真夏の酷暑から販売者を守るために行っていること

 「ビッグイシュー」の路上販売は、「ホームレス状態、連絡先・保証人・履歴書なしでも、誰でもすぐに始められる仕事」として、イギリスではじまりました。雑誌を仕入れて路上で対面販売する形をとることで、仕事を求めるホームレス状態の方に最速その日のうちにご案内することができます。これまでに登録者数は2070人、16億1,883万円の収入を提供してきました。(24年3月末時点)

しかし近年の夏は、猛暑日としてカウントされる日が年々右肩上がりに増えています。お客様からも「路上のビッグイシューの販売者が暑さで倒れないか心配」とご心配をいただくことが多くなりました。

この記事では、よく頂くご質問にお答えする形で、ビッグイシュー日本の猛暑対策としての取り組みについてご案内します。

Q:真夏、炎天下で販売を続けているのを見ると、熱中症にならないか心配です。
ビッグイシューとしてどのような熱中症対策をされているのでしょうか?

お心を寄せていただきありがとうございます。
東京・大阪事務所では、例年梅雨明け頃から9月ごろまで、NPO法人ビッグイシュー基金が事務所に塩飴やペットボトル入りの冷水、経口補水パウダーなどを常備し、ビッグイシュー販売者にも配布しています。

また、熱中症対策をテーマに、具体的な症状や販売場所でできる予防法について医療関係者の方から学んだり、販売時間や場所をずらすなどの工夫を皆で共有したりして、熱中症にならずに夏を越えられるようにしてきました。


2022年からは軒下販売場所の募集を開始しています。

雨天時や猛暑日でも雑誌販売ができる「軒下」(人通りが多く、駅からのアクセスも良い場所)を募集しています。お心当たりのある方はぜひご協力いただければ幸いです。
軒下販売場所募集の詳細はこちら  
シサム工房さんのケース

※札幌では、市民の働きかけで地下歩行空間(チカホ)の一角を通年の販売場所として確保に成功

その他、近年特に力を入れている5つをご紹介します。

①熱中症と対処方法の理解を深める

販売者が熱中症の危険を理解して予防へとつなげられるように、熱中症の症状と対処の仕方についてのチラシを全員へ配布して注意喚起しています。

②声掛け、見回りの強化

販売者の顔色や体調について常にスタッフが気にかけており、気になる場合には医療につないだり、事務所で水分や休憩を取ってもらうなどしています。
また、順次に販売場所を回り、販売状況の把握や、可能であれば、その場で日陰になる販売場所への移動について話し合うなどしています。また、販売時間についても日当たりの強い場所では酷暑の時間帯をさけるなど、声掛けをしています。

③熱中症対策グッズの充実

ビッグイシュー日本と事務所を同じくするNPO法人ビッグイシュー基金では、冷凍・冷蔵の水と塩分補給ができる塩飴、食料などを事務所(東京・大阪)に常備して、配布しています。基金が購入したものに加えて、一般の方から事務所あてにお寄せいただいた物品寄付も随時、お配りしています。 また、Amazon「みんなで応援」プログラムに参加し、「ほしい物リスト」を活用した暑さ対策グッズや食料品の寄付募集を行っています。

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④夏の販売応援内容を強化(販売者応援3ヶ月通信販売を利用)

販売者応援のための定期購読である「販売者応援3ヶ月通信販売」の利益の一部を使い、高い保冷効果のあるバッグや水筒などの夏の販売応援グッズを配布しています。また、希望する販売者にファン付きの空調服の貸し出し、日傘の提供を行っています。さらに特に暑い時間帯は屋内に避難することができるよう、ファストフード店の無料ドリンクチケットの配布を準備しています。

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加えて、6月末・7月末には販売継続支給金(2万円)を緊急対策としてお渡しし、販売者が路上での販売を頑張る一方で、疲れたときには休む余裕が持てるようサポートしています。

