本当の意味でのいい仕事を作っていく! 城南信用金庫インタビュー(後編)

ビッグイシュー本誌連動企画として、金融機関として異例の脱原発宣言を行い、地域に根ざした信用金庫として城南信用金庫の理事長である守田正夫さんと前理事長で現在は相談役の吉原毅さんにお話をお伺いしました。

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原発ゼロで日本は困らない、むしろ大きな経済的メリットがある! 城南信用金庫インタビュー(前編)

編集部:これまで「脱原発宣言」を行うまでの考えを中心にお聞きしてきましたが、脱原発に向けて行っている具体的な活動について教えて下さい。

守田:まず、金融機関としては、利息などを優遇する「節電プレミアム預金」「節電プレミアムローン」の二つをつくりました。地域のお客様がより省電力・省エネルギーに取り組みやすいようにしていくための支援を行っています。

また、自らの取組としてはまだ事業といえるほどではありませんが自社での発電を行っています。支店を改築・新築をする際には必ず太陽光パネルを設置することで、電力を賄うようにしています。また、自然エネルギーや民間の余剰電力を購入し販売している「エネット」(NTTファシリティーズ、東京ガス、大阪ガスの子会社であるPPS)との契約をするなどをしています。

 

社会貢献をきっかけにビジネスマッチング

編集部:城南信用金庫が社会をより良くするために「金融機関の枠組みを超え」て行っているという取組についても教えて下さい。

守田:私たち信用金庫は中小企業専門の金融機関ですので、信用金庫の精神に則って中小企業を元気にしていき、仕事を増やす、雇用を増やすことが一番の社会貢献だと考えています。

直近では金融機関の枠を超えた支援にも取り組んでいて、「城南なんでも相談プラザ」といって、中小企業の経営におけるどんな悩みでも相談にのる事業を行っています。

例えば、多くのお客様は売上を増やしたいという悩みを抱えており、お客様自身で気づけていないお客様の会社の強みをヒアリングなどを通して知り、一緒に学びながら強みを活かしていくための支援を行っています。

編集部:「“よい仕事おこし”フェア」もその一つですか?

守田:「“よい仕事おこし”フェア」は本当に社会のためにいい仕事を作っていきたいという想いで、震災復興支援を目的に始めたイベントです。公的機関や全国の信金と連携して開催することにより、被災地で復興を目指し働く企業や団体が全国の様々な中小企業とこのイベントをきっかけに連携することができるマッチングの場になるようにしています。

編集部:「“よい仕事おこし”フェア」には、様々なブースがありますが、このイベントの一番の特徴は何でしょうか?

守田:このイベントの一番の特徴は、社会貢献ブースもあることです。他の金融機関も似たようなイベントの開催をしていますが、社会貢献のためのイベントではなく、結局はビジネス・金儲けのためのイベントです。

この「“よい仕事おこし”フェア」は、色々な中小企業などみんなが一緒になって社会をよくしていくためのイベントであり。社会貢献をきっかけに色々な企業が繋がり、ほんとうの意味でのいいビジネスにつながっていくことを目的としています。

そして、震災復興、社会貢献を目的にしているイベントだからこそ、多くの業種・人が集まるイベントとなり、これまでの垣根を超えたイベントとなり、広範囲でのビジネスのマッチングに繋げることができています。

信用金庫として公益に尽くす

編集部:最後に、今後の経営のビジョンについて教えてください。

守田:私は「世のため人のため」という信用金庫の原点を大切にし、これからも経営を行っていくために、役職員に「笑顔あふれる、やさしく、たくましい」金庫を目指そうと呼びかけています。

「笑顔あふれる」とは、楽しいときだけでなく、苦しいときこそ笑顔を絶やさず、自分を奮い立たせ、他人をげんきにすること
「やさしく」とは、自分に厳しく思いやりと礼儀をもって他人に接すること
「たくましい」とは、お客様を助けるためには経営がしっかりしていないといけません。しっかりと収益をあげながら、また、職員が生き生きと働けるためにもそういった経営をしていく。それがたくましいということ

これらを行っていくことで、信用金庫としてさらに地域、社会に貢献していきたいです。