SNSで、「自分がちょっと切り詰めたらビッグイシューを買うことはできるけれど、販売者はちゃんとしたことにお金を使っているのかわからないから、買うのを迷う」という声をいただきました。


ホームレス状態であるビッグイシューの販売者は、家賃や光熱費・水道代はかからないということはなんとなく想像できますが、いったい何にお金を使っているのでしょうか?

使い方は人それぞれではありますが、ホームレス状態だからこその出費というものはあるのでしょうか。ビッグイシュー日本の販売サポートスタッフに、聞いてみました。

1.雑誌「ビッグイシュー日本版」の仕入れ (1冊170円)

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最初の10冊は無料でプレゼントしますが、その後販売を継続したい場合は、1冊350円の雑誌を170円で仕入れる必要があります。仕入れの頻度や、1度に何冊仕入れるかはそれぞれの販売者の判断や経済状況によります。

参考)
・小口で頻度高く仕入れる…路上生活の方は、特に盗難のリスクがあるので、夜間雑誌を保管しづらく、在庫を抱えることが難しい場合もあるが、
仕入れに行く時間は販売場所を空けることになるので、機会損失が増える。
・まとまった冊数を一度に仕入れる…販売時間が長いため、機会損失が少ない。多く仕入れる分、まとまったお金が必要になる。


※バックナンバーも路上で販売していますので、ぜひ路上にてお求めください。
販売場所はこちら 

2.食費・飲み物代

ホームレス状態の人には家がないため、自炊や冷蔵・冷凍庫での食べ物の保管ができません。
炊き出しを利用して節約する人もいれば、「自分で稼いだお金で、自分で選んだ食べ物を買えることが嬉しい」と話す人もいます。

※ビッグイシューの事務所には、連携企業・団体から定期的に余ったパンや果物が届けられることもあります。そういった寄付や炊き出し、そして自分で買うものと、その割合は人それぞれです。

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週に1度、連携団体などから送られてくる食料。
フードバンクにご興味のある方はこちら→全国の「フードバンク」一覧

3.ネットカフェや簡易宿泊所の宿泊代(1泊1500円程度)

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ホームレス状態の人を受け入れられる行政や支援団体が施設の数は限られているため、家を持たないホームレス状態が眠るには、路上で眠るか、ネットカフェや簡易宿泊所(ドヤ)に泊まるという選択肢に限られてきます。過ごしやすい季節は路上で眠る人もいますが、盗難や襲撃の恐れに加え、夏季・冬季は熱中症や凍死のおそれもありますので、路上で眠る人ばかりではありません。

また、販売の仕事は身だしなみも大切なので、普段は路上で眠る人もシャワーを浴びるためにネットカフェや簡易宿泊所を利用することもあります。


4.コインロッカー代(1日500-700円程度)

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©photo-ac

ホームレスの人が路上で眠る間に、盗難に遭ってしまうことは日常茶飯事です。せっかく貯めたお金が0円になることも珍しくありません。
コインロッカーは毎日金額が更新されるので、1回1回の出し入れも大変です。「自分の住まい」を持っていないからこその出費となります。

5.コインランドリー代(1回あたり数百円)

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©photo-ac

ホームレスの人たちは当然、タンスもクローゼットもありません。そのため着替えを十分に持つことができません。とはいえ販売という職業柄、身だしなみに気を付けてなければならないため、週に1回程度、洗濯をする人が多いようです。

1日に20冊販売して得られるお金を3,600円とすると、アパートに入るための貯金をする方の手元の自由なお金はわずかです。

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寄付で衣料や靴を頂く場合もあります。
ビッグイシュー基金で募集しています。


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販売者により、ネットカフェや簡易宿泊所に泊まる人もいれば、路上で寝ることを選ぶ人もいます。切り詰めてお金を貯めようとする販売者もいれば、無理のないペースで貯める販売者もいます。しかしいずれも(その日か、いつの日か、の差はあれども)「路上を脱出する」ために販売しており、1冊の売上が彼らの生活を支えているのは間違いありません。

「ビッグイシューを買おうかな、でも勇気が出ないな」と思っている方がいらっしゃいましたら、ぜひ一歩踏み出していただけると幸いです。

販売場所はこちら

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日本に空き家は820万戸あるのに、約5000人のホームレスの人々がいる・・・
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ビッグイシューについて

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ビッグイシューは1991年ロンドンで生まれ、日本では2003年9月に創刊したストリートペーパーです。

ビッグイシューはホームレスの人々の「救済」ではなく、「仕事」を提供し自立を応援するビジネスです。1冊350円の雑誌を売ると半分以上の180円が彼らの収入となります。