世界でも類を見ない事業を展開する、今もっとも注目すべき日本の起業家4人

こんにちは、ビッグイシュー・オンライン編集部です。1月9日に開催したイベントの内容をダイジェストでお送りします。

[会場提供:ギークス株式会社]

新進気鋭の起業家、4名の刺激的なお話

今回は「世界を変えるウェブサービスコレクション」と題し、4名の起業家の方のお話を伺いました。いずれも革新的なサービスを携え、独特の事業領域に取り組んでいる方々です。会場では刺激的なトークが展開されました。

葬儀をもっとシンプルに:AmazingLife株式会社 篠原豊氏
不動産市場にイノベーションを:イタンジ株式会社代表 伊藤嘉盛氏
NPOを応援する文化を創る:gooddo株式会社 下垣 圭介氏
アドテクノロジーで自殺を防ぐ:NPO法人「OVA」代表 伊藤 次郎氏

アドテクノロジーで自殺を防ぐ:NPO法人「OVA」代表 伊藤次郎氏

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最初に登壇したのはNPO法人「OVA」代表の伊藤次郎さん。伊藤さんは「死にたい」「自殺 方法」などの検索キーワードに対して広告を出し、自殺リスクの高い人と接点を獲得し、オンラインベースでサポートを提供する事業を展開しています。詳しくはOVAウェブサイトに掲載されている資料が参考になるので、引用させていただきます。

もっとも印象的なのは自殺のリスクが高い人に対して、わずか137円で接点を持つことができるという点。驚くべき低コストです。

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現在は寄付、助成金を活用して事業を展開しています。伊藤さんは「財政的に余裕があれば、さらに多くの方にアプローチをすることができます」と語っていました。共感する方は、ぜひOVAの活動に関わってみてください。

OVAのウェブサイト


葬儀をもっとシンプルに:AmazingLife株式会社代表篠原豊氏

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続いてお話いただいたのはAmazingLife株式会社篠原豊さん。彼はいわゆる「連続起業家(シリアルアントレプレナー)」で、これまでにも様々な事業を興しています。今回お話いただいたのは、「シンプル葬・シンプル火葬」という新しいビジネスについて。

篠原さんいわく、葬式の平均単価は約200万円。そして、慣習的にはこの費用を手渡しですぐに業者に支払うことが当たり前とされてきました。大家族で親を見送ることができた時代ならまだしも、少子高齢化が進む中では、葬式費用の負担は子ども世代にとって大きく、また費用の不透明性も高いものとなっています。

そこで篠原さんは、スマホのみで申し込み・決済が完結する「超シンプルな葬儀サービス」を立ち上げました。ご自身が喪主を経験するなかで感じた苦労、不満を反映し、高品質なサービスに仕上げています。

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さらに、生前に使えるモバイルアプリの開発も進めています。

もうすぐ「ウケツグ」というアプリを出す予定です。不動産、銀行口座、クレジットカードなどのID、パスワードといった資産を、死後、スムーズに相続していくことができるというサービスを作っています。

サービスの紹介動画はこちら。リリースが楽しみですね。



「シンプル葬」「シンプル火葬」のウェブサイト


不動産市場にイノベーションを:イタンジ株式会社代表 伊藤嘉盛氏

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続いては今もっとも注目が集まる不動産ベンチャーイタンジ株式会社の伊藤さんのお話。イタンジのサービス「ヘヤジンプライム」は「仲介手数料完全無料」「来店不要」「ネットで完結」というネット時代に特化した不動産サイトです。

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これまでも仲介手数料無料の物件サイトはありましたが、彼らが違うのは、掲載されているすべての物件の手数料が無料であるという点。店舗を持たず、インターネットを中心に事業を展開することでコストを大幅に圧縮し、手数料無料化を実現しています。今後もテクノロジーを活用て賃貸物件市場を効率化していきたい、と伊藤さんは語ります。

「ヘヤジンプライム」のウェブサイト


NPOを応援する文化を創る:gooddo株式会社代表 下垣 圭介氏

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gooddo株式会社」は社会課題とNPOについて知り、活動を応援することができるサービスです。ツイッターやフェイスブックの「いいね!」をするだけで、NPO団体に支援金が届く仕組みなどを用意しています。これまでに3,200万円を超える支援金を提供しています。

