ビッグイシューも参加する、国際ストリートペーパー・ネットワーク(INSP)で「Vendor Playlist」なる、世界中のストリートペーパー販売者のお気に入りの楽曲とストーリーを集める特集企画があった。
日本からは、入島輝夫さんが参加。日本語訳記事を紹介します。
いつもは大阪・梅田、スカイビル連絡通路で雑誌を手に持つ入島輝夫さんが、この日はエメラルドグリーンのギターを持った。ビッグイシューのスタッフが貸したギターを、手慣れた様子でケースから取り出す。「いやあ、そりゃ昔よく弾いてたからね。今でもギターを持ったら無意識に指が動いて、弾いてみたくなるんだ」
事務所と持ち場を行き来する時は、いつも音楽を聴きながら歩く。その多くはCharやTHE ALFEE、X JAPANなど、日本屈指のギタリストばかりだという。中でも一番好きなのは高中正義さんで、「渚・モデラート」「BLUE LAGOON」は「『今日も頑張ろう』という気持ちになれるんです。高中さんの曲を聴いたら、落ち着くし心地よい。他のギタリストとは全然違ってオリジナリティがある。彼にしかできない音があると思うんです」。
ギターを弾くようになったのは、中学2年生の時。「文化祭の合唱でフォークソング『22才の別れ』を歌うことになって、『誰かギター持っている人いる?』という声がクラスメイトから上がったんです。そしたら、ちょうど父がギターを持っていたので、それを借りて僕が文化祭で弾くことになったんです。その頃から、エレキギターをやっている近所の先輩の家にも遊びに行くようになって、自分も始めるようになった。高中さんの音楽を聴くようになったのも、この時からですね。一時期はバンド活動もやっていました」。
帰り道、入島さんがギターケースを軽やかに担いで歩く。それはとても、背中に馴染んでいた。
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入島さんの生い立ちが掲載されているビッグイシュー日本版
THE BIGISSUE JAPAN 247号(2014-09-15 発売)「今月の人」
「好きな言葉は、一期一会。すべての出会いに感謝する毎日です」。大阪のJR高槻駅エレベーター下で販売をしている入島輝夫さん(52歳)は、少し照れくさそうにそう話す。
「お客さん全員と話をするのは難しいけど、急いでなさそうな場合はなるべく一声かけたり、世間話をしたりするようにしてますね。暑いですねとか、お子さんはいくつですかとか。この路上で会ったのも何かの縁だし、本を手わたす時間も大切にしたい」
奈良県で生まれた入島さんは、幼い頃に両親が離婚。姉と妹と3人で、大阪で暮らす祖父母のもとに引き取られた。「子ども時代はわがままで、やんちゃし放題。いたずらっ子だったから、おじいちゃんやおばあちゃんに随分と迷惑をかけたなあ」と振り返る。
中学卒業後に職業訓練校で電子回路について学ぶが、途中で辞めてしまう。「それからはしばらくプータロー。20歳を過ぎた頃、親父のところで修業してこいって祖父に言われて…
(続きは本誌でご覧ください)
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