(2014年4月15日発売、THE BIG ISSUE JAPAN 237号より)

日本政府の「100ミリシーベルト以下なら安全」は間違い 国連人権理事会、特別報告担当者 アナンド・グローバーさん講演

DSC05359 グローバー氏  藍原

2012年、福島第一原発事故後の健康の権利に対する調査を実施し、13年に勧告を発表した、国連人権理事会の特別報告者のアナンド・グローバーさん(インド最高裁判所主任弁護人)。そのグローバーさんが再来日、東京、福島、京都などで、原発事故に伴う健康の権利、人権侵害の状況、そして日本の課題をテーマに巡回講演を開催した(NPO法人ヒューマンライツナウなどの主催)。

このうち、福島大学では3月21日、勧告を踏まえ、福島大学放射線副読本研究会などの共催で「放射線被曝を健康への権利と教育から考える」と題したシンポジウムを開いた。

 

グローバーさんは「日本政府が『100ミリシーベルト以下なら安全』とするのは間違っている。広島、長崎の長期低線量被曝調査でも、ゼロより少しでも高ければリスクが高まるということが明らかになっている。1ミリシーベルト以下でもがんにつながるリスクがあることを考えて、政策をつくるべき」と述べ、対象や内容を限定的にとらえた日本政府の政策により、国民の健康に関する権利や人権が侵害されている現状を指摘した。

シンポジウムで、福島大学准教授の荒木田岳さんは「原発事故前に決められた法律や内規、ガイドラインが守られていない。緊急時環境放射線モニタリング指針で定めたスピーディの公開も行われず、緊急時の食品の放射能測定マニュアルでは、(放射性ヨウ素やウランだけでなく)ストロンチウム計測が定められているものの、その測定は実施されていない。行政が勝手にルールを変えて、測定内容を省略しているのが現状で、法治国家が終わりを告げているのではないか。この流れを変えないといけない」と述べた。

後半は、国や行政のプロパガンダに使われる恐れのある原発や放射能教育について、現場の教師を交えた議論が行われた。福島県内で行われている原子力・放射線授業の内容と課題、震災後の学校や教育のあり方などについて意見が交わされた。

(文と写真 藍原寛子)