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利用にあたってはユーザーもNPOも無料。支援金の原資は企業からの「広告費」から捻出されています。「NPO支援」は事業化が難しい領域ですが、彼らは見事にビジネスに仕立て上げています。

「gooddo」のウェブサイト


パネルディスカッション:仲間、資金、課題について

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イケダ:短い時間ですが、いくつか伺っていきたいと思います。まず、起業にあたっての仲間探しはどのようにして行いましたか?

伊藤次郎さん:私たちの場合はブログですね。事業を始める前からブログで情報発信を行っていて、特に創業期には情報発信に力を入れていました。現在パートナーとなってくださっている研究者の末木先生とはすぐに会うことができましたし、理事の方ともTwitterでの連絡をしていました。

篠原さん:「一緒に働いたことがある人」は信用できますね。また、IT系のイベントにいってエンジニアを探してみたり、TwitterやFacebookで面識がない人にでも連絡をすることもあります。

伊藤嘉盛さん:志が共感できるかということを大事にしています。そういう人との出会いをまず作るようにしていて、お付き合いのなかで、いつか一緒に働けるようにと距離を縮めていくようにしています。

下垣さん:お酒です。(会場笑)お酒を一緒に飲みながら口説いて仲間を増やしていきます。

イケダ:資金調達への考え方、課題について教えてください。

下垣さん:今はセプテーニ・ホールディングスの子会社として行っています、この事業は数年で爆発的にスケールするというよりは、粛々としっかりやることが重要だと思っているので、現時点で外部から資金調達するというのは考えてません。まずは資本金のなかで、しっかりと収益をあげているような底力をつけていきたいと思っています。

伊藤嘉盛さん:限られた時間で大きな成果を出す必要がある場合は資金調達は必要です。不動産業界は今大きな波が来ているところでもあるので、その波に乗るためには資金調達は必須だと考えています。

また、ベンチャーキャピタル(VC)からの調達はメリットがありますね。彼らのネットワークを通じて勢いのあるベンチャー企業の経営者や各分野の第一線で活躍している方々に出会えたり、経営会議等で事業に関する深い知見をもらえたりします。

篠原さん:今までの起業は全て資金調達を行っていますが、今回はまだ行っていなくて、これから行っていくところです。私も資金調達をして株主に入ってもらうことはメリットがあると思っています。投資を受ける以上、いつまでに事業をどういう規模にして、どう「点」ではなく「面」で世界を変えるのか、ということを考える必要があります。これは経営者の意識を高める上でもいい影響がありますね。

伊藤次郎さん:OVAの場合はNPO法人なのでVCからの調達は基本的にはありません。NPOの資金調達の方法はいくつかありますが、受益者となる人々から直接収入を得ることは、私たちの場合は難しいところがあります。寄付や補助金に関しても、自殺というテーマはなかなか難しいところがあります。
行政に関しては、自殺関連の予算はすでに億単位で用意されているので、そうした予算から委託をもらうという選択肢がありますね。

イケダ:最後に、どういう点に困っていますか?今日この会場に来てくださった方のなかには、みなさんのお力になれる方がいるかもしれません。

伊藤次郎さん:今の段階の課題でいうと、相談員を増やすことがまず必要です。あとは、私が事務作業などが苦手でして…(苦笑)事務局長的な人材が欲しいところですね。

篠原さん:今困っているところは、「ヒト」と「カネ」ですね。まずはチームに優秀な人を集めること。そして、篠原バンクのお金を使いすぎて嫁が爆発する前に、資金調達を行う必要があります。(会場笑)

伊藤嘉盛さん:私たちの場合はエンジニアを探していて、googleなどでいわれているように社員のエンジニアの比率を50%以上にしたいと考えて動いています。

下垣さん:他の事業者とのアライアンスを増やしていくことが課題のひとつですね。
また、今は6人という小さなチームでやっているのですが、今後人が増えていったときに、どのように組織を作るかも課題だと感じています。

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