こんにちは、ビッグイシュー・オンライン編集部のイケダです。現在路上で発売中の244号から、読みどころをピックアップいたします。


差別を煽るヘイトスピーチ。必要な「差別禁止法」と「国内人権機関」

今回ピックアップするのは「ビッグイシュー・アイ」より、ヘイトスピーチ問題にまつわる、弁護士の師岡康子さんのインタビュー。

ご存知の通り、日本では、特に在日韓国人の方々に対して、集団で「死ね」「ゴキブリ」などといった言葉を浴びせかける「ヘイトスピーチ」が問題になっています。

日本最大級のコリアンタウン、東京・新大久保。

今、ここで激しい罵声を浴びせかけるデモが毎月、行われています。

「在日朝鮮人、ぶち殺せー!」

「在日韓国人、朝鮮人のやりたい放題、誰が許すか!」

デモの主催者によると、この日の参加者はおよそ300人。

1時間以上にわたって、在日韓国・朝鮮人に対し、差別的な言動を繰り返しました。 双方の小競り合いがエスカレートして逮捕者が出る事態になりました。

“ヘイトスピーチ” 日韓友好の街で何が・・・|特集まるごと|NHKニュース おはよう日本

日本にはヘイトスピーチを規制する法律は現在ありませんが、海外に目を向けると、ヘイトスピーチに対する法規制を持つ国は増えているそうです。

「日本には外国籍の人に部屋を貸さない、雇わないといった差別も存在するのに、これを禁止する法律すらない。これは明らかに国際人権法違反で、まずは実態を調査して『差別禁止法』をつくり、その中にヘイトスピーチの禁止を位置づけるべきです」

たとえば、ユダヤ人迫害の歴史をもつドイツには、ヘイトスピーチに対するさまざまな刑事規制法や「ホロコースト否定罪」が存在している。

また、アボリジニへの差別政策を進めてきたオーストラリアにも、州レベルでヘイトスピーチ刑事規制が拡大している。

さらに、差別禁止法を最も早い段階で制定した英国では、デモや演説だけでなく、「サッカー(犯罪)法」で試合中の差別的なヤジ行為を軽犯罪にしている。

「こうした規制法は欧州、アフリカ、アジア、アメリカなど世界の過半数の国に存在します。」


ただ、こうした規制を施したとして、実際には裁判にかかるコストの大きさは問題になります。

ヘイトスピーチとは少し文脈が違いますが、ぼく自身もネットで「死ね」と繰り返し誹謗中傷された経験があります。あまりにも悪質なので法廷の場で争おうと考えたのですが、残念ながら金銭的なコスト、膨大な手間が掛かることがわかり、「泣き寝入り」することにしました。

ヘイトスピーチ規制が実現したとしても、実際にはこうしたコストの問題が発生すると思われます。この点について、師岡さんは次のように語っています。

「被害者がそこに訴え出れば、非公開かつ無料で迅速に休載してくれる、政府から独立した国内人権機関をつくるべき」と師岡さんは主張する。

インターネット上での人権侵害の広がりを考えると、「国内人権機関」をつくるべき、という主張は決して荒唐無稽なものではなく、実際に数多くの人が救われる仕組みになると思います。


また「表現の自由」との摩擦については、「反論の成り立たない罵詈雑言、変えようがない相手の属性に対する攻撃」を違法とし、「歴史的な事実についての議論や政策の評価」については規制の対象外にすればよい、と師岡さんは語っています。


インタビューの締めくくりの言葉を引用します。

ヘイトスピーチは、マイノリティや、そこにかかわる人たちを黙らせ、最悪の場合は自死へと追いやり、表現の自由、民主主義を壊します。

セクハラが法規制をきっかけに『許されない』と広く認識されたように、ヘイトスピーチも"社会の意思"を法で表し、差別はいけないのだということが常識になることを願っています。

ちょうど昨日(8月6日)のニュースでは、舛添知事がヘイトスピーチ法の規制の必要性について言及したことが報道されています。

この中で、舛添知事は、「ヘイトスピーチ」と呼ばれる民族差別的な言動を繰り返す街宣活動について、「仮に個人に対してであれば脅迫罪に当たる。こんなことをやっていたら東京オリンピックはできない。人種や国境、宗教の壁を越えて、スポーツで結びつく平和の祭典の開催都市で、そんな恥ずかしい言論を許していいのか」と述べました。

そのうえで、舛添知事は「東京都が条例で規制しても周辺の都市で同じことをやられたらどうしようもない。国のレベルでしかるべき対策をとるべきだ」と述べ、6年後の東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けて、政府・与党に対し、ヘイトスピーチを規制するための法整備を進めるよう求める考えを示しました。

舛添知事 ヘイトスピーチ規制の法整備を NHKニュース

見ず知らずの他人に対して、「殺せ」「死ね」「ゴキブリ」「出て行け」などといった罵声を集団に浴びせるというのは、人の心に快復できない傷を与える、たいへん暴力的な行為だとぼくは考えています。こうした野蛮な現状を後世に残さないためにも、今、ぼくらが仕組みを作らないといけません。「ビッグイシュー日本版」244号を手に取って、みなさんもぜひご一考くださいませ。


244号では他にも、特集「戦争をしない国へ」、オーランド・ブルームさんのスペシャルインタビュー、漫画家のくらもちふさこさんのインターネット、ホームレス人生相談などなどのコンテンツが掲載されております。ぜひ路上にてお買い求めください!


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