、その技術は刑務所で継承されていた。「刑務所は伝統技能の継承に最適な場所です」と技術指導者は言う。外国の賓客への贈答品として総統府から注文がくるほどになっている。利益の半分は貢献度等に応じて受刑者に還元されている。

だが、そうした受刑者の再犯率は受刑者全体とさほど変わらないことが課題となっている。

(森若裕子/参照:台湾光華雑誌、全球中央雑誌、中央広播電台)

(2010年6月1日発売、THE BIG ISSUE JAPAN 第144号より)