昨年4月電力小売りが全面自由化されたものの、変更率はいまだ全契約の数パーセントにすぎません。
基本的には、変更手続きは「どの事業者を選ぶか」を決め、新事業者に申し込みをし、旧事業者に契約終了の連絡をすればいいだけで、切り替え当日は特に立ち合いも不要です。
切り替えの瞬間に電気が止まるわけでもありません。
事業者変更により電力が安くなるケースもあれば、クリーンなエネルギーを推進する会社もあるというのに、この契約変更率の低さは、スイッチングにかかる心理的抵抗が大きいことが原因なのでしょうか。


「事業者を検討・変更する時間すらない」という多忙な人はしょうがないかもしれませんが、もしも「できればクリーンなエネルギーを選びたいけれど、期待するほど安くならない」ということが理由なのであれば、6月1日発売のビッグイシュー日本版312号で特集している「テンダーさん」の考え方や暮らし方をぜひ参考にしみてください。

電気・熱源・水道、完全オフグリッドな暮らし

鹿児島市に住むテンダーさん(34歳)は家族とともにこのような暮らしをしています。

電気・・・自分で屋根に設置したソーラーパネルで発電、電化製品は普通に使用。
水・・・裏山の水源からパイプをつないでろ過する
調理・・・裏山の薪を使ったロケットストーブ
風呂・・・太陽熱温水器と薪のミックス
トイレ・・・自作のコンポストトイレで発酵分解

詳細は本誌に掲載していますが、初期投資さえしてしまえば、電気・熱・水道代の月額料金はほぼなくしてしまうことすら可能です。

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※実際の誌面はカラーです

「こんな暮らし、地方だから実現できるんであって、都会のマンション住まいでは実装することが難しいよ!」と思うかもしれません。
しかし、たとえ都会のマンション住まいであってもできることはあるのです。

小6までの理科の知識と、約5万円の予算があれば誰でも作れる「わがや電力」

テンダーさんは「小6までの理科の知識と、約5万円の予算があれば誰でも作れる」というオフグリッドの電力システム「わがや電力」を提唱しており、312号に掲載の特集でその作り方(入門編)を紹介しています。

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※実際の誌面はカラーです

マンション住まいの編集部メンバーも自作してみたところ、少し時間はかかったものの、無事完成しました!
興味のある方のために、編集部スタッフが実際に自腹で購入した材料を紹介します。

【「わがや電力」の材料】

※はテンダーさんのWebサイトに掲載されているもののうち、いくつか欠品があったので代替として編集部スタッフが購入し、無事発電を確認した商品となります。

1) ソーラーパネル

案1)100W単結晶シリコンソーラーパネル 太陽光パネル SP100
(こちらがテンダーさんのオススメ)



 または
案2)ALLPOWERS 曲げ可能 単結晶 100W ソーラーパネル チャージャー
(※編集部スタッフが軽さを重視して購入)




2) チャージコントローラー

ALLPOWERS 20A 12V 24V ソーラーチャージャーコントローラー ソーラーパネル用
(※テンダーさんのおすすめが現在欠品のため、パネルと同じ会社のもので編集部スタッフが購入したもの)


3)バッテリー

ACDelco [ エーシーデルコ ] マリン用ディープサイクルバッテリー 国産車 [ Voyager ] M31MF


4)複数連シガーソケット

カシムラ 分配器 セパレートスイッチ5連ソケット NKX-146


【「わがや電力」の作り方】

本誌312号の特集または、テンダーさんの著作「わがや電力」をご覧ください。


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ぜひ小学生のお子さんをお持ちの方は、夏休みの自由研究などでお子さんと一緒にトライしてみてください。

特集では、父親が原子炉設計者で「原子力はすごい」といって育てられたテンダーさんがなぜこのようなオフグリッド生活に行きついたのかというエピソードや、現在の送電の仕組みで発生する原発6基分に相当するという「送電ロス」の話、オフグリッド生活の魅力、これからの野望などを紹介しています。
発電も下水の処理も『遠くの誰かが何とかしてくれる』と思っていたら、エネルギーや環境問題は永遠に解決しない。
というテンダーさん。

「できない」前提でモノを考えるのではなく、自分に「できる」ことは何かを考え、実践していきませんか。
ビッグイシュー日本版312号は、6月1日より路上にて販売しております。
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http://www.bigissue.jp/


テンダー
1983年横浜市生まれ。職業は「ヒッピー」。23歳当時、青森県六ケ所村に1年間滞在したのをきっかけに、知恵と技術を求めて各地を放浪。その結果、火おこしから電子回路まで、先人の技術を引き継ぐ事を重視。現在はウェブと、ありとあらゆる表現によって、環境を保全しつつ環境に遊ぶことを実践中。ヨホホ研究所主催。
http://yohoho.jp/

