日本では女性は16歳から結婚できる年齢とされているが、民法改正案でそれを18歳に引き上げる案が盛り込まれている。これは「18歳以下の結婚」が国際的に見ると「児童婚」にあたるとされているからであろう。
下記に「Inter Press Service」のアメリカの児童婚実態について記事を紹介する。結婚にふさわしい年齢について考えてみたい。

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IPS_child marriages

「児童婚」とは18歳未満で結婚することをいう。途上国にありがちな問題とのイメージが強いが、実は世界中に存在し、アメリカもその例外ではない。なぜなら、米国内50州のすべてで、18歳未満の結婚は「合法」なのだから。
昔の法律のままなのです。まさかこんな事態になるとは思わず。
米国の児童婚廃絶を目指す組織「アンチェインド・アット・ラスト(Unchained at Last)」の創始者でエグゼクティブ・ディレクターを務めるフレイディ・レイスは言う。

当組織が入手したデータによると、米国内では2000年からの10年間で25万人以上の未成年者が結婚したと推定される。アラスカ州、ルイジアナ州、サウスカロライナ州では、12歳の少女が結婚していたとのデータもある。

性暴力から女性や少女を守る全国的な非営利組織「タハレイ・ジャスティス・センター(Tahirih Justice Center)」によると、児童婚率が国内で2番目に高いテキサス州では、2000年から2014年のあいだに約4万人が児童婚を経験していた。その大半は、少女と成人男性の組み合わせで、かなり年の差があることが多い。

こうした事例は、宗教、民族、生活環境に関わらず存在する。ネバダ州では15歳の少女が背景の異なる男性との交際がバレた挙げ句、イスラム教徒の家族から強制的に23歳の男と結婚させられた。コロラド州では、妊娠した少女に結婚せよと圧力をかけたのは彼女が属するキリスト教コミュニティだった。
なんともショッキングな話です。
国際的な人権NGO「ヒューマン・ライツ・ウォッチ(Human Rights Watch)」で主任研究員を務めるヘザー・バーはそう漏らし、同様の事態が世界中で起きていると断言する。
ニューヨーク州であろうと中央アフリカ共和国であろうと、児童婚が未成年者にもたらす弊害はほぼ変わりありません。

親の許可があれば18才未満でも結婚できる

児童婚は、学校中退や貧困とも大いに関連してくる。それに、18歳未満で結婚する者たちがDV(家庭内暴力)を経験する可能性は、21歳以降で結婚する者より3倍だ。心身の健康も害しやすく、妊産婦死亡率や性感染症罹患率も高い。

レイスが話してくれたところでは、強制結婚は少女たちの精神に悪影響を与え、自殺を選ぶ者も多い。もしくは、何もかもを諦めて婚姻関係を続けるか。それ以外に選択肢がないのだから。
彼女たちはよく分かってます。結婚したらその夜からレイプされ、学校もやめさせられることを。将来の夢などあったもんじゃありません。
ほとんどの州で婚姻最低年齢は18歳とされているものの、「親または裁判所の許可があれば18歳未満であっても結婚できる」のが現状なのだ。
許可があれば良しとするなんて複雑でバカげてます。
レイスとバーは口を揃える。
ほとんどの児童婚は親が勝手に決めるか強要するものなのに、「親の許可があれば」など、まったくもって無意味なこと。(バー)
裁判所の許可に関しても、判事が考慮すべき基準が法律に明記されていない。27の州で、法律に「結婚してはならない年齢」は特定されていない。
実際のところ、0歳でも結婚できてしまうわけです。

児童婚廃絶を目指した各州の法改正の動き

そんな中、近年になって各州で児童婚廃絶の動きが盛んになってきている。 テキサス州では、結婚できる法定年齢を18歳とする法案を可決(2017年5月)、18歳未満の結婚は自己責任で生活でき保護者に依存していないと判事が判断した場合のみとした。知事の署名待ちだ。(編集部注:その後、知事が署名、2017年9月に発効された。)

ニューヨーク州では婚姻年齢を14歳から17歳に引き上げる法案が議会を通過し、知事の署名に至った(2017年6月)。

州議会レベルでの問題提起が各地で起きているものの、弱腰な州もある。

ニューハンプシャー州では、婚姻年齢を13歳から18歳に引き上げる法案が否決された(2017年3月)。10代で妊娠した者や若い軍人のためにならないから、というのがその理由だ。(編集部追記:その後、2018年6月になって婚姻年齢を16歳に引き上げる法案が成立。)

ニュージャージー州では、18歳未満の結婚を禁じる法案に当時のクリス・クリスティ知事が「この州の人々の価値観、または宗教的慣習に合わない」と拒否権を発動した(2017年5月)。

児童婚と宗教は一切関係ないのに、前述の二人はこの措置を非難する。

伝統とは関係ありません、人権の問題ですから。(バー)
(編集部追記:2018年6月、ニュージャージー州では次期マーフィー知事が婚姻年齢を18歳に引き上げる法案に署名。)

ドナー国(主要援助国)としてのあるべき姿

米国は国内の児童婚を守りきれていないのに、ドナー国(主要援助国)として他国を批判するのは偽善的、とバーは付け加えた。

信頼性に傷がつきます。ドナー国であるアメリカや西欧諸国でこの問題が改善されれば、世界的な取り組みにつながるでしょうに。
2016年、アメリカ国務省は、児童婚は「人権侵害」で、「少女の人生に甚大な悪影響を及ぼし、彼女たちの子ども時代を打ち切ってしまうもの」との見解を示した。

厳しい戦いだが今こそ各州が児童婚廃絶に真剣に取り組むべき、とレイスは警鐘を鳴らす。

児童婚廃絶を目指す世界的パートナーシップ「ガールズ・ノット・ブライズ(Girls Not Brides)」によると、18歳未満で結婚する少女は世界的には毎年150万人にも上る。この流れが続けば、2050年までに児童婚経験者は12億人に達する。

国連で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にも、強制的な児童婚などの慣例撤廃が盛り込まれているが…。

リンク:
Unchained at Last
Tahirih Justice Center
Human Rights Watch
Girls Not Brides

By Tharanga Yakupitiyage
Courtesy of Inter Press Service / INSP.ngo

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