小学生の作曲を通して、ホームレス問題への偏見をなくす取り組み

ワシントンD.C.の北西地区にあるナショナル・プレスビテリアン小学校では、5年生の生徒たちがホームレス問題をテーマに作曲し、演奏する取り組みを行っている。きっかけは、一人の教師と長年ホームレス状態にあった男性との交流だ。


自作ミュージックビデオの中で子どもたちが歌う。

ぼくに気づく人なんているのかな
ぼくはだれかの目にとまるのかな
ぼくはだれかに認められるのかな

歌のモデルとなった男ケン・マーティンは「今は認められていると思えている」と話すが、彼の人生は決して楽なものではなかった。「 ずっと順調にやっていたのですが、人生のいたずらでそこから落っこちてしまったんです」。20年もの間、ホームレス状態にあった。今は路上生活から抜け出したマーティンだが、住まいを失う状態はだれにでも起こりうると話す。「この経験の最高と最悪、そしてもっとも醜いものを見てきました」

ナショナル・プレスビテリアン小学校の教師ジム・サムナーと親しくなる機会があり、マーティンの経験に心動かされたサムナーが依頼した。「子どもたちの前で話してくれないかと言われたのが8年前のこと。それ以来、ずっと続けています」とマーティン。

今年、講演を聞いた生徒たちは、マーティンの人生を表現する歌詞を考え、マーティンが撮影した写真を使ってミュージックビデオに仕上げた。「思ってもみなかったことで、驚きました。子どもたちへの信頼、そして希望を感じます」とマーティン。

INSP_Homelessness song
Photo courtesy of Kelly Sikkema on Unsplash

生徒たちも、この取り組みを通して世界の見え方が違ってきたと話す。生徒の一人、クレア・ヒルヤードは「ホームレス問題に対する人々の意識を変えるという、世の中に良いことができた気がします」といい、同級生のテイラー・ガトリングも「(ホームレスの人たちは)多くを求めているのではない。人として認められ、自分たちの声に耳を傾けてもらいたいと思っているだけ」といった。
「みなさんと仲間になれたことを、心から誇りに思います」マーティンは生徒たちに語った。生徒たちの前で講演する取り組みは、これからも続けていくつもりだ。なぜなら、子どもたちを通して親の考え方が変わる可能性も秘めているのだから。

原文記事(ニュース動画あり)

By Mauricio Casillas
Courtesy of NBC Washington / INSP.ngo








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