テンダーさんの著作「わがや電力」の購入はこちらから
http://yohoho.jp/wagaya

近日開催のテンダーさんのワークショップ
6/3:次の1万年に続く文化を作ろう – プリミティブとデジファブの出会うところ

6/4:すげえうまいコーヒーをソーラーパワーで淹れて飲んじゃうワークショップ

6/5:台所アルに雨水タンクが設置できるかな?ワークショップ


ビッグイシュー312号ではそのほか…

・映画『夜空はいつでも最高密度の青色だ』出演の池松壮亮さんのスペシャルインタビュー
・「リレーインタビュー。私の分岐点」:HASUNA代表 白木夏子さん
・(国際)アテネ、1万5千人がホームレスに
・水道民営化はNG。世界の潮流はすでに“再公営化”へ

など、盛りだくさんです。

ぜひ路上でお求めください。

ビッグイシュー日本版の販売場所はこちらです。

バックナンバー3冊以上でしたら通信販売も可能です。

併せて読みたいビッグイシューのエネルギー関連特集のご紹介

エネルギー問題、市民電力に興味のある方はこちらのバックナンバーもおススメです。
路上にて、販売者にバックナンバーの在庫をお問い合わせください。
手元にない場合は、次回までに仕入れてご用意が可能です。

167号:いま、自然エネルギー ― 小水力、地熱、波力、そして市民発電所

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https://www.bigissue.jp/backnumber/bn167.html
 
本当なのだろうか?日本にエネルギー資源がないというのは!?実は、手つかずの自然エネルギー資源はふんだんにあるのだ。 

170号:この夏、非電化生活! ― 電気を使わないで、愉しく幸せに生きる

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https://www.bigissue.jp/backnumber/bn170.html
 
"愉しい非電化"を提唱してきた「非電化工房」は、いまトップランナー。
その工房を訪問、新しいライフスタイルの可能性を秘めた非電化の思想とその取り組みについて聞いた。 

218号:小水力発電。自然エネルギーの突破口

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https://www.bigissue.jp/backnumber/bn218.html
 
今、小水力発電(1000kW未満)のもつ可能性は、出力で黒部ダム15個分の約490万kW、その適地は1万7708ヵ所あると見積もられ(環境省)、適地の半分は短期間で開発できるといわれている。ところが、現実の数は522ヵ所、3パーセントにも満たない。小林久さん(茨城大学教授)に小水力発電について伺った。 

232号:雪エネルギー。「雪国」日本の資源

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https://www.bigissue.jp/backnumber/bn232.html
 
雪をエネルギーとして活用し、積極的に暮らしに生かしていこうという動きが広がっている。媚山政良さん(室蘭工業大学大学院名誉教授)に「雪エネルギーの可能性と未来」について聞いた。「冷水循環式雪冷房」の設計者、伊藤親臣さん(雪だるま財団)にインタビュー、安塚中学校を訪問した。雪室で食品貯蔵する物産館も取材。

271号:エクセルギー。暮らしを変える、自然の力

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https://www.bigissue.jp/backnumber/bn271.html
 
エクセルギーハウスでは、一般家庭の3分の1しかエネルギーを使わないという。私たちの住まいや暮らし方を革命的に変える、新しい世界観を紹介したい。 

283号:はじまる"市民電力"

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https://www.bigissue.jp/backnumber/bn283.html
 
2016年4月から家庭向けの小売りに挑戦する市民電力である、「みんな電力」(東京)、「みやまスマートエネルギー」(福岡)、「千葉電力」(千葉)を取材。また、安田陽さん(関西大学准教授)に「電力自由化の本質」について聞いた。"市民電力の今"をレポート。

298号:循環が社会を変える シビックエコノミー5

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https://www.bigissue.jp/backnumber/bn298.html

併せて読みたいビッグイシューの特集関連書籍

▼170号に登場の、「非電化工房」藤村靖之さんの著作。
電気を使わない冷蔵庫ってご存知でしたか?
▼218号に登場の、小林久さん(茨城大学教授)の監修、共著書籍。
▼232号に登場の、伊藤親臣さん(雪だるま財団)の著作。

▼271号に登場の「エクセルギーハウス」の事例を調べるなら▼283号に登場の安田陽さん(関西大学准教授)の著作。
エネルギー問題、できるところから始めてみましょう!






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ビッグイシューについて

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ビッグイシューは1991年ロンドンで生まれ、日本では2003年9月に創刊したストリートペーパーです。

ビッグイシューはホームレスの人々の「救済」ではなく、「仕事」を提供し自立を応援するビジネスです。1冊350円の雑誌を売ると半分以上の180円が彼らの収入となります。