こんにちは。ビッグシュー日本東京事務所の長崎です。
「うちの会社でも、ボランティアとか、プロボノとか、やってみたいって言われるんだけど、そんな余裕ないんだよな…」という管理職、経営者の方も多いと思います。

そこで、製作日誌vol.3となる今回は、プロジェクトのオブザーバーである株式会社プラグ代表取締役副社長・坂元英樹さんの元を訪ね、社員をプロボノに送り出すことをどう考えているのか、お聞きしてきました。

 

―昨年秋からのプロジェクトとなりますが、それまでのビッグイシューのイメージって、どんなものでしたか?

坂元:グローバルな団体というか、グローバルな組織の中の日本支部、みたいな位置づけかと思っていたんですよね。華やかで、“外資系!”みたいな。
今年は1-2年目の若いメンバーばかりなんです。だから、「グローバルに比較してください」みたいなオーダーが来たらどうしよう? できるとは思ったけど、僕の負担増えるんじゃ…、会社にかける負担おっきくなるかな…とか、思いましたよね。

―実際に来社されてみて、いかがでしたか?

坂元:初めて事務所に行ってみたら、なんといいますか、実直な感じの建物で。(笑) スタッフのお二人から、取り組み、現状、難しさや思いをいろいろとお聞きして、地道に活動を続けて来られた、地に足の着いた実直な団体なのだなぁと思いましたね。

その印象は、一緒に行った笹川も同じだったようです。プロジェクトの初めに、どの団体をサポートさせてもらうかを決める社内プレゼンがあるのですが、その時に笹川が「自分たちが関わるべき課題も明確だし、実直な団体です」とプレゼンしていましたので。


―「こんなに小さい事務所なんですね」「少ない人数でやってるんですね」というのはよく言われます。(笑)

プロボノに参加した社員は、主体的・能動的になる

―「プロボノ」の取り組みは去年から始められたのですよね。
坂元さんから見て、「プロボノ」に関わる前と後とで、社員のみなさんに変化はありますか?

坂元:一番の変化は、参加する一人一人がより主体的、能動的に動けるようになってきた、という点ですね。もともと、「自分で考えて、仕事をする」という社風ではあるんです。
でも、特に若手は、通常の仕事では、お客様のニーズがあり、上司や先輩の指示の下で動きますよね。組織ですから。

プロボノプロジェクトでは、支援先選びからその方法まで自分たちで考える。頭では理解してきた「主体的、能動的」ということを、体で実感しているのではないでしょうか。
それと、プロジェクトが進むうちに、「自分たちが提供することだけで到底この問題を解決できるわけではない」というあたりまえの事実に気がつきます。自分の力のなさを自覚する、その上でできることをやってみる、そういうことを、プロジェクトを通じて実感してもらうのも大切なことだと思っているんです。

社内の業務においても、プロボノ経験のある先輩社員が後輩のサポート役を担うように

―プロボノに参加する方々は、通常の業務があり、さらにこのプロジェクトがあるわけですよね。本人の負担が増えることは想像しますが、周囲の社員への影響や負担はないのでしょうか?

坂元:去年は、もう少し上の年次の社員たちが中心となってやっていました。今年は若手中心なので、むしろ去年のことを知っている先輩社員たちは、とても応援的というか、「できることあったら言って」という感じでサポート役を担ってくれていますね。

チャンスはそこら中に。1mmでもいいから社会を変える

―「プロボノ、やってみたいけど勇気が出ないな」と思っている人たちもたくさんいると思うんですね。最後に、そんな人たちの背中を押すようなメッセージをいただけますか?

坂元:うーん…どう言ったらいいのかな…。
やっぱり「まずは気軽に動いてみて、1mmでもいいから社会を変えてみませんか?」ということですかね。
今ある社会問題の解決に取り組みたいって思っている人って、増えているように思うんです。参加してみるチャンスはいっぱいあるはずなので、ちっちゃなことでもいいので、まずは動いてみることが大事なんじゃないですかね。

支援先団体のスタッフのように、自分の時間の大半を使って取り組む人もいれば、私たちのように限られたわずかな時間で動く人もいる。お互いの時間をうまく組み合わせたら、社会を少しでもよい方向に動かしていけるんじゃないかと思います。一人一人の動きはちょっとずつでも、たくさんの人が動けば変わるんじゃないかと思うんですよね。
                                                   ・・・あと、「モテるで」ていうのも大事かな。(笑)「意外にかっこいいよ、楽しいよ」って。 プロボノって「こういうことで困ったなぁ」という人たちがいて、「こんな解決策がありますよ!」という人たちがいて、そこがうまく噛み合えば、悪いことは何もないしくみなんですよね。ヒーローみたいでいいでしょ。(笑)


─ビッグイシューだけではできないところを、颯爽と現れて力を貸してくださる存在は、まさに「ヒーロー」ですね!(笑) ホームレス問題だけでなく、さまざまな現場でこうした出会いが積み重なって、誰もが生きやすい社会へと少しずつでも変化していけるといいですよね。

最後に、プラグが会社として「プロボノ」に込める思いを寄せていただきました。

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ビッグイシュー・オンラインの読者のみなさま、はじめまして。
プラグ代表取締役副社長の坂元と申します。
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私たちが会社としてプロボノに取り組んでいる背景には、社長の父が聴覚障害を持つこと、私自身が極貧家庭で育ったことがあります。そんな二人が社会に恩返しをしたいという考えに至ったのは当然の帰着でした。

現代の大きな社会問題は貧困です。多くの不安・不満・不便の声を聞きます。
マーケティングは顧客の不満や不便を解決し成功へ導く仕事ですから、私たちの持つ知識や技術を使えば貧困問題の解決の一助になるのではないか、と信じています。

弊社はマーケティングを通じてより良い社会作りに貢献したいと思っています。クライアントの成功を通じた貢献だけでなく、より直接的に私たちの持つプロとしての知識や技術を活用して様々な社会問題を解決できる会社でありたいと願っています。
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自分の得意なことを活かした社会参加の一つの方法としての「プロボノ」。興味を持たれた方は、こちらの情報も参考に、ぜひ“はじめの一歩”を踏み出してみてくださいね。


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東京・大阪を中心に、プロボノとNPOをマッチングする組織もあります。
マッチング組織がNPOの要望を聞いて審査しマッチングするので、プロボノ・NPO側双方が安心してプロジェクトを進めることができます。

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ビッグイシューは1991年ロンドンで生まれ、日本では2003年9月に創刊したストリートペーパーです。

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