若者の世界の変え方を知ることは興味深い。今回紹介するのは、自身の体験から「社会課題」を痛感し、その解決に向けキャンペーンを展開。寄付金を集めて支援団体に全額寄付した若干13歳の少年だ。(元記事:『ビッグイシュー・オーストラリア』)
多文化社会への意識向上を目指すキャンペーンを立ち上げる
ニューサウスウェールズ州の「YMCA若者議会」メンバーの一人、バーセム・マーリキは13歳にして「#UBelong」というキャンペーンを立ち上げた。これは、難民や移民が今いる国で安心して生きていけるよう、多文化社会への意識向上を目指したもの。「#UBelong」(ここがあなたの居場所、の意)と刻印された鍵型チャームを手作りして 1万5千ドル(約110万円)を集め、難民の支援団体や社会事業に寄付。ニューサウスウェールズ知事から表彰されるなど、コミュニティーの若者リーダーとして注目される存在となっている。
バーセム・マーリキ
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僕はレバノン移民2世のイスラム教徒。これまでテロリスト呼ばわりされたり、「国に帰れ」と言われたり、多くの差別に遭ってきました。そんな経験を通じて、何か前向きな変化を起こせないかと考えるようになったんです。
僕を突き動かしたのは、同じ年頃の難民たちです。 すさまじい苦難を乗り越えてきた僕の友達は、賢くて芸術性もあって、とてもすてきな人たちです。
僕が伝えたいメッセージはとてもシンプル、「多様性を受け入れよう」ということです。難民や移民であろうと皆がこの社会の一員なのだから、さまざまな文化的背景を持つ人たちとも連帯していこうよと。それが一番伝えたいことです。
そこで、人々の活躍を阻む制約や困難を“こじ開ける”という意味を込めて、鍵型のチャームを手作りしました。
“A very little key will open a very heavy door.” (CharlesDickens)#uBelong #WeWantChange#MakeCompassionGreatAgain pic.twitter.com/2g3ZBvcAuQ
— uBelong Here (@Ubelong_here) June 29, 2018
当初は学校内の取り組みだった #UBelong プロジェクトを地域キャンペーンへと広げていったんです。若者主体の集まりで基調講演するなどしてメッセージを広げ、フラッシュモブで大合唱するイベントを開催したときには千人近くが集まってくれて。Facebookページでのファン開拓にも積極的に取り組みました(2019年12月時点で約1,500フォロワー)。
大切なのは夢を追う若者の背中を押すこと
自分の情熱を追い続けるなかで、気づくと多くの人が賛同してくれるようになっていたんです。僕のやることを気を留めていなかった人たちにも、若くたって変化を起こせることを示せたのではないでしょうか。若い人たちが夢を追いかける、これは本当に大切なこと。僕も、自分より年下の人たちと話すときはいつも、やってみようよ!若すぎることなんてないよ!と背中を押すようにしています。 僕がアクションを起こしたのは13歳のとき、全く後悔していません。
学校の勉強や日々の生活に加えこうした社会活動をするのはもちろん大変です。でもいったん情熱の火がついたら、なんとしてでもやり遂げたくなるものです。
卒業後の進路はまだ模索中です。 シリアやイラクで起きている事態にも、なんとか自分にできることはないかと思っています。スポーツ、特にラグビー観戦が好きですし、エンジニアになりたいという夢もあります。
By Katherine Smyrk
Courtesy of The Big Issue Australia / INSP.ngo
参照:https://www.stevedabliz.com/bassam-maaliki-youth-leading-the-way/
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