「販売者応援3ヵ月通信販売」のお申し込みはこちら
https://www.bigissue.jp/2022/09/24354/

※「定期購読」は「小商い」として発送作業を希望する大阪の販売者が行っています。 規模が大きくなれば室内の作業に従事する販売者を増やせます。路上で販売者からの購入が難しい方はぜひご検討ください。
https://www.bigissue.jp/buy/subscription/

⑤ビッグイシュー基金とのさらなる連携

ともに活動をするNPO法人ビッグイシュ―基金では、市民の方からご寄付いただいた食料や衣料などを配布するほか、東京・大阪で無料シェルターを運営しています。家のない人がシャワー、洗濯機、冷房のある環境で一時的に体を休めることができるよう環境を整えており、ビッグイシュー販売者を中心に、利用されています。(7月は東京・大阪でのべ15人が利用)。また、低廉な家賃で一定期間住むことができ、生活再建の足掛かりにできる一時居所「ステップハウス」は、現在14人が利用しています。

https://bigissue.or.jp/action/stephouse/

Q:販売者は販売場所から動いてはいけないのでしょうか?

販売する場所はあらかじめ販売サポートスタッフが下見の上、所轄の警察署や警視庁と協議の上で行った場所のなかから、販売サポートスタッフと相談のうえ、販売者自身が選んで立っています。
Webサイトの「販売場所一覧」や本誌巻末に記載の場所の付近であれば、日陰などを選んで動くことはあります。特に夏の間はできるかぎり日陰に移動するよう、別の販売場所への移動も含めてお声がけをしています。

なお、販売する曜日や時間帯は、販売者自身が決めています。また、休憩や仕入れなどで販売場所を離れることもあります。それぞれに体調などを考えながら立つ時間を調整しています。

Q:スポーツドリンクなどの差し入れは問題ないのでしょうか?

販売者へのお心づかいありがとうございます。
水や麦茶など、ありがたくいただきたいと思います。
ただ糖尿病などの治療中の場合もありますので、もしよろしければどのような差し入れがうれしいか本人に聞いてみていただければと思います。
なお販売中の飲酒は禁止ですので、アルコールはどのような場合でもご遠慮しております。

Q:夏場の販売で役立つような衣類や物品の寄付はできますか?

ありがとうございます。男性用のポロシャツなど、風通しの良い衣類のご寄付をNPO法人ビッグイシュー基金にて受け付けております。
事務所が手狭なため、寄付をご検討いただいている方は予めお電話やお問い合わせフォーム等でご連絡ください。

また、Amazon「ほしい物リスト」では、年間を通じて食料品や男性用下着などの寄付も募集しています。
物品の寄付の募集内容や送付方法はこちらをご覧ください。
https://bigissue.or.jp/how_to_join/#p-section05

大阪事務所のほしい物リスト
東京事務所のほしい物リスト

Q:販売場所でパラソルや椅子を設置して販売しないのでしょうか?

ビッグイシューの販売は、道路交通法に違反しないよう『移動販売』の形式をとっていますが、設置型のパラソルや椅子は路上の「占有」になり、許可書が必要になってきます。そのため、なるべく日陰に移動したり、帽子や日傘、空調服などを利用することで、熱中症対策を心がけてもらっています。

2022年からは雨天時や猛暑日でも雑誌販売ができる「軒下」(人通りが多く、駅からのアクセスも良い場所)を募集しています。お心当たりのある方はぜひご協力いただければ幸いです。
軒下販売場所募集の詳細はこちら  

また、吉祥寺の商店街サンロードではポップアップストアを不定期で開催しています。
http://bigissue-online.jp/archives/1081676440/
夏の暑さや風雨に負けない屋根があることが魅力です。開催の際はホームページやSNSでお知らせいたします。


炎天下で頑張るビッグイシュー販売者がみんな、無事に夏を越えられるよう、引き続きスタッフ一同知恵を絞ってまいります。応援いただけますと幸